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- 続けたい「朗読」―温かい雰囲気に包まれて―
声を出すことも難しかった私に人前で朗読する勇気を持たせてくれた先生との出会いは、脳出血に襲われてから約2年後、2018年の夏でした。きっかけは、アメリカから帰省していた娘が「京都国際マンガミュージアム」から持ち帰った1枚のチラシでした。
「お母さん、朗読会はどう?」
夏休みにアメリカから帰省していた次女が、孫を連れて行った「京都国際マンガミュージアム」に置いてあったという朗読会のチラシを持ち帰り、私に見せました。
それを目にした途端、脳出血発症以来眠っていた朗読への思いがあふれ「病前のように自由に読めるようになりたい」と言う気持ちが一気に高まりました。その頃の私は、デイサービスでの80代の方のテンポに合わせた早口言葉さえおぼつかない状態でした。
主催者のホームページを見て、京都と滋賀で複数の教室と「小さな発表会」を主催されていることが分かりました。教室に定期的に参加できる自信はなかったので、夫に比較的送ってもらいやすい場所での「朗読ライブ」に行ってみようと、メールしました。「発音・発声に障害を持っている者でも参加できるでしょうか」と。
先生からすぐに返事が返ってきました。「harumatiさま 初めまして、こんにちは。~中略~どうぞお越し下さい。少人数ですがこの日は他にも初参加の方が来られます。お気軽にお越し下さい。お待ちしています」2018年8月22日のことでした。
当日、夫に送られて行くと、男性1名と女性3名の参加者。簡単な自己紹介の後、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をリレー朗読し、先生が主にアクセントの間違いと間の取り方についてのアドバイスをして下さいました。その間、終始和やかな雰囲気に満たされていました。
これなら気後れすることなく続けていける♪
次に参加したのは12月15日。8月にリレー朗読した『銀河鉄道の夜』を一人で読む、そして自分の好きな詩を1つ読むという内容でした。1回目の参加で、この雰囲気なら続けていけそう、いや、続けていきたいと思った私は、私の状況を知っておいていただきたいと考え、「何の前触れもなく」という詩を書き、聞いて頂きました。
こうして「退職後の趣味に」と考えていた朗読の、私の取り組みが始まったのでした。
春風が前向きな気持ちを育んでくれる
まだ肌寒いものの見渡す限りの青空に比良の山々の残雪がキラキラと光を放ち、雪解け間近であることを知らせている2023年2月最終日。近々アメリカから帰省する娘と孫の希望を叶えるべく、「イチゴ狩り」ができるファームを探して湖東に車を走らせていました。
侮るなかれ「イチゴ狩り」! 希望している月曜日は多くのファームがお休み。その上3月いっぱいは既に予約で埋まっている所も多く、「春近し」という雰囲気を楽しみながらドライブしていた夫と私はいきなり焦り始め、路肩に車を止めて電話作戦開始。
少し遠いけれど、近江八幡市に月曜日も開いている「ファーム」を見つけて下見に車を走らせました。そこは、娘が希望している「清潔」で「しっかりした実」が採れる、練乳サービス付きの所でした。温室の中にテーブルと椅子も置いてあるので「イチゴ狩り」ができない私も、「一緒にどうぞ」とのこと。
娘達が帰省する翌日の予約をして一安心。時差ぼけには太陽の下で過ごすのが一番の良薬。
折角近江八幡まで来たのだからと、バウムクーヘンで有名な店が、サステナビリティを体現する形で作った新店舗へ行き、お茶にしました。
終の棲家に帰ると、エレベーター前の玄関に活けた梅の花が、その日の温かさで一気に咲いていました。「良い匂い」下りて来る人、来る人が声を掛けてくれます。
梅活けて 馥郁たる香 お裾分け
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