5月ベストシーズン到来!

360度バラに囲まれた庭!15種類のバラも紹介

公開日:2023.05.20

バラが咲き誇る季節になりました!人気のバラ愛好家・奥野多佳子さんの自庭も、今が盛りです。今回は、裏庭のバラの楽しみ方をご紹介。15種類のバラを配した、芝生を中心に360度バラに囲まれた絶景です。

待ちに待ったバラの季節

奥野さんの庭

待ちに待った5月!

膨らみ始めたバラの蕾(つぼみ)が満を持して咲き始めます。それは一年で一番美しい季節の始まり……。庭のショータイムです。

外塀のモッコウバラのほのかな香りを合図に、美しい庭の舞台の幕が上がります。アーチのスパニッシュビューティーや裏庭のコンスタンススプライが咲き出し、それぞれが競うように踊るように咲いていきます。

ピンク、白、黄、赤、ローズ色……さまざまな色が混ざりあって繰り広げられる可憐な庭の風景に心躍らせる季節! そして最後に咲き出したジャスミーナやフランソワジュランビルなどのランブラーが散り始めると、5月の庭の幕は下りていきます。

たった1か月……。でも、その1か月で来年の5月を目指すエネルギーが生まれます。まさにバラの虜ですね。

今年は我が家の裏庭のバラをご紹介します。

裏庭は芝生を囲み、ぐるっとバラ

奥野さんの裏庭

自分で芝生を丸く張り、周りにレンガタイルを敷いて作った裏庭は、それを取り囲むようにバラや花たちを植えました。まさに360度バラに囲まれた庭。写真は5年前の裏庭です。

奥野さんの裏庭

5年の間に庭も変わりました。新築工事で右側に家が建ち、バラはそのままですが右の銅葉のスモークツリーや左にあった黄金葉のアメリカハナズオウなどは移植し、正面はDIYでブルーの板塀に変えています。

奥野さんの裏庭

塀の外からのぞいた裏庭。バラで囲まれていて、甘い香りでいっぱいです。南に面しているので日当たり抜群!

【西側】壁一面を飾る愛らしいつるバラ

裏庭(西側)

西側は、朝日が当たる裏庭の特等席です。

正面のピンクのコンスタンススプライ、左にはデッキの上の鉢植えのアルベリックバルビエ、デッキに沿った花壇にメアリーローズ、鉢植えのザ・フェアリーがあります。

5年前と変わったのは新築工事があったこの場所です。コンスタンススプライは枝も剪定して鉢上げし、工事終了後、デッキを切り抜いて壁沿いに移植しました。よく根付いたので、この2~3年で以前と同じぐらい大きく育ちました。

コンスタンススプライ

コンスタンススプライ
コンスタンススプライ

裏庭の主役です。
コンスタンススプライはイングリッシュローズ(ER)第1号のバラで、ステムも細くオールドローズのような繊細な雰囲気を持っています。ピンクのたくさんの透き通るような薄い花びらがくるんとカップ状に咲いて、それは本当に愛らしい雰囲気です。 

コンスタンススプライ

ERですが、つるバラの樹形で、細く長いシュートがたくさん出ます。細かいとげはあまり気になりませんが、いろんな方向へシュートが出るので誘引が大変です。ERなのにほのかに甘い香りで一季咲きです。

コンスタンススプライ

コンスタンススプライは、もう20年近く庭を見守ってくれたバラなので、とても思い入れのあるバラ。少し早咲きで、花持ちはあまりいいとは言えないのですが、この上品な愛らしい姿を見ると……もうやめられません(笑)

コンスタンススプライとアルベリックバルビエ

アルベリックバルビエ

アルベリックバルビエ
アルベリックバルビエ

アルベリックバルビエはしなやかな細い枝が長く伸びるランブラーなので、旺盛に枝が出るはずですが、挿し芽で育てた苗、その上鉢で育てているので我が家では成長はゆっくりです。

アルベリックバルビエ

白い花びらのクシュクシュした重なりの中心に淡い黄色がほんのりと出るロゼット咲き。光沢のある葉とのコンビネーションも美しいです。香りはあまりなく一季咲きです。

メアリーローズ

メアリーローズ
メアリーローズ

メアリーローズは淡いピンクの花びらがこぼれ落ちるようにフワフワと咲くERで、シャクヤクみたいとよく言われます。黄緑色の葉と花の色のコンビが爽やかで、蕾から開ききるまでの色のグラデーションが本当に美しい!

