更年期の不調はホルモンより“栄養”がカギ!#2
更年期に摂っておくべき「2大ミネラル」肌も髪もメンタルも助けるコツ
更年期に摂っておくべき「2大ミネラル」肌も髪もメンタルも助けるコツ
更新日:2025年11月17日
公開日:2025年11月06日
教えてくれるのは、梶 尚志(かじ・たかし)さん
梶の木内科医院院長、七夕医院名古屋院総院長、医学博士。総合内科専門医、腎臓専門医として年間約5万人の患者を診察する中で、「体の不調」に栄養学的なアプローチから治療と生活指導を行う。著書に『更年期の不調の原因は栄養不足が9割』(あさ出版)など多数。
体中に栄養を届ける酸素をサポートする栄養素とは?
前回は更年期の不調に潜む“隠れ栄養不足”について解説しました。今回は見落としがちな「2大ミネラル」について紹介します。
鉄は、体にとって欠かせないミネラルの一つです。
鉄というと、「食事から摂るのが難しそう」「レバーを食べなきゃいけないんでしょ?」「貧血の人が飲むサプリ」といったイメージがあるかもしれません。
でも、鉄は年齢を問わず、すべての女性にとって大切な栄養素であり、特に更年期の不調とも深く関わっています。鉄は、体のすみずみに酸素を届けるために欠かせない栄養素です。
酸素が行きわたらなければ、内臓の機能が十分に働くことができず、その結果、 だるさの原因にもなります。また脳の酸欠が頭痛、めまいを引き起こし、その他動悸、冷え、息切れなど、さまざまな不調が起こりやすくなります。
体のエネルギーの元となる「ATP(アデノシン三リン酸)」を作るときにも鉄が必要です。鉄がしっかり足りていれば、ATPの産生がスムーズに行われ、疲れにくい体を保つことができます。
隠れ貧血に注意!フェリチンでわかる鉄不足サイン
健康診断で「貧血ではありません」と言われたとしても、体の中に蓄えられている鉄が足りていないことがあります。
この蓄えられている鉄のことを“貯蔵鉄“といい、フェリチンというタンパク質の値(血清フェリチン濃度)を調べることで、ある程度わかります。ヘモグロビンの数値が正常でも、フェリチン値が低ければ「隠れ貧血」の可能性があるのです。
女性は、思春期に月経が始まってから体の成長に鉄が使われ、さらに妊娠・出産・授乳などを通じて、長いあいだ鉄を失い続けています。
特に月経時の出血が多い人や、過度なダイエットをしている人、子宮筋腫による過多月経がある人は、鉄の喪失がさらに多くなります。
でも、多くの方が「自分は鉄不足かもしれない」ということに気付いていません。
なぜなら貧血の状態に慣れてしまって、不調があっても、それが鉄不足によるものだとは思わないまま過ごしている方が少なくないのです。更年期になると、閉経によって出血はなくなりますが、それまでに鉄をしっかり蓄えてこなかった場合、その影響が閉経後もさまざまな形で現れやすくなります。
私のクリニックでは、更年期を迎える前の段階から鉄の補充を始め、年齢に応じたケアを行っています。
鉄は、酸素を運ぶだけでなく、筋肉の維持やコラーゲンの合成にも関わっています。年齢とともに落ちやすくなる筋力や肌のハリを保つためにも、鉄は欠かせない栄養素です。
「年齢のせい」と見過ごされがちな不調も、鉄をしっかり補うことで、驚くほど元気
を取り戻す方がたくさんいます。
必須ミネラル1「鉄」:不足するとメンタルや肌トラブルの原因に!
