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道後温泉|『坊ちゃん』の温泉地が現代アートの舞台に

公開日:2018.07.02

更新日:2018.08.15

道後温泉のシンボルは、明治27年に建築された「道後温泉本館」です。平成6年に日本の公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定されました。そんな歴史ある温泉地を舞台に、芸術家とコラボするアートイベントが開催されています。

道後温泉本館
        道後温泉本館 写真・のかたあきこ

シンボルは木造三層楼の公衆浴場

道後温泉(愛媛県松山市)は『坊ちゃん』や『千と千尋の神隠し』をはじめ、これまで多くの文学作品や映画の舞台になっています。開湯3000年の歴史があるといわれ、有馬温泉、南紀白浜温泉と並ぶ、日本三古泉のひとつに数えられています。

シンボルは国の重要文化財に指定される「道後温泉本館」です。明治27年に建築された木造三層楼の風格あるたたずまいは、一瞬にしてタイムスリップしたような優美さです。館内には皇室ゆかりの湯殿「又新殿(ゆうしんでん)」や、夏目漱石の「坊ちゃんの間」なども残っています。

素晴らしいのは、文化財でありながらも現役の公衆浴場であることです。2019年1月から大規模な保存修理工事が行われますが、入浴はOK。すぐそばにはもうひとつの外湯「椿の湯」もありますので、日帰りでも、宿泊でも、温泉を存分に楽しむことができます。

 

本館近くの外湯「椿の湯」

温泉街やホテルを舞台にするアートイベント

町内に複数の泉源があり、泉質はアルカリ性単純温泉。水素イオン濃度指数(pH)は9.1と高く、肌がすべすべになる美人の湯として人気です。きめ細やかな日本人の肌にあう温泉といわれています。肌にやさしい無色透明の温泉で、幅広い世代に愛されています。

「道後温泉本館」で朝風呂を楽しんでいると、50年以上通っているという女性に出会いました。「朝風呂は元気をもらえる。歩けなかったのが歩けるようになった」と話していたのが印象的です。路面電車の「坊ちゃん列車」が走り、観光客の目を楽しませています。

宿は10室以下の和風旅館から100室以上の大型ホテルまでさまざまです。外観、客室はもちろん、温泉大浴場もそれぞれに個性を競いあいます。近年は「道後オンセナート」というアートイベントが行われ、彫刻家や写真家、イラストレーター、ダンサーなどが、ホテルや温泉街を舞台にして、斬新な作品を生み出しています(「道後オンセナート2018」は2019年2月28日まで開催中)。

文人に愛された温泉地を走る路面電車

松山市内を走る「坊ちゃん列車」 写真・のかたあきこ

 

夏目漱石の小説『坊ちゃん』以外にも、松山を有名にしたのは松山出身の俳人・正岡子規、そして司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』に登場する秋吉好吉(よしふる)、真之(さねゆき)兄弟です。ともにミュージアムがありますので、訪れてはいかがでしょうか。

道後温泉の人気グルメは、瀬戸内海の幸、伊予牛、そして郷土料理の「みかん寿司」や「じゃこ天」などです。土産には「坊ちゃん団子」やタルトなども人気があります。地ビールの「道後ビール」はビアレストラン「道後麦酒館」をはじめ、料理店で飲めますので、味わってみてください。

まとめ

松山城  写真・のかたあきこ

 

町を見守るように建つのは、勝山にそびえる松山城です。海抜132mの山頂に三重の天守を誇る城は、姫路城と並ぶ典型的な「連立式天守」といわれるもの。我が国最後の完全な城郭建築として、城マニアやファンが多く訪れています。温泉三昧のあとにぜひ拝観してください。

《アクセス》

電車利用は、JR予讃線松山駅からすぐの伊予鉄道松山駅前から約30分、道後温泉駅下車。松山駅へは岡山駅からJRのほか、直行バス(約3時間)もある。松山空港から道後温泉に直行するバスも便利(約40分)。


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のかた あきこ

旅ジャーナリスト、フリーライター&編集者、まちづくり人案内人。旅行読売出版社編集部を経て2002年独立。旅と温泉に詳しく、宿本“旅美人SPECIAL”では編集長を務め、『大人の隠れ宿』『部屋つき露天』など10冊制作。温泉ソムリエ、温泉観光士、厚生労働大臣認定「温泉入浴指導員」、日本温泉地域学会会員。

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