50代からの女性のための人生相談・202
人生相談:48歳・不安が多すぎて、長生きしても幸せでいる自信がない…
人生相談:48歳・不安が多すぎて、長生きしても幸せでいる自信がない…
更新日:2025年03月07日
公開日:2025年02月21日
48歳「早く死んだ方が幸せでは?と考えてしまう」というお悩み
年齢を重ねるごとに日々生きて行くことに疲れ、死を考えることが多くなりました。
自分自身の健康の不安、夫の健康の不安、社会情勢、災害への不安など理由はたくさんあります。夫との今の関係性にも不満があるのだと思います。
長く生きても幸せでいる自信がなく、「早く死んだ方が幸せなのでは?」と考えてしまいます。
子どもは息子が一人いて、これから高校受験を迎えます。今、私が死を選ばないのは、「親が自殺すると子どもがその影響を受ける可能性がある」と聞いたことがあるからです。
積極的に死にたい自殺したいわけではありませんが、いつも死にたいと考えながら生活することが、とてもつらいです。
(48歳・そらてり)
名取さんの回答:不安が現実になったらどう行動するかを考えてみる
「自分自身の健康の不安、夫の健康の不安、社会情勢、災害への不安など」とお書きになられていますが、それだけ不安を抱えて生きていれば、疲れてしまうのも無理はありません。
しかし、不安が原因で生きているのがつらいのは、不安が現実になったときに、そらてりさん自身がどうしたらいいかわからない、それに対処する自信がないという根本的な不安があるからでしょう。
その根本の不安を解消させるには、「不安が現実になったらこうしよう」と、少し真剣に考えてみることをおすすめします。
自分の健康について、私は“体調に気を配りつつ、異変があれば医療機関を受診し、病気なら治療法を確認し、医療者に治療を任せる”と心の準備をしています。あとは「なるようになる」として、放っておこうと思っています。
夫の健康が不安なら、夫の体調管理に気を配り、異変があれば一緒に医療機関を訪れ、病気なら医師の提案する治療法を二人で一緒に確認して、二人三脚で治療に当たるでしょう。
社会情勢の悪化や災害は一人の力で防げるものではありません。私は“どんな不幸を吸っても、吐く息は感謝でありますように”を座右の銘として、いつかやってくるかもしれない“その時”を迎え打とうと思っています。
ちなみに、不安に思っていることの9割は実際には起こりません(拙著『不安の9割は起こらない』 プレジデント社刊を参照してみてください)
命を捨てるくらいなら他のものを捨ててもいい
私が20年ほど前に聞いた友人のミュージシャンの歌に「命を捨てるくらいなら他に捨てるものがあるはず」という歌詞があります。本当にその通りだと思って現在に至っています。
「死ぬ気でやる」「死んだ気になってやってみる」は良く聞く言葉ですが、命を捨てるくらいなら、家族(夫?)を捨ててもいいでしょう。見栄を捨ててもいいし、努力やがんばりを捨ててもかまわないと思います。
その先に、「あのとき、命を捨てないで良かった」と思える人生が待っていると信じています。
別の友人は、そらてりさんとほぼ同年齢の頃「夫に特に不満があるわけではないけど、このままの生活を続けても明るい未来は訪れないのがわかった」という理由で、子どもたちが社会に出たのをキッカケに離婚しました。
それを聞いた私は「この期(ご)に及んで、そんな理由で離婚するとは、なんと潔いことだ」と、嫌なことや不安がないのに離婚するという理由に半ば呆れ、実際の行動力に半ば感心しました。
彼女の言う“明るい未来”は、夫の面倒を見ないで一人で生きて、好きなことをする人生だったようです。その目的達成のために、彼女は具体的な行動に出たのです。
そらてりさんは、多くの不安の雲によって“明るい未来”が隠されてしまっているのかもしれません。
そらてりさんにとって“明るい未来”とは何なのか、それが自分の努力で実現可能なのかを考えてみてください。
そして、ご自身が描く“明るい未来”に向かって進んでみてはいかがでしょう。命を捨てるくらいなら、それをやってみる価値や時間はあるでしょう。
子どものために自殺を思いとどまるのは賢い選択
自殺を思いとどまっている理由にご子息のことがあるようです。とても賢い選択だと思います。「人を賢くのするのは未来に対する責任感である」は私の好きな言葉です。
自ら命を絶った人がいると、その周囲にいた8人が「そこまで思い詰めていることになぜ気付けなかったのか」「なぜ止められなかったのか」というトラウマを一生抱えて生きると言われます。
そらてりさんが自ら命を絶てば、ご子息は一生そのトラウマを抱えて生きることになります。しかし、そのとき、この世にいなくなったそらてりさんに為す術はありません。
また、「自ら命を絶った人は身近に自ら命を絶った手本になる人がいた」とも言われます。
ご子息も将来不安やつらいことがあったとき、お母さんにならって、楽になるために自ら命を絶つ可能性が増えます(脅かすようでごめんなさい)
そのような意味で、ご子息のことを心配されるのは理に適っていると思われます。
上記の二つの点は、「積極的に死にたいわけではない」今、心に刻んでおいた方がいいでしょう。
去ることを待たれて去る人は幸せ

最後に、私の父の言葉をご紹介します。私の母は57歳で、すい臓がんで亡くなりました。そのとき、父は62歳でした。父はあまりにも早い妻の逝去から1年たったある日、色紙に言葉をしたためました。
「去ることを待たれて去る人は、去ることを惜しまれて去る人より、ずっと幸せなのです」
(妻は去ることを惜しまれて若くして亡くなった。へたに生き長らえるよりその方が幸せだと言う人もいるだろう。しかし、妻は孫を3人しか知らないし、一緒に遊ぶこともできなかった。私はこれから生まれてくる孫たちにも会えるし、一緒に遊ぶこともできる。“まだ生きている”と、去ることを待たれているくらい長生きする方が、ずっと幸せなのだ)
そらてりさん。どうぞ、どれほど不安を吸っても、感謝の息をたくさん吐きながら、長生きしてください。私もそうしようと思っています。
回答者プロフィール:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)『心がほっとする般若心経のことば』(永岡書店)など、著書多数。
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