新しくなった特急踊り子号で、伊豆の温泉巡りへ!
2020.04.152019年03月15日
水戸の梅まつりとおさかな天国の癒やし旅(前編)
水戸癒やし旅!梅まつりと臨時駅、あんこう鍋を食す
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、女性ひとりで気軽に行ける鉄道旅をご紹介します。今回は春を探しに茨城県水戸市へ。偕楽園の梅まつりや水戸黄門、明太子……苦手な〇〇以外の名物や絶品グルメがたっぷり登場します。
十年一昔。さらば車内販売の駅弁
上野駅に来るとノスタルジーを感じます。
かつて、私が好きだった寝台特急はたいてい上野駅の13番線ホームから発車していました。それらの運行が廃止されてからは上野駅から出発することもほぼなくなりましたが、今日は久しぶりにここからスタートです。
乗車するのは常磐線の「特急ひたち」。「特急ときわ」もありますが、ひたちの方が停車駅が少ないのでちょっと速い。そして車内販売があるところが気に入っています。しかし、JR東日本の車内販売は2019年3月15日で一部終了、または取扱品目の見直し対象となりました。特急ひたちは見直し対象で、駅弁やアイスクリームなどが買えなくなります。車内で駅弁を買えるのはこれが最後かと思うと、非常に残念です。
水戸といえば納豆……と思う方も多いかもしれませんが、食べることが大好きな私が唯一食べられないのが納豆です。というわけで、水戸の旅ですが、納豆は一切出てきません。他に水戸で有名なのは……そう、黄門様。最初に水戸黄門の銅像にご挨拶。そして歩いて3分ほどの義公生誕の地である水戸黄門神社にお参りもしてきました。
梅まつり開催時期の土日祝日だけ使える駅⁉
ここからバスで偕楽園に向かいます。フリー切符は水戸駅と偕楽園の往復だけでも元が取れてお得です。他、園内にある「好文亭」や、「弘道館」などの割引もあります。ここにも黄門様たちのイラストが描かれていました。
まずは「偕楽園駅」に行ってみたかったので、「偕楽園東門バス停」で下車しました。通常のおすすめルートなら、「好文亭表門入り口」で下車した方がよいと思います。偕楽園駅があるならここまで電車で来れば? と思われるかもしれませんが、この偕楽園駅は臨時駅。梅まつりシーズンの土日祝日しか使われない駅なのです。
偕楽園駅は梅まつりに合わせて開設されます。2019年度は2月16日〜3月31日までの土日祝日の計15日間。ただし列車が停車するのは下り方面のみ。特急も停まります。
偕楽園駅までのきっぷは購入できるように設定されていないので、その先の水戸駅まで買いましょう。こちらで下車する際に渡される「一時出場扱い」の紙で、再び偕楽園駅から水戸駅までの普通列車に乗車できます。この日は平日だったので、偕楽園駅を使うことは叶いませんでした。
せっかくなので、偕楽園駅の向こう側、千波公園にも行ってみます。千波湖のほとりには昭和16年に大宮工場で製造されたD51がきれいに静態保存されていました。千波湖は偕楽園の下に広がる淡水湖。さまざまな鳥が集まってきていました。周りは遊歩道になっていて、こんなお天気の日にのんびり歩いたら気持ち良さそうです。
この駅弁が目に入らぬか! 梅見&食事タイム
さて、ようやく偕楽園へ。偕楽園は水戸藩第9代藩主・徳川斉昭が創設しました。日本三名園に数えられる偕楽園には、約100種、3000本ほどの梅の木があるそう。入った途端、梅の上品な香りがフワっと漂ってきました。梅はこの時点で5分咲きくらい。月末に向かってちょうど満開になりそうです。
ルートとしては、表門から入り、竹林に覆われた陰の世界を抜け、梅が咲く明るい陽の世界に行く、というのが一般的。実際に歩いてみたら、確かに開放的な気分が味わえました。季節と共にその景色も変わるであろう、日本の侘び寂びが感じられます。
