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- 人生相談:子育てが終わったら即離婚!準備は必要?
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は55歳女性の「子育てが終わる来年4月に離婚したい!今からできる準備はある?」という相談に、夫婦問題カウンセラーの岡野あつこさんが回答します。
55歳女性「子育て終了後の離婚準備」についての相談
現在55歳、派遣で年収は180万円程度(貯金はない)です。
来年の春には一人娘が自立して、子育てが終了します。その後の夫との二人での生活を考えると息が詰まり、嫌悪感しかないので、子育てが終わったらすぐにでも離婚しようと考えています。
これからは贅沢はできなくても、自分の好きなことをして生きよう!と考えているのですが、何を準備したらいいのかが、わからない状況です。
残り1年!離婚に向けての準備を教えてほしいです。
(55歳女性・さやこさん)
岡野さんの回答:強い意思で「心の準備」と「経済の準備」を
夫婦問題カウンセラーの岡野あつこです。
さやこさんが今日まで一生懸命子どもを育てて、がんばってきた様子が伺えます。夫に何らかの不満があって解決不可能だからこそ、諦めて“娘が自立するまで”という区切りを見据え「そこまでは何も言うまい」「そこまではがんばらなきゃ!」と、離婚というゴールを目指してきたのだと思います。
それももう目前!来年の春までの残り1年の準備を、今から始めるのは必要不可欠なことです。
まず最初に行う準備は「気持ちの整理」です。
さやこさんが離婚を切り出したときに、謝ってこられたり反省してくれたり……もし夫のそんな態度があったとしても、「離婚を選択」という答えでいいのか?しっかり決めておきましょう。また、子どもや年老いた両親に反対されたら……なども見越して、気持ちの整理がとても大事です。
そして何より「経済の準備」です。
今は同居していても離婚となれば、さやこさんが家を出ていくのか?夫に出て行ってもらうのか?という問題が生じます。
妻としては夫に家を出ていってもらいたいのに、出ていかない夫もいます。その場合、本来は家を出たくなくても、妻が家を出ないといけない……という可能性もあります。
さやこさんが家を出る場合、実家に帰れるのか?アパートやマンションを借りて、巣立った子どもとは別に、一人暮らしをするのか?
このように離婚後は住まい一つでも、いろいろな問題が生じます。
そして自分が家を出ていくとなったら、礼金、敷金、不動産屋の紹介手数料、保証会社の費用、前家賃、引っ越し代など家賃の6か月分ほど用意しなければなりません。もちろん、何かあるといけないので、当座の生活費の1~2か月分くらいは用意しといた方がいいでしょう。
夫が家を出て行ってくれた場合も、家のローンは終わっているのか?終わっていないとしたら、ローンは出て行った夫が払い続けてくれるのか?自分がローンを払うとして、銀行のローン名義は変えられるのか?など、ここでもいろんな問題が生じてきます。
離婚となれば、今まであたり前のようにもらっていた生活費などもゼロになってしまいます。
お子さんは自立するとのことなので養育費などはかかりませんが、さやこさんの場合、派遣の収入180万円だけで1年間生活をしないとならないのです。
ただ現在55歳、派遣で180万円程度の収入が永遠に続けばいいのですが、正社員ではないですし、いつ派遣契約が終わるとも限りません。55歳では年金受給はまだ遠く、あと5~10年はもらえないので、それなりに現金でもらえる財産分与がなければ離婚しても生活が成り立たないでしょう。
経済面が一番の障壁に……
さやこさん自身の貯金がないということも含めて、経済的なことを考えると、夢を打ち砕くようで申し訳ないのですが、暗雲が立ち込めてるようにしか思えません。
気持ちだけが急いて、今までの夫に対する不満が爆発寸前となり「離婚すれば幸せがやってくる!」「贅沢しなければ人生なんとかなるわ」と言って離婚して、経済的に成り立たず後悔してしまうケースも多々あるのです。
離婚の調停や裁判で、夫と離婚の理由や財産で揉めて、神経や体調、健康を害する人も出ています。若いときの離婚と違って熟年の離婚は、お互いの思いが長くすれ違ってきた分、相当なエネルギーの消耗となってきます。
決して脅かしてるわけではありません、それを打ち負かすほどの強いエネルギーが必要という意味です。
もちろん、さやこさんのような思いを持って離婚を勝ち取り、本当に強く幸せな人生を送ってる人もいます。どこが違うのかと言ったら“現実を知った上での覚悟”です。そして離婚前の“念入りな準備”です。
「貯金はない」と言っていますが、まずは借りるであろう住まいの家賃の6か月分、そして生活費の向こう1~2か月分の蓄えをしっかり作りましょう!
それを夫に要求することもできますが(離婚してから1年間「現在貯金がないので生活費の面倒見てください」と言って扶養的財産分与をもらえた人もいます)、けんか腰に話を持っていった場合、夫側が出しためしはありません。
共に生活してきた夫への感謝の気持ちを持って
ここは離婚宣言までの1年!“立つ鳥跡を濁さず”の精神で、去り行く妻からこれまで共に結婚生活をしてきた夫へ“敬意を込めてピリオドを打つ”という気持ちを持つといいのではないでしょうか。
この残り1年の段階では後悔しない離婚への最終仕上げとして、一回り成長して大人になり、今までの我慢や嫌な感情にフタをして「今までいろいろあったけど、これまでありがとう」という気持ちになると、びっくりするほど早い解決が望まれるでしょう。
覚悟を持って怠らなければ、離婚は成功してエネルギーも温存でき、第二の人生に大いに役立つ経験となると思います。
回答者プロフィール:岡野あつこさん
おかの・あつこ 夫婦問題研究家、公認心理師。離婚診断士(R)。NPO日本家族問題相談連盟理事長。
自らの離婚経験を生かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。30年間で3万5000件以上の相談を受け、その成功事例ノウハウを数多く持つ。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)がある。
・離婚相談救急隊運営
・YouTube「岡野あつこチャンネル」
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