鉄は、気持ちの安定、肌の若々しさ、薬の効き方にも関わっている、大切な栄養素です。気分が落ち込みやすい、イライラしやすい……そんな心の不調の背景に鉄不足があることも。
神経の伝達に必要なホルモンは鉄を使って作られるため、鉄が足りなくなると気分の波が大きくなりやすくなります。
月経前になると気持ちが不安定になったり、ささいなことで人に当たってしまったりすることはありませんか? こうした変化は、若い女性だけでなく、更年期以降の世代にも起こります。
さらに、鉄は「カタラーゼ」という酵素の材料にもなります。この酵素は、肌の「サビ」を防いで、シミやくすみの予防をサポートしてくれる存在です。鉄が不足すると、酵素の働きが弱まり、肌の老化が進みやすくなります。
薬の代謝にも鉄は関わっていて、足りていない状態では、薬が体の中でうまく処理されず、副作用が出やすくなることもあります。「なんとなく薬が合わない」と感じたとき、その裏に鉄不足がひそんでいるかもしれません。
必須ミネラル2「亜鉛」:修復と再生のキープレイヤー
亜鉛は、体の中でさまざまな役割を果たしているミネラルです。
女性ホルモンのバランスを整えるのに役立つほか、タンパク質の合成や細胞の分裂、抗酸化作用、生殖機能、免疫機能のサポートなど、幅広い役割を担っています。
私たちの体の中では、日々、細胞が少しずつ傷つき、古くなったものが新しいものへと入れ替わっています。特に皮膚や髪、爪、口の中の粘膜などは、紫外線や摩擦、乾燥といった刺激を受けやすく、毎日ダメージと修復をくり返している部分です。
例えば、擦り傷が1~2週間で自然に治るのは、傷ついた細胞が新しい細胞に置き換わる仕組みが働いているからで、この「修復と再生」の過程を支えているのが、亜鉛というミネラルです。
中でも口の中の粘膜は、皮膚よりもデリケートで修復サイクルが早く、熱いものを食べてやけどしても2~3日で治るのは、亜鉛がしっかり働いているおかげです。
外からの刺激を受けやすい口腔内では、特に亜鉛が多く使われています。そのため、不足すると口内炎ができやすくなったり、できた傷が治りにくくなったりします。また、舌が荒れたり、味がわかりづらくなるなどの味覚異常が起こることもあります。
肌も髪もつやつやに!更年期世代こそ摂るべき栄養素
年齢とともに免疫力は少しずつ下がっていきますが、免疫力の維持にも、亜鉛は関係しています。
免疫細胞がうまく働かず、炎症がおさまらなかったり、ダメージを受けた細胞の修復が進みにくかったり……。そうした不調の背景にも亜鉛不足が考えられます。
肌や髪の健康にも、亜鉛は大切です。皮膚の表面では、細胞が日々生まれ変わっています。この「ターンオーバー」(生まれ変わり)がスムーズに行われるには、亜鉛の助けが必要です。不足すると、このターンオーバーがうまくいかず、肌荒れやたるみ、くすみ、小ジワといった変化が現れやすくなります。
また、髪の毛を植物に例えると頭皮という“土壌”に亜鉛などの栄養素が足りないと、植物同様育ちにくくなります。実際、男女問わず、脱毛や薄毛のある方が亜鉛不足であることは少なくありません。
さらに、メンタル面ではうつ症状との関係も指摘されていて、亜鉛をとることで改善が見られたという研究もあり、更年期にありがちなイライラや不安、気分の落ち込みなども改善される可能性があるのです。
亜鉛の多い食材として有名なのは牡蠣ですが、頻繁に食べられないのでその他の食材からも摂るよう意識していきましょう。レバーや丸ごと食べる魚(煮干しなど)、貝類、赤身肉、卵・納豆・海藻・ナッツなどを日常の食事に取り入れるのがコツです。
次回の記事では、【食生活編】更年期の不調をラクに!“食べる・避ける・補う”食事の整え方を紹介していきます。
※本記事は、書籍『更年期の不調の原因は栄養不足が9割』より一部抜粋して構成しています。
※効果には個人差があります。試してみて合わない場合はおやめください。
■「更年期の不調はホルモンより“栄養”がカギ!」をもっと読む■
#1:【原因編】更年期の不調に潜む“隠れ栄養不足”
#2:【栄養素編】見落としがちな「2大ミネラル」
#3:【食生活編】 “食べる・避ける・補う”食事の整え方
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