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2018年12月28日
コバミカのおいしい編集生活 第6回
ハルメク編集部員のコバミカは、樹木医・塚本こなみさんの連載を担当しています。今回のおいしい話は、意外と知らない剪定のノウハウです。実は「花が咲かない」というお悩みの原因になるのが、冬の剪定。植物ごとのベストな剪定時期とコツをお伝えします。
「まだ1か月あるし~」なんて高をくくってのんびり過ごしていたら、あっという間に今年も残り数日となっていました……。そんなわけで、年賀状も掃除もなーんにもできていない私。なぜこうも学習せず、毎年同じ事を繰り返しているのだろう、とほとほと情けなくなります。
私と同様に、大掃除にこれから着手する、という方もいるのでは?(←いてほしい!)
大掃除といっても家の中だけではなく、家の外、つまり庭もさっぱりきれいにして、気持ちよく新しい年を迎えたいものですよね。
ですが、この庭の大掃除、ただきれいさっぱりしようと作業していると、翌年「楽しみにしていた花が咲かない」なんていうことにもなりかねないので、注意が必要です。
今回は、樹木医・塚本こなみさんに剪定のコツを伺ってきました!
まず、剪定のお話の前に、塚本さんのご紹介を。
こちらの写真の景色、きっとみなさん一度はご覧になったことがあるはず。世界的に“絶景”として有名になった栃木県のあしかがフラワーパークの大藤棚ですが、この大藤の移植を成功させたのが、塚本さん。「人間の骨折時に使われている石膏ギプスで藤を保護する」という、塚本さんの斬新なアイデアで、20キロも離れた場所からの移殖に成功したのだそうです。
塚本さんは今話題のグレイヘアがよくお似合い!
「ありのままでいいことに気づいた」と、60歳で白髪染めとメイクをやめたのだそう。
私の中で、勝手に「美しすぎる樹木医」と呼ばせていただいています。
そんな樹木のスペシャリスト・塚本さんがハルメクの連載では、読者のみなさんから寄せられる園芸まわりの相談に答えてくださっています。私が毎回、読者のみなさんからいただいた相談はがきを塚本さんにお持ちして、回答いただく「今月の質問」を決めるのですが、相談の中でいちばん多いのがハナミズキやツバキなど「○○の花が咲きません」という内容。
この「花が咲かない」というお悩みを見ると、塚本さんは決まってこの一言……
「剪定ですね」
塚本さんいわく、「花が咲かない」原因のほとんどは、「剪定のタイミング」と「剪定する枝」の間違いによるものだというのです。
まずは「剪定のタイミング」。
みなさんは、いつ庭木を剪定していますか? よく「剪定は落葉したあと」とか「寒くなってから」なんて言われています。確かに、寒くなると樹木は「休眠期」に入り、夏ほど活動が活発でなくなるため、剪定しても木へのダメージが少なくて済みます。
でも、花木の種類によっては、冬に剪定することでせっかく枝に付いていた「花芽」を切ってしまっているかもしれないというのです!
庭木として人気の花木について、剪定の正しいタイミングを塚本さんに教えてもらいました。
■ツツジやサツキ
春から初夏にかけて花を咲かせます。花芽がつくのは、花が終わった初夏から夏にかけて。ですから、花後すぐに剪定をしないと、せっかくついた花芽を切り落としてしまうことになってしまいます。年末に張り切って刈り込みするのは、アウト!! 年末は延びた枝を軽く整えるくらいがちょうどよいのだそうです。(写真=ピクスタ)
■サザンカやツバキ
初夏から夏にかけて花芽がつきます。ということは、花が終わった後から春にかけて剪定すればOK。(写真=ピクスタ)
■ハナミズキ、ヤマボウシ、サクラ
花芽は初夏につきます。でもこれらの種類はそれほど成育が旺盛ではないので、基本的に葉を落として枝ぶりが見やすくなる冬場に、軽く形を整える程度の剪定にしておきます。
■アジサイ
9月に花芽をつけるので、梅雨を過ぎて花が終わったらすぐに剪定。
いかがですか?
みなさんの庭にある花木は、正しい時期に剪定できていましたか?「花芽って花が咲く直前にできるもんじゃないの??」と私なんかはびっくりしたのですが、植物ってしっかり者というか、用意周到というか。何か月も前から着々と準備をして、あれだけの美しい花を咲かせているのですね。
ちなみに私は、ツツジの剪定時期を聞いて落ち込んでしまいました。2年前の年末、実家に帰省した際に、父の庭仕事を手伝って、良かれと思ってツツジを思いっきりバッサリ切っていたんです(←たぶん父は気づいていない)。もしかすると、そのあと両親は「今年は花が少ないね」なんてがっかりしていたかもしれません。あぁ、ごめん。無知な娘を許して~。
そして、花が咲かない2大理由のもうひとつ、「剪定する枝」について。
私はこれまで「ここの枝を切ったらきれいな形になるな~」とか、「枯れているから切ろう」とか、そんな程度のことしか考えずに剪定をしていました。
これは塚本さんの言う「人間本位な剪定」。つまり、“ダメ剪定”です。剪定には、木の形を美しくするだけではなく、枝全体に日が当たるように枝を整理して花芽を充実させ、木を健康体にする、という目的があります。
花が咲かない木は、枝が混みあいすぎて、花芽が十分に育っていない可能性があるのです。
「剪定で大事なのは『なぜこの枝を切るのか』という、切る理由を理解してハサミを入れていくことです!」と塚本さん。切るべき枝は「不要枝」といい、教えていただいた不要枝は11種類。
塚本さんに「この枝を切る理由は?」「これは?」「こっちは?」と実践を交えて結構スパルタ式に教え込んでいただきました。
切るときに「徒長枝」「混み枝」「絡み枝」……と不要枝の名前を口に出しながら作業をすることが、剪定上手になるコツなのだそうですよ。
教えていただいた不要枝は、こちら。
剪定した枝は、捨てずに花壇の支柱に使っています。
枝だと、プラスチックなど人工的な素材の支柱より、自然の景色に溶け込んでくれるのだそう。
さすがのアイデアです。
以上の2つをマスターしておけば、「花が咲かない」と嘆くこともほとんどなくなるはず。
でも、最後に塚本さんがこんなお話をしてくださいました。
「人間でも、背が大きい人と低い人がいたり、顔がそれぞれに違ったりしますよね。それと同じように花木も大きくなりづらい木とか、実がなりづらい木とか、個性があるんです。どんなに手をかけて育てても花がなかなか咲かなかったら、もともと花をつけづらい木だったという可能性もあります。それでも、どうかその木も大事に育ててあげてください」
たしかに人間に置き換えて考えたら、いろんな個性がありますよね。植物も人間も、同じ命ある生物。
私たちは、「花木は花を咲かせるもの」と決め付けて、美しい花を見られることを当たり前に思いすぎているのかもしれないなぁ……。
剪定のコツを知れたことで、満開の花を見るとき「がんばったね、よくやったね」と、そんなありがたい気持ちが湧いてきそうです。
撮影=品田裕美
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