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2019年01月12日
素朴な疑問
久々に映画館で映画を観てきました。子どもたちが小学生の頃は、ディズニーやらポケモンやらを一緒に観たものだけど、ひとりで平日の映画館に行くなんて数十年ぶり。(おいしかったわ~、キャラメル味のポップコーン!)
ところで、平日の映画館ってホントにガラガラなんですね。お客さん10人もいなかったんじゃないかしら? それでもつぶれないのはなぜ? 他人事ながら心配になったので調べてみました。
三井トラスト・ホールディングスが発表した「シネマコンプレックスの現状と課題」では、座席占有率から損益分岐点を予測しています。
座席占有率は稼働率のことね。全座席のうちどれくらいのお客さんが席に座れば損にならないのかってこと。
結果は、座席占有率20%以下でも損益分岐点に達するというものでした。なんだかピンとこないので、ほかの業種と比べてみましょう。
たとえば、国土交通省の統計による2017年度の国内ホテルや旅館の稼働率は……61.5%!? なーんだ、心配して損しちゃったかも。映画館って、ホテルや旅館に比べると、ガラガラでも案外やっていけるみたい。
あら、でもおかしいわね。ワタシ的には、昔ながらの映画館が次々とつぶれている印象があるけど、もしかして塩味のポップコーンしか売ってないから?
大当たり! ふざけてないですよ~、これホントなの。
映画館は、入場料の約半分を配給会社に支払い、残りの半分を設備や人件費に充てますが、これだと利益が全然出ません。そこで大きなウェイトを占めるのが、売店の収入なんです。
経済産業省の実態調査によれば、2017年度の映画館業務売上高は2,326億2,900万円でしたが、そのうち売店や食堂の売上げは約575億円! なんと売上高の25%です。
売店の売り上げを上げるためには、ポップコーンとコーラだけでなく、豊富なフードメニューと、さまざまなドリンクを用意しなくてはなりません。仕入れにお金がかかりそうですね。
それから、今どきの映画作品には、美しい画質のデジタルスクリーンや3Dに対応できる設備も必須条件です。これにも莫大(ばくだい)な費用がかかります。
こうして、平日ガラガラでもつぶれないはずの古い映画館は、設備投資につぎ込む資金が足りないという理由で、次々と姿を消すわけです。
一方、ショッピングセンターにあるようなシネコンは、大手企業が運営していますから、流行りの飲食店をテナントにしたり、最新の設備に投資したりできます。そうそう、今回ワタシが訪れたユナイテッドとしまえんなんて、音響に合わせてイスが振動しましたよ!(ビクッとなりました)
映画館って平日はガラガラでもつぶれないけれど、ただし「売店と設備に投資できるシネコンに限る」という、なんともせつない結論になってしまいました。昔ながらの古びた映画館ばかりが消えていくのは、ちょっとさびしい気もしますね。
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イラスト:飛田冬子