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- GPIFとはどんな組織?年金でどんな役割をしている
「GPIF」という組織をご存知でしょうか。正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」といいます。これはどんな組織なのか。年金は政府や地方自治体がやるべき業務ではないのか。わからなかったので調べてみました。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)について
まず「独立行政法人」という組織のイメージがありませんでした。用語解説などを見ると、「行政から独立して国家がやるべき事業を行う法人のこと」とあります。
国民生活や社会経済の観点から必要な業務であり、行政から切り離した方が効率の向上を図れるものを行政事務から切り離したということでした。造幣局や国立病院機構も、独立行政法人なのだそうです。これらを見るとイメージが何となく湧いてきました。中長期的視点からお金を効率的に運用していくには専門的知識が求められるので、行政組織から切り離したのでしょう。
GPIFがつくられた経緯
GPIFがつくられた理由はいくつかあるようですが、もっとも大きなものは少子高齢化が進んでいることにあるようです。日本は世界に類を見ないほど速いスピードで少子高齢化が進んでいます。このままでは、将来年金の原資が不足することも考えられるとして、現役世代が納付した年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかったお金を将来世代のために積み立て運用することとしたようです。平成18年に行われた年金制度改正でGPIFが作られました。
積み立てた年金はどのように運用されているのか
GPIFは、日本の年金制度の企画立案をしている厚生労働省所管となっており、公的年金のうち国民年金と厚生年金の管理運営を行っています。運用規模は、2019年度末で運用資産額が159兆円以上となっています。本当に巨大なお金を運営しているのだと思います。年金基金としては世界最大規模だということです。
日本年金機構のHPによると運用方針は、国民の大切な公的年金を運用していることから年金事業の安定的な運用を行えるよう長期的な視点から、年金財政上必要な実質的な利回りを最低限のリスクで確保するとなっています。実質的な運用利回りは1.7%を前提としているようです。実質的な運用利回りは、実際の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたものです。
具体的な運用は投資です。2020年4月の目標は、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式をそれぞれ25%ずつ保有し、これら資産を長期的に保有することによって、元本を増やしていこうという戦略です。この数字には、解離許容幅も設けられているので、きっちりこの比率というのではないようです。
実際の運用は、信託銀行や運用会社に委託、一部の国内債券はGPIFが自主運用しています。信託銀行や運用会社は、国内外の債券市場や株式市場で取引を行い、運用収益をGPIFに納付して手数料を受け取っています。GPIFは受け取った収益を国庫に納付し、それが年金給付の原資に加えられます。
株式は短期間に大きく値段が変動する商品です。経済が上向きの時は大きく上昇しますが、悪いときには購入した価格を下回るという波があります。大切な年金積立金が減ってしまってはいけないということで、昔は変動が株式よりは激しくない債券の比重が高い資産構成でした。
例えば2006年の構成は、国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%などというものでした。ただ、近年は日本ではゼロ金利政策がとられています。外国でも債券などは低金利です。このような情勢では、債券の比率が高い構成では収益が上がらないということで、株式の構成比率が高くなりました。アベノミクスの時代のように株価が右肩上がりで上昇していくときにはいいのですが、波があるので、収益の振れ幅が大きくなる危険性もあります。
GPIFはクジラ
調べていくと、GPIFは金融市場のクジラだという表現にぶつかりました。巨額の資金力を持ち、自らの運用が金融市場に影響を与えてしまう存在をクジラに例えたようです。
巨額の資金を持っているというのは将来世代にとっては安心材料ですが、株式の比重が高くなったことで、変動リスクが増大しています。新聞などでも、収益が減ると大きく取り上げられ、不安になる方も多いらしいです。
ただ、年金給付の大部分はその年の保険料収入と国庫負担で賄われており、積立金で賄われる財源は1割程度、年金給付の必要な積立金は十分に保有しているので、積立金の運用に伴う短期的な市場変動は年金給付に影響を与えることはないと、GPIFはコメントしています。
参照:
GPIF公式ウェブサイト
大和ネクスト銀行 市場のクジラGPIFって何者?
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