我が家では30~40cmの高さに剪定してデッキに合わせて低く咲かせています。このバラも我が家に来てもう20年。伸ばすことより美しく咲かせたいと思って剪定しています。ER独特のフルーツ香で返り咲きます。

ザ・フェアリー

ザ・フェアリー
ザ・フェアリー

小さな花がたくさん咲くポリアンサ系のバラ、ザ・フェアリー。鉢植えしていますが 細い枝がたくさん出て枝垂れる様子はまさに妖精のような愛らしさです。香りはあまりなく四季咲きです。

【北側】窓の上に雲のように咲く白いバラ

裏庭(北側)

北側には、屋根の庇(ひさし)を覆うように咲く真っ白な群星、その右には2つのアーチに伸びる群星と一緒に咲くピンクのスプリングパル、そして中央の花壇の5つのバラ(ミステリューズ、あおい、ラブリーメイアン、バーガンディアイスバーグ、ラベンダードリーム)があります。

群星

群星
群星

裏庭の暴れん坊です(笑)。とても強くてシュートが旺盛に出て伸びていきます。狭い場所に植えるとシュートの持って行き場がなくて困るほど。トゲもほとんどなく誘引しやすいつるバラです。

群星

小さな純白の花が房状に咲き、我が家ではまるで雲のようにふんわりと……それは見事に咲いてくれます。

群星

白い花と蕾のピンクが混じるときが一番きれい! 香りはほとんどなく一季咲きです。

バーガンディアイスバーグ

バーガンディアイスバーグ
バーガンディアイスバーグ

フロリバンダ系のアイスバーグの枝変わり、バーガンディ……深い赤紫色でとても魅力的なバラです。トゲもなく細いしなやかな枝で花付きもよく、あまり病気にもならないのはアイスバーグ譲りですが、香りはあまりありません。

バーガンディアイスバーグ

花びらの裏側の色が違ってグラデーションがあり面白いのですが、シベが花びらと同じ赤紫色でとてもシック! おしゃれなバラ。四季咲きです。

ラブリーメイアン

ラブリーメイアン
ラブリーメイアン

ラブリーメイアンはとってもキュートなかわいいバラ。以前訪れたガーデンで一目惚れしてすぐに取り寄せたほど気に入ったバラでした。細い枝がたくさん出て、好き通ったパステルピンクの中輪の花が房状に咲きます。

花付きがよくて、私は枝垂れるように咲かせていますが、支柱に絡ませてもいい雰囲気だろうなって想像できます。花は繊細ですが、とても強いバラで耐病性もあります。香りはかすかで返り咲きます。

ミステリューズ

ミステリューズ
ミステリューズ

紫が強く出たローズ色がとても個性的なバラです。中輪のしっかりしたバラで、 房状にたくさん蕾が出るのでフロリバンダ系のバラに見えます。我が家のミステリューズは花壇の周りの背の高い花たちに覆われ伸び悩んでいたので、鉢上げして今はコンパクトに育てています。でもス~っと枝が素直にまっすぐに伸びるので大きくなりそうですね。とても香りが強くて返り咲きます。

あおい

あおい
あおい

蕾のローズ色からグレイッシュなピンクへと変化していくとても魅力的なバラ、あおい。たくさんの蕾がスプレー状に付いてよく咲くフロリバンダ系です。少しフリルがかった花びらで、ふんわり咲き花持ちもよく長く咲いてくれます。薫りはあまりなく、四季咲きです。このシックな色合いが大好きです。

ラベンダードリーム

ラベンダードリーム
ラベンダードリーム

ラベンダーピンクの色がかわいいシュラブ系のバラです。細い枝ですが、丸い花びらの平咲きで4~5cmの花がたくさん咲く四季咲きです。あまり病気にならず強いバラです。

【東側】さまざまな色彩のバラが織りなす花壇

裏庭(東側)

庭の東側です。左端のアーチの白いバラは群星、ピンク色はスプリングパル、中央の黄色いバラはグラハムトーマス、それに組み合わせるように遅咲きですが紫のファイルフェンブロウ、右端にはアメリカハナズオウ フォレストパンジーの後ろに(もう散っていますが)早咲きの赤いアルテシモがあります。

裏庭(東側)

