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- エルミタージュ美術館の美しい床の寄木細工
2018年、ロシアのサンクトペテルブルクへ。エルミタージュ美術館で出会った美術品をご紹介します。床の寄木細工をはじめ、部屋の装飾は王朝時代最盛期を象徴する立派な造りで、すべてが目をみはるばかりのものです。
エルミタージュ美術館へ
ちょうどロシアのサンクトペテルブルクの港に着いたのは、2018年のサッカーワールドカップが開催中。客船から見えるサッカー会場の大ドームが、夜間照明で輝いていました。
そのため、いつもより観光客が多く、エルミタージュ美術館入場には、とても時間がかかりました。入場後も人の波が押し寄せてきて、なかなか満足のいく見学、観賞はできませんでした。古くは宮殿でしたから、それぞれの部屋の装飾は、王朝時代最盛期を象徴する立派な造りで、すべてが目をみはるばかりのものです。
美しい床の寄せ木細工
ご存知の通り、エルミタージュ美術館は大量の秘蔵コレクションを展示しています。イタリアルネッサンスに始まって、バロック、印象派などなど。
2階のほとんど(一部タイルの部屋あり)の床は美しい寄せ木細工でできています。また、何枚かの大きなドアもシンプルな寄せ木細工で作られていて、真ん中に絵画をはめ込んだりしてあるのも、魅力的です。
ツアー客が多く、なかなかフロア全体を眺めることができず、次の人の波が来るまでのわずかな時間での鑑賞でした。部屋ごとの天井、壁、窓、ドアが調和していて、フロアの寄せ木細工が一層映えて見えました。デザインもそれぞれが優れています。
多くの人が行き交う床にもかかわらず、未だ色褪せず、大した傷みもなく、現在もそこにあること自体、感動です(修理がされていると思いますが)。当時、多くの着飾った紳士、淑女がこの寄せ木細工の床の上を歩き、何を語っていたのか想像するのは楽しいです。
日本の寄せ木細工
多くの地方でも作られていますが、よく知られているのが、箱根寄せ木細工かと思います。木自身の自然な色や木目を生かして組み合わされる幾何学模様は、飽きることなく長年愛用され続けています。
寄木は日本独特のものと思っていましたら、古代、シルクロードを経て、西アジアから伝わってきたのが江戸時代後期のことだそうで、そんなに古くないようです。
私も中学生の頃、美術の時間にベニヤ板の上に細かく切った薄い板の断片を張り付けて、創作した覚えがありますが、あれが寄せ木の第一歩だったのかもしれません。
旅先のお土産店には小箱、秘密箱、筆箱などが並んでいるのを見かけます。近代では新しい技術やデザインを取り入れた花瓶、お椀、まな板、湯飲み、茶道具、ブローチなど、いろんなものが作られていますが、日本の伝統工芸の技術を守りつつ、今も受け継がれていることは心強いです。日本の寄せ木細工はとても繊細で、美しいです。
古い立派な邸宅の居間や玄関などの床は、寄木デザインフロアーになっているところがあります。ほかには高級レストランや、ブティックにも多く見られます。みなさんのお宅のフローリングを見てください。我が家と同様に、無垢の寄せ木細工になっていませんか。ただ、美術工芸品扱いでなくきわめてシンプルなので、気づきにくいかもしれません。
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