ハルメクのシンクタンク所長が考察

2023-2024年シニア独自の新トレンド5は?

公開日:2023.12.18

雑誌「ハルメク」のシンクタンク「生きかた上手研究所」所長の梅津順江が、ミドル~シニア世代の女性のトレンドを読み解きます。今回は、2023年の振り返りと2024年も続くだろう流行をキーワードにまとめます。5つのトレンドを味わってみてください。

2023-2024年シニア世代のトレンドを発表!

2023年も、一年を振り返る年末行事が、やってまいりました。
日本のボリュームゾーンになったシニア。この世代にも流行があるし、それをまとめた発表会や記事があってもいいのでは?

ということで、50歳以上の意識・消費動向を日々洞察しているハルメク生きかた上手研究所は、2021年から年末に「トレンド」を公表しています。2023年も12月6日にハルメク世代にフォーカスした「シニアトレンド2023-2024」を発表しました。

ちょっとその前に、2023年を一挙総括

国際情勢が一段と不安定化し、不確実性が高まりました。日本経済においては物価高や海外経済の減速などの下押し要因が目立ちます。シニアも、昨今のインフレ対策を意識しました。

また、今年は最高気温35℃以上の猛暑日が連日観測されるなど、気候変動が避けられないことを実感しました。シニアは自分の健康は自分で管理せねばと、現役世代以上に体を労わる工夫をしながら変化に適応しています。

不安、不確実といった負の要素ばかりではありません。明るい兆しが見えた1年でもありました。新型コロナウイルス感染症が5類に移行して、人々が日常に戻りました。インバウンド消費が再燃しています。

シニアも例外ではなく、外向きマインドにシフトしています。お出掛けの機会が増え、外食産業や百貨店の復調に寄与しました。

またWBCやラグビーワールドカップ2023での日本代表の活躍などスポーツイベントが目白押しでした。リアルな応援を通じて、子や孫とのリアルなコミュニケーションも復活しています。

現役世代では、「生成AIで DXの推進」への期待が大きい年でもありました。シニアのデジタル化も加速。2023年はSNSが大幅に普及しました。

23年の傾向と24年のトレンドの芽を5つのキーワードにまとめています。「これは自分にも当てはまる」「これは違う」という感じで、気軽に読んでもらえればうれしいです。

トレンド1:#インスタグランマ

インスタグランマ

当研究所の定点調査では、シニアのSNS利用率がコロナ前(19年)11.9%→(23年)31.9%になりました。Instagramの利用率の急伸(4.4%→22.2%)が、シニア女性のSNS普及を牽引しています。

いくつになっても輝き続ける50~80代のシニアファッショニスタ、通称「#インスタグランマ」は、こだわりのライフスタイルをアップ。年齢を言い訳にせず、おしゃれに対する好奇心を忘れない彼女たちはひときわ輝いています。

それだけではありません。いくつになってもバイタリティあふれる姿に希望や勇気が湧いてくる、人生のお手本にしたいと、#インスタグランマは下の現役世代のインフルエンサーになっています。

2024年以降もフォロワー数を増やし、全世代の人生の手本として、希望や勇気を与える存在として、SNSを席捲していくことでしょう。

トレンド2:孫と推し活

トレンド2:孫と推し活

新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、シニアも外出する機会が増えました。当研究所の調査結果では、推しがいる50歳以上の女性は2022年調査から13%増加し約半数(47.9%)となりました。

ネット活用だけでなく、今年はリアル活動にも意欲的で、年間平均約10万円を推しに費やしています。行動やコミュニケーション、パターンなどが多様になり、活動に幅が出てきました。

また、新しい兆しとして、ゲーム・ライブ・スポーツなど、子や孫と同じ対象を推す傾向が見られました。具体的には、子どもと一緒に球場に出向いて応援したり、孫と同じアニメ・漫画を見たり、ゲームをしたり、娘たち家族とコンサートやライブに参加したり、と3世代で推し活をする様子が見られました。

推しを通じて子や孫とのリアルなコミュニケーションが復活。推し活の世代差や垣根はなくなりつつあります。

24年もパリオリンピックが控えています。来年も引き続き、子や孫と同じ対象を推し、世代を超えて体験を共有するパターンは広がっていくと予測します。

トレンド3:筋トレ シニア

トレンド3:筋トレ シニア

RIZAPグループが手がけたコンビニジム「chocoZAP」などの快進撃に伴い、フィットネスジム業界のすそ野が広がりました。RIZAPの60歳以上の会員の比率が20%を超え、コロナ前の2倍になったというニュースもありました。

当研究所がシニア女性を対象に調査した結果では、年間平均約13万円を健康に費やしていることがわかりました。そのうち「フィットネスジム」の占める割合は約3割で「医薬品・医療品」や「サプリメント」を上回っています。

元々、シニア女性は健康意識が高いです。これまでシニアの運動は「体操やストレッチ」「ウォーキング」がメインでした。

ちょこっと気軽に運動できる場が増えることで、シニアの「筋トレ」意欲が高まり、2024年以降もフィットネスジムに通うシニアが増大する見通しです。

トレンド4:投資はじめました 

トレンド4:投資はじめました 

「運用は現役世代のことで、人生を折り返した自分たちには関係ない」と、大半のシニアはこれまで投資と距離がありました。しかし、低金利や物価高で資金が目減りしていく対策として、年金世代もようやく投資に乗り出しました。

大手ロボアドバイザーの実績によると、50歳以上女性の資産運用者(23年)は、19年(コロナ前)比較で6倍の伸び率です。全体におけるシニアのシェアも約2.4倍です。

24年は新NISA制度が始まります。投資するシニアが増えることで日本経済を活気づけていくと予測します。

トレンド5:シニアは体(タイ)パ

トレンド5:シニアは体(タイ)パ

シニアも、タイムパフォーマンス(略して「タイパ」)を重視するようになっています。

博報堂生活総研データによると、「レトルト、冷凍食品、総菜などの調理済み食品をよく使う方だ」と回答した割合は、コロナ前の18年比で、50代10.7ポイント、60代7.8ポイント上昇しています。

猛暑の中、家事などを手間抜きして時間を効率よく使ったら、体力も使わずにすみ、自身の体の負担も減らせることがわかりました。時間だけではないので、タイパに「体」の文字を当てています。

24年も、体の負担を減らしながら、時間を効率的に使う工夫は進むでしょう。実際、24年のおせちも手作りではなく、ネットショッピングなどで早めに「冷凍おせち」を注文しています。

シニア独自の未来への種まき

シニアにとって、「どう生きるか」は「どう老いるか」という意味と重なります。変化が激しく、先行きも見通せず、複雑で曖昧な時代をどう生き抜くかは大きなテーマです。

人生を折り返しても、「SNS」「EC」「推し活」など、新しいことに挑戦しています。「投資」「筋トレ」にも踏み出しました。人口が多いシニアが前向きに動き出せば、よい経済効果を生んでいくに違いありません。

一方で、長寿社会の中で自分が無理せずラクに老いるコツや知恵を探しています。

気持ちと体との折り合いをつけながら、決して若者の追随だけではない、シニア独自の新しいトレンドは、今後も生まれていくことでしょう。シニアが未来への種まきを始めています。

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梅津 順江

うめづ・ゆきえ 生きかた上手研究所長/インタビュアー。1年間に約700人の素敵な女性にお会いし、誌面や商品開発の種になる話を伺っています( ͡° ͜ʖ ͡°)/。のんきな夫との2人暮らし。趣味はダイビング、マンホール、美術鑑賞、食べ歩き。

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