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- 【新型コロナ余波】アメリカでも確定申告が期限延長に
アメリカ・ニューヨーク州に在住のライター黒田基子さん(60歳)が、現地の暮らしを伝えます。新型コロナウイルスの影響でアメリカでも確定申告の期限が4月から7月に伸びました。国民全員が行う確定申告事情と、コロナの影響を解説します。
確定申告はアメリカ国民全員の義務
アメリカの確定申告(tax return)の締め切りは、日本より1か月遅い4月15日。今は大きな宿題を抱えたような気分になる「税金の季節」です。
確定申告が必要な人が限られている日本と異なり、アメリカでは給与所得者だろうと、年金生活者だろうと、全員に確定申告を行う義務があります。
専業主婦の場合でも、夫婦での合算申告をしないと控除は受けられません。ほぼ全国民が申告を行うので税務署の窓口対応などはなく、受け付けは郵送かオンラインのみ。毎年締め切り日の夜は各地の主要郵便局が夜遅くまで営業しており、4月15日の消印を滑り込みで確保するための長蛇の列が風物詩のようになっています。
日本より、もっと複雑なアメリカの確定申告
日本でも医療費控除などのために確定申告をする場合がありますが、アメリカの確定申告は、それよりもずっと複雑です。給与は日本と同様に源泉徴収されますが、会社が年末調整をしてくれるわけではないので、書類をそろえて細かい計算を自分でやらなければなりません。
サラリーマンや年金生活者の確定申告といえども申告書類は何十ページにもおよび、見ただけでも頭が痛くなる代物です。平均的なアメリカ人は申告書類作成に8時間かけているといわれます。
ここ10年ほどで申告も電子化が進み、大多数の確定申告がオンラインで行われるようになりました。しかし、これとてそう簡単ではありません。
オンライン申告は政府のサイトで直接は行えず、国税庁と契約している民間企業が販売しているソフトウエアを購入するのですが、その年度限定のソフトウエアがだいたい50ドルから100ドルです。
さらにお金はかかりますが、税理士(tax accountant)に依頼する人も約半数にのぼるといわれます。
全国に1万店以上の店舗を展開する税理士サービスの大手企業もあるほどです。こうした申告サービスにアメリカ人が使う費用の平均額は約100ドル。つまり、確定申告そのものがアメリカでは大きなビジネスになっているのです。
自分のお金を取り戻すだけなのに、労力がかかりすぎる
これだけの手間とお金をかけてもアメリカ人が必ず確定申告を行うのは、還付金(refund)のためでもあります。
米国国税庁によると確定申告をした人の約70%が還付金を受けており、その還付金の平均額は2017年度で2763ドル(約30万円)だそうです。ちょっとした月収並みの金額です。
しかし、この臨時収入を遊興費に使う人は意外と少なく、8割近くがクレジットカードなどの借金の返済や貯金に充てています。毎年のことなので還付金は多くの場合、予定生活費として組み込まれているのです。
還付金は、本来は自分のお金なのに余分に国税庁に取られていただけのこと。それを取り戻すのにも、これだけの労力とお金がかかることを考えると、ますます憂うつになります。
新型コロナウイルスの援助金の受給にも確定申告が必要!
2020年3月24日現在、アメリカでは新型コロナウイルス感染が急激に広がり、多くの州でロックダウン(食料品店、ガソリンスタンド、医療関係などの必須サービスを除くすべての店舗が休業、学校は休校、仕事は在宅のみ、不要不急の外出禁止など)という異常な事態になっています。例年なら税金申告で大わらわな時期ですが、誰もがそれどころではない状態です。今年は税金
申告の締切も7月15日まで延期されました。一方、政府による個人への給付金が議会で可決され、
これは確定申告のデータをもとにただちに支給されるそうです。
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