エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
山本ふみこさんのエッセー講座 第6期第4回
エッセー作品「夢のかけはし」夛田せい子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクのエッセー講座。教室コースの参加者の作品から、山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第4回のテーマは「かけはし(橋)」です。夛田せい子さんの作品「夢のかけはし」と山本さんの講評です。
エッセー作品「夢のかけはし」夛田せい子さん
夢のかけはし
20年程前になりますが、今でも忘れられない夢をみました。
木道を私は歩いていました。そこは一面の草原でしたが、尾瀬ヶ原のような湿地だったのでしょうか。
木道から外れて父と夫が並んで立っていました。
2人共いつものカーディガンを着て、にこにことおだやかな表情でした。
木道をこえてかけよって、夫のうでをたたいて、「元気だった? 大丈夫?」と話しかけていました。
目がさめても夫の腕の感触がリアルに残っていたのでびっくりしました。
その日は義母を連れて、飛行機で和歌山に法事にいく日でした。もしかしたら予知夢……?
飛行機が落ちるのかもしれないと思ったのでした。
でも怖さも不安も全くありませんでした。
夫をみおくる理不尽さをうけいれた私です。
それも又仕方ないと妙