うつを寄せ付けない!考え過ぎないための7つの習慣
「50代うつ」を防ぐ&治す・3
うつは5段階でしっかり治す!回復へのロードマップ
50代女性にとって身近なうつ病。この特集では、うつの原因・予防・治療法を医師が解説します。うつを治すには、しっかり治療を受けることが必要。治療の柱は薬の服用・運動・心理療法です。「回復へのロードマップ」を手掛かりにクリアしていきましょう。
うつの症状&診断基準をチェック!

治療の話をする前にまず、うつの診断基準をおさらいしておきましょう。うつには大きく9つの症状があります。
▼うつ症状の9項目
1.気分が落ち込む、悲しい
2.興味がわかず、楽しめない
3.疲れやすく、気力がわかない
4.食欲不振、または食欲過多
5.眠れない、または寝過ぎる
6.自分に価値がないと思う
7.頭が回らない、集中できない
8.そわそわする、または動作が遅い
9.死にたいと思ってしまう
最初の2項目のどちらか1つでも該当し、残りの項目も合わせて、全部で5項目以上に当てはまる状態が2週間以上続いた場合、うつと診断されます。
うつ病は、薬を飲んだからといってすぐに治るという病気ではありません。人によっては治療に何年もかかる場合もあります。
そのため「本当に治るのか」と不安になったり、薬をいつまで続けるべきか悩んだりする人も多いもの。治療に前向きに取り組むためにも、今がゴールまでどのくらいの位置なのかを、しっかり把握することが大切です。
うつの治療は、季節&田んぼに例えて考える!
うつの治療に詳しい、川村総合診療院院長の川村則行さんは、発症から治るまでの期間を、“冬”から“実りの秋”までの5段階に分けて、田んぼに例える「田んぼ理論」を提唱しています。
「田んぼに置き換えて考えると、複雑な脳の中の状態が理解しやすいのです」と川村さん。
例えば“冬”は最もつらい時期。上記のうつ症状の9項目のうち5つ以上に該当し、仕事や家事もできず、「本当に治るの?」と悲観的になりがちです。このとき、脳内では多くの神経細胞が炎症によって死滅し、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質も非常に少なくなっています。
「“冬”は田んぼが荒れて、稲、すなわち神経伝達物質を作れなくなった状態ですから、助っ人の力を借りて田んぼを復活させます。この助っ人に当たるのが、薬や運動、心理療法といった治療なんですね」
田んぼは治療とともに少しずつよみがえり、「春」を迎えます。患者が自覚するうつ症状は1~4項目に減って、「もしかしたら治るかも」と少し希望が見えてきます。

さらに「夏」になると、うつ症状は0~2項目に。田んぼには青々とした稲が生えそろい、仕事や家事もだいぶできるように。この頃には「やっていけそう」と感じることも増えます。そして、最終段階の「実りの秋」には稲がたわわに! ここまでくると、うつの治療は完了です。

途中で薬をやめるとつらい〝冬〟に逆戻り

うつの治療内容は各段階で変わります。“冬”は抗うつ薬の服用が中心。その効果を実感し始める“春”からは、歩く運動療法も加えます。
「運動をすると神経細胞の回復を促す『BDNF(脳由来神経栄養因子)』という物質が増えます。暑い時期はデパートや地下街など涼しい場所を選んで歩くといいでしょう。家事に励むのも、いい運動に。光を浴びることもおすすめです」
調子がよくなる“初夏”から“夏”にかけては、考え方や行動の仕方を修正して、うつになりにくい自分を作る心理療法にも取り組みます。実は5段階の中で最も危うい時期が“初夏”だとか。症状が消えて「もう治った」と勘違いしやすいのです。
「この時期は急性期が終わっただけで、まだ完全回復には至っていません。薬をやめると“冬”に逆戻りするので気を付けて」と川村さん。
体調が良くなったと思っても自己判断で薬をやめるのは禁物。主治医としっかり相談して減薬のスケジュールを立てるなど、治療を継続することが大切です。
うつは田んぼの苗が成長し、徐々に色づくように、少しずつ治る病気です。その分治療期間が長くなりがちですが、今回ご紹介した「回復へのロードマップ」を参考に、自分の今の状態とやるべき治療を確認して、うつからの卒業を目指しましょう!
■教えてくれた人
川村則行さん
かわむら・のりゆき。川村総合診療院院長。1961(昭和36)年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。同大学院博士課程(細菌学)修了。国立精神・神経センター心身症研究室長などを経て、2011年開業。臨床分子精神医学研究所所長。近著に『うつ病は「田んぼ理論」で治る』(PHP研究所刊)。
取材・文=佐田節子 イラストレーション=落合恵 構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は2019年8月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
■「50代うつ」を防ぐ&治す■
- 医師が解説】50代女性のうつの症状と認知症リスク
- うつを寄せ付けない!考え過ぎないための7つの習慣
- うつは5段階でしっかり治す!回復へのロードマップ←今ココ!
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