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2021年05月10日
素朴な疑問
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
おうち時間をもっと楽しもうと、最近ティータイムに凝っています。あらためて調べてみると、世界には本当にたくさんお茶があるんですね。種類はもちろん、産地や時期による味の違い、おいしい入れ方や飲み方の作法など、知れば知るほど茶文化の奥深さに魅了されているワタシ。
茶葉にこだわると茶器にも興味が湧いてきて、近所の専門店に足しげく通ったりしているところですが、あれこれ見比べているうちにあることに気付きました。日本の急須って、注ぎ口の横に棒状の持ち手が付いていますよね。でも中国茶や紅茶のティーポットは、後ろにリング状の取っ手が付いています。急須のような形の取っ手は、他には見当たりません。日本の急須だけなぜ? 気になるので早速調べてみようと思います!
急須とは茶葉を入れてお湯を注ぎ、お茶を抽出するための道具のこと。中国・宋の時代にお酒を温めるための「急須(福建語でキフス)」や、お湯を沸かすために使われていた「急焼(福建語でキップシュ)」がルーツといわれています。
急須や急焼は取っ手が注ぎ口の右側に突き出るように付いた「横手型」と呼ばれる形で、お湯を沸かす他にもお粥を作ったり、薬を煎じたりと、さまざまな用途に使われていたそうです。
一方、茶葉にお湯を注いで茶を入れる喫茶文化も中国で始まったといわれていますが、お茶を入れるために使われていたのは「茶壺(チャフー)」と呼ばれる茶器でした。これは注ぎ口と反対側の真後ろに取っ手が付いた「後ろ手型」で、これを受け継いだのが欧米のティーポット。つまり急須と欧米のティーポットはルーツが違うってことなのね!
江戸時代に急須が日本に入ってきてから、売茶翁(ばいさおう)という禅僧が急須でお茶を入れる喫茶法を始め、次第に全国で広まって今のような横手型の急須でお茶を入れるスタイルが定着したといわれています。
もともとお湯を沸かしたりお酒を温めるための道具である急須でなぜお茶を入れるようになったのでしょうか。それは、諸説あるようですが、江戸時代の日本ではお茶を煮出して飲む習慣があり、手軽に転用できる急須が好まれたんだとか。
当時の急須は中国製でとても高価だったため、国内生産がスタート。加えてお茶が入れやすい茶こしが普及し、日本独自の急須に進化しました。
何げなく使っていた急須に、お茶の歴史がぎっしり詰まっていたなんてビックリ! さらに最近では一般的な陶器の急須だけでなく、お茶の香りをより楽しめる磁器や耐熱ガラス、金属、木などさまざまな材質で作られていて、急須の進化はまだまだ続いている模様。ますますどれにしようか迷ってしまうわー!
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参照:煎茶手帖 蝸盧 karo
イラスト:飛田冬子