スプリングパル

スプリンブパル
スプリンブパル

スプリンブパルは、中輪の花が房になって咲くフロリバンダ系のバラで、淡いピンクの花がフワフワ咲きます。細い枝がたくさん出て、トゲもないので誘引しやすいバラです。

スプリンブパル

サマースノーの枝変わりなのでときどき白い花が咲く時もありますが、とてもかわいい雰囲気です。群星と組み合わせて、白とピンクでふんわりと2つのアーチを縦につないでいます。香りはあまりなく、四季咲きもありますが、我が家では一季咲きです。

グラハムトーマス

 

グラハムトーマス
グラハムトーマス

グラハムトーマス

黄色のバラの中でも透き通ってクリアな色で、とても美しいERのバラです。蕾の濃い黄色からだんだん淡い黄色になっていくグラデーションも、美しく見ごたえがあります。まっすぐな枝で、我が家ではつるバラのように誘引していますがとても花付がよくて優秀なバラ。ただ、花持ちがあまりよくなくて散るのが早いのが残念。香りもよくてよく返り咲きます。

ファイルフェンブロウ

ファイルフェンブロウ
ファイルフェンブロウ

ファイルフェンブロウは、すみれ色の小さな花が緑の葉を埋め尽くすように咲きます。トゲもない細い枝が伸びるランブラーで遅咲きです。香りは少しで一季咲きです。

ファイルフェンブロウ

ファイルフェンブロウの花びらは紫色に近いのですが、一つの花でもグラデーションがあって柔らかな色彩です。陽に当たると透けて本当にきれいで、他のバラとの相性もいいのです。この独特の色彩のバラってあまりないように思いますが、古くからあって私の好きなバラの一つです。

【南側】DIYのブルーと競演する白と赤のバラ

裏庭(南側)

南側には、青いドアの三角アーチの赤いアルテシモ、ブルーの板塀に沿って白いウエディングデイ、二つの間にピエールドロンサールがあります。

ウエディングデイ

ウエディングデイ
ウエディングデイ

ウエディングデイの蕾は黄色ですが咲くと純白になり、小さな花がたくさん咲きます。ランブラーなのでぐんぐん細い枝が伸び、細かいトゲもそれなりにあります。でもほかのバラが咲き終わる頃に咲き出す遅咲きで、ふんわりとダイナミックな姿が楽しめます。

ウエディングデイ

黄色いシベが花火のように飛び出してとてもかわいく、香りがよくて一季咲きです。息子が結婚した年に植えたメモリアルのバラなので大切に育てています。

アルテシモ

アルテシモ
アルテシモ

アルテシモは、群星と競えるほど強健のつるバラです。このバラのトゲには絶対触りたくない……と思うほどの大きなトゲですが、咲くと一重でビロードのような花びらがひらりと優雅で、友人の間でも人気があるバラです。花持ちがよく長く咲いています。香りはあまりなく一季咲きです。

アルテシモ

このバラは我が家に来てもう25年目のバラです。年を経て枝数は減りましたが、それでもなお最初と同じくらい美しく咲き誇り、バラの力を改めて思い知らされました。

私の裏庭の楽しみ方

庭はよく日が当たる中央に芝生を張っているので、「一番日当たりのいい場所にどうして花やバラを植えないの?」と友人によく聞かれます。そういえばそうだなって思いながら……。

庭作りは自分の思い描く庭を作るためにがんばるのですが、私の思い描く庭は美しい色合いの庭はもちろんですが、同時に家族や友人が集える楽しい庭を作ることも理想です。

中央の芝生で家族友人が楽しく過ごせると、私もうれしくて、また庭作りをがんばれるのです。

裏庭(夜)

裏庭では毎年ゴールデンウィークに家族でBBQをしていますが、先日はナイトBBQをしました。

ほのかな明かりに照らされたバラは、昼間見るのとは違って妖艶でミステリアス……みんな驚いていました。裏庭の楽しみ方……いろいろありますね。

裏庭

左のコンスタンススプライや右のグラハムトーマスが散り始め、手前のウエディングデイが満開になると、左下のジューンベリーの実が赤く色づき始めます。実が黒くなったら鳥さんと競争しながら収穫してジャム作りです。毎年同じサイクルを繰り返しますが、毎年楽しい自然のサイクルです。


奥野多佳子

1952(昭和27)年、兵庫県生まれ、大阪府在住のバラ愛好家。82年にタペストリー制作を始め、2000年に陶芸、04年に庭づくりを始める。豊中市美術協会会員。兵庫県立美術館で解説ボランティアに参加。ブログ「Soleilの庭あそび…布あそび♪」は人気です。

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