人生後半をポジティブに生きる!大人を応援する映画

宮崎美子!認知症の妻を演じて感じた…不安と希望

公開日:2024.06.01

映画「ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春」で主演・岩城滉一さんが演じる福山健二の妻・佳代を演じている宮崎美子さん。認知症を患う役を通して知ったこと、感じたことなど役作りから、宮崎さんのライフスタイルについてもお話を伺いました。

認知症の妻を支える夫が、妻の亡き後に築く人生

映画「ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春」は、主人公の福山健二(岩城滉一)が、認知症を患う妻の佳代(宮崎美子)を看取り、ひとりになってからの人生の歩みを描いた物語。

健二は佳代との日々を思い出しながら、ひとり静かに生きていましたが、息子の家族、市のコミュニティクラブで出会った同世代の仲間(田山涼成)、水泳教室のコーチ(高月彩良)との交流を通して、壁にぶつかりながらも人生を前向きに生きる姿が爽やかに描かれています。

認知症になった佳代の役作りから宮崎さんにお話を伺いました。

認知症の役作りのため施設を訪れて感じたこと

―認知症の妻という難しい役ですが、出演依頼を受けた理由や脚本を読んだときに感じたことを教えてください。

宮崎美子さん(以下、宮崎美子)
久万真路監督の映画でしたのでお引き受けしました。久万さん(久万監督)から声がかかったので「ぜひ!」と。脚本を読む前に出演を決めました。

―久万監督をとても信頼していらっしゃるんですね。「シェアの法則」(2023)に続いて久万監督作への出演ですが、認知症を患う役は難しかったのでは?役作りのために施設への取材なども行ったと聞いています。

宮崎美子
私が伺ったのはグループホームみたいな施設でした。皆さんがそこに集まって、歌ったり、お食事をしたり、お話をしたりしてらっしゃいましたね。その中で、私がお話を伺った方は、あまり会話ができない様子だったのですが、ご主人と一緒にいらして、ヘアスタイルやお洋服がとても素敵で。ご主人に愛されているんだなというのが伝わってきました。

リハビリの様子も見せていただいたのですが、ご主人がずっとニコニコと見守っていらして……。これもひとつの幸せのカタチなのかなと思いました。

自分や家族が認知症になった時どうするのか自問自答した

―映画の健二さんも、佳代さんを守るように支えていたことを思い出します

宮崎美子
私は、まだ身近に認知症になった方がいないので、今回、初めて現実に触れたんです。映画を観てくださった方の中で、認知症のご家族の世話をしている方がいたら、私の演技を見て「いや、そうじゃない」という声もあるのではないかと思います。でも認知症にもいろいろな症状がありますし、これが絶対というものはないと思うんです。だからあまり神経質にならずに、佳代さんとして生きようと思いました。

―佳代さんから、認知症になったことに信じられない、不安、怯えを感じました。確かに「もしかして自分は」と気づいたら、怖いですよね。

宮崎美子
役作りで認知症のドキュメンタリーを見たり、関連本を読んだりしましたが、自分がそうなるのか、家族がそうなるのか、いずれにしても不安ですよね。そんな思いを感じながら演じました。

人生に前向きになれる!大人世代に勇気をくれる映画

―完成した映画をご覧になって、いかがでしたか?

宮崎美子
とてもいい映画でした。主人公は勇気をくれる存在。人生に対して前向きになれました。

この映画は健二さんと息子家族との交流も描かれているのですが、父親と息子の関係がよくわかりました。離れて暮らしているし、息子は仕事が忙しいから、まめに父親の世話をやく感じではないけど、常に気にかけているんですよね。

―タブレット端末を通してテレビ電話みたいにやりとりしている感じ、リアルでした。

宮崎美子
ときどき「孫の世話を見てほしい」と甘えてきたりするけど、ちゃんと連絡取り合っているし、いい家族です!

人を救うのは、やっぱり人とのつながりだと思う

―主人公は70歳過ぎてひとり暮らしだから、家族は心配ですよね。

宮崎美子
そうですね。でも健二さんはお料理ができるからいいと思います。やはり家事ができるって大切。自分の身の回りのことをしたり、自炊したりすると生活の質が上がりますから。

あと何歳になっても勇気を出して新しいことをやってみる、新しいコミュニティに飛び込んでみるのも大事です。そうすると世界は開いていくんですよね。健二さんも最初は戸惑っていたけど、人とのつながりで人生が豊かになっていきますから。「やっぱり人を救うのは人だな」と、この映画を通してつくづく思いました。

夫にとっては、妻は母でもある!?

―好きなシーンはありますか?

宮崎美子
健二さんは日記を書いているんですが、田山涼成さんが演じる橋本さんと仲良くなったことを佳代さんに報告するように「俺、友だちができたよ」って綴るシーン、大好き。「私はお母さんか?」とツッコミたくなりました(笑)。健二さんにとって佳代さんは、妻だけど母のような存在でもあったのかもしれませんね。

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宮崎美子(みやざき・よしこ)

1958年12月11日生まれ。熊本県出身。80年週刊朝日「篠山紀信があなたを撮ります・キャンパスの春」に応募。このときの写真をきっかけにミノルタ・カメラTVCMに出演し、話題に。同年「元気です!」(TBS)で俳優デビュー。その後、数々の映画、ドラマに出演。クイズやバラエティ番組でも活躍している。最新作はNHK連続テレビ小説「おむすび」(2024年後期)

「ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春」

監督・脚本:久万真路
出演:岩城滉一、田山涼成、宮崎美子

取材・文=斎藤香 写真=中村好伸 ヘアメイク=岩出奈緒 編集=鳥居史(ハルメク365)

ハルメク365編集部

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