情報の波に溺れないために~シニア世代とデジタル社会の歩き方

情報の波に溺れないために~シニア世代とデジタル社会の歩き方

公開日:2025年06月10日

情報の海

無数の情報があふれるネット社会の中で、シニア世代が正しい情報を選択するにはどうすればよいのか。情報に振り回されず、自分を守るための方法をお伝えします。

吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

吉原友美

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

正しい情報を選択する方法

雨の季節がやってきました。

外に出かける機会も少し減り、家でスマートフォンやタブレットを手に取る時間が増えた方も多いのではないでしょうか。

ふとニュースアプリを開くと、目に飛び込んでくる無数の情報。健康、老後資金、災害、終活に関するものから、時には心がざわつくような刺激的な見出しまで……。今は、知りたいと思う前に、情報の方から押し寄せてくる時代です。

ニュースアプリ

便利になった反面、「これって本当なの?」「どれを信じたらいいの?」そんな不安を感じた経験、ありませんか?

実は、シニア世代が抱える“デジタル社会の悩み”は年々増えています。

特にこんな声が多く聞かれます。
●ニュースが本当かウソかわからない
●調べても、情報が多すぎて、何を選んでいいかわからない
●怖い話ばかり目にして、不安になる
●専門用語が多くて、読むだけで疲れてしまう

若い世代なら当たり前にできることでも、私たちには戸惑うことも多いものです。それは決して“遅れている”からではありません。

情報の量も、スピードも、私たちの時代とはまったく違う速さで流れているからです。

では、このデジタル社会を、どう賢く、安心して歩いていけばいいのでしょうか?

まず大切なのは、「すべてを鵜呑みにしない」ことです。

たとえば、誰かが話している健康法や、ネットで紹介されている老後資金の情報。一見よさそうに見えても、必ずしも「自分に合っている」とは限りません。時には、誤った情報や、意図的に不安をあおるようなニュースも混ざっています。

そんな時は、「誰が」「どんな目的で」その情報を発信しているのかを考えるクセをつけましょう。

公的機関や信頼できる新聞社が出している情報か?
その情報で誰かが得をしようとしていないか?
感情をあおるだけで、具体的な根拠が書かれていない情報ではないか?

ちょっと立ち止まって、冷静に眺めるだけで、不安に飲み込まれず、自分を守ることができるようになります。

ネット社会から自分を守る

また、「信頼できる情報源をいくつか持っておく」ことも安心材料になります。

たとえば、
・市町村の公式ホームページ  
・厚生労働省や消費者庁の発信する情報  
・長年愛読してきた新聞のオンライン版など

これらを「自分の基準」にしておくと、わからないことが出てきたときも、余計な迷いに巻き込まれずにすみます。

そして何よりも忘れないでいたいのは、「情報に追われすぎないこと」です。

新しい知識を得ることも大切ですが、時にはスマホを閉じて、心地よい音楽を聴いたり、外の風景をぼんやり眺めたりする時間もこれからの人生には必要です。

ネット社会での終活に必要な知恵とは?

終活とは、 “未来への不安”を減らすための準備であり、 同時に、“今を心地よく生きるため”の知恵でもあります。

ネット社会はとても便利な道具です。 けれど、道具に振り回されるのではなく、自分自身の感覚を信じながら、必要なものを選び取っていく力。

それこそが、これからの時代を安心して生きるための、何よりの「財産」になるのではないでしょうか。

たとえ情報があふれる時代でも、あなたの中には、長い人生で培った「選び取る目」がきっと育っています。  

焦らず、惑わされず、あなたらしく、このデジタル社会を歩んでいきましょう。

6月の雨音に耳を澄ませるように。心の声にも、そっと耳を傾けながら。


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吉原友美
吉原友美 東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。終活サポートサイト「今日から終活!」インスタグラムはこちら。