禅の教えでラクになる!心と暮らしの清め方#1

【禅の教えに学ぶ】“ひとり力”を鍛えて、ひとり時間を楽しむ習慣

【禅の教えに学ぶ】“ひとり力”を鍛えて、ひとり時間を楽しむ習慣

公開日:2025年10月13日

【禅の教えに学ぶ】“ひとり力”を鍛えて、ひとり時間を楽しむ習慣
禅に学ぶ! ひとり時間の楽しみ方

家族といても、ひとり暮らしをしていても、誰もが時には孤独や不安を感じることがあるもの。そんなときに心の支えになり、ひとりの時間も楽しめるようになる禅の教えや習慣について、観音院の住職・来馬正行さんに伺いました。

教えてくれた人:来馬正行(くるま・しょうぎょう)さん

観音院(東京・武蔵野市)住職。駒澤大学仏教学部卒業。同大学院修了。観音院公開講座〈参禅会・仏典講読会・福田会〉主宰。朝日カルチャーセンター、NHK学園講師。著書に『そうじで清めるこころと暮らし』(マガジンハウス刊)がある。

一人一人、生きる力をちゃんと持っている

一人一人、生きる力をちゃんと持っている

東京・武蔵野市にある観音院。住職の来馬正行さんは、毎朝、参禅会の方たちと1時間半ほど掃除を行っています。

「禅寺では掃除は修行の一環。丁寧に工夫を重ねることで、心のゆとり“功徳(くどく、良き人柄)”が身についていきます。こうしてほうきで落ち葉を掃くと、目に見えてきれいになるという結果がすぐに表れて、楽しいんですよ」

観音院を訪れる人たちは、ひとり暮らしの方、家族と暮らす方などさまざま。50代60代の方も多くいます。

「仏教では、人間の体にはこれまでの経験や生活が全部記憶されている、という考え方があります。人間は生きてきた分、それだけの経験を持っているということ。

そして一人一人、生きる力をちゃんと持っている。それぞれが日々の暮らしを工夫し、小さなことでも自分のできることを見つけて、いつもそれを全うする姿勢が大事。経験豊かな大人世代の方々は、そういう後ろ姿を見せる生き方ができる人たちなのです」と言います。

ひとり力を鍛える習慣1:ご縁

人生は、一期一会。“また”はなし。“ご縁”を大切に生きましょう

ひとり力を鍛える習慣1:ご縁

人生はさまざまな「ご縁」で成り立っています。いつ何が起こるかわからない日々、「また」があると思わずに、出会った現実の出来事に精いっぱい相対する。目の前の人に心を込めて一杯のお茶を入れる「喫茶去(きっさこ)」。

そうした積み重ねが人生を豊かなものにしていきます。

ひとり力を鍛える習慣2:よき行為

よき行為は、よき結果を実現します。自らの内面を見て、自分の力を信じることが大切。何事も正直な姿勢が大切な力になります

仏教には、「人間の体は、よいことも悪いことも、これまでの経験や生活を全部記憶している」という考えがあります。だからこそ一つ一つの行為が大切。自分の内面を見て、よい行為をすればよい結果につながり、人格も向上していきます。

ひとり力を鍛える習慣3:清める

毎朝、歯を磨き、顔を洗って一日を始める。自分を清めれば、清浄さが心に宿ります

ひとり力を鍛える習慣3:清める

道元禅師の『正法眼蔵』の「洗面の巻」では「内外倶淨(ないげぐじょう)なるとき、依報(えほう、環境)正報(しょうほう、自己)清浄(しょうじょう、清められる)なり」と記されています。

自分自身を清潔にすることは、心も清められる大切な習慣。朝、起きたら顔を洗い、歯を磨く。すると、次にこんなことをしてみようと意欲が湧き、生活が充実していきます。

取材・文=野田有香(ハルメク編集部)、撮影=中西裕人

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年3月号を再編集しています。

HALMEK up編集部
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