実は水戸駅・大洗駅で売っている駅弁が、梅まつりの期間だけこちらでも買えます。他にも梅まつり限定の美味しそうなお弁当がたくさん並んでいて、目移りしましたが初志貫徹。心に決めたお弁当を買ってお昼にします。
私が選んだのはこちら、「水戸印籠弁当」。その名の通り、水戸黄門の印籠の形をしたお弁当です。容器はしっかりしているのでランチボックスにも使えそう。中は2段重になっていて上におかず、下は炊き込みご飯。地元の食材がふんだんに使われています。
以前食べた際に、こちらの炊き込みご飯の味がすっかり気に入ってまたリピート。豚肉の梅あえや青梅の甘露煮もまさに梅まつりにぴったり!なお弁当です。
ベンチは公園の所々にありますが、芝生に座って食べるのも気持ちよさそうです。張り切って敷物を持ってきたのですが、ちょうどいい場所のベンチが空いていたので、こちらに座って目の前の景色を眺めながら食べました。ちなみに敷物も売店で売っていました。
お弁当を食べ終わった後は好文亭へ。こちらは徳川斉昭自身が設計した建物で、木造2層3階建ての好文亭本体と、木造平屋建ての奥御殿とで成っています。景観や使いどころが考えられた造りは今の住宅にも取り入れたくなるような箇所もありました。
できたて明太子を味わえる「めんたいぱーく」
梅を堪能した後は、一旦バスで水戸駅に戻ってから、鹿島臨海鉄道で大洗駅へ向かいます。次の目的地は「かねふくめんたいパーク」。無料で入れる明太子のテーマパークです。駅からの循環バスは1時間に1本程度と少ないので、タクシーか徒歩で移動する人が多いそう。歩くと30分くらいの距離でした。
小腹が空いたので、フードコーナーへ。できたて明太子を使った軽食がいろいろとあります。ビールもありました。とりあえず気になったものを2つ。おにぎりには明太子がふんだんに入っていて、お米との相性が抜群。ソフトクリームは意外にも辛さはほぼなく、よく味わうとつぶつぶ食感と塩辛さが舌先に伝わります。どちらもまた食べたいと思わせる美味しさ。そして試食の明太子の大きさに驚きました。
こちらではガラス越しに工場見学ができます。販売や輸送される明太子は、通常できてから急速冷凍されますが、試食やフードコーナーのできたて明太子は冷凍せずに、作りたてをそのまま出しているそう。こちらでしか食べられない美味しさです。
このポテトチップス明太子味と明太フランスラスクは市販されておらず、売店でも売っていない限定品。こちらに設置されているめんたいキャッチャーでぜひ挑戦してみてください。
宿でいただく大洗の冬の名物・あんこう鍋
さらに歩いて、今夜お世話になる旅館へ。素泊まりで、夕食は1階のレストランで別途いただくことにしました。ちなみに部屋は和室のみ、3階建てでエレベーターがありません。レストランのみの利用も可能なので、他に宿泊して、ご飯だけ食べに来ることもできます。
このあんこう鍋を食べるのが楽しみでした。あん肝は大好きですが、鍋として食べるのは初めて。鍋の出汁は味噌仕立てでゆずの香りもほんのりと。地元の飲食店でしか飲めない月ノ井酒造の辛口冷酒「大洗 神磯の日の出」と共にいただきます。身はコラーゲンたっぷりで、淡白なのにしっかりとした味。最後は卵とご飯で雑炊、これがまた絶品!大変美味しかったです。
東京から近い場所ですが、大洗町内の移動を考えると車で来る方が多いのもわかります。バスは土日は運行休止のものもあるので、よく調べてから向かいましょう。
次回は、「水戸の梅まつりとおさかな天国の癒やし旅(後編)」です。3月20日に公開予定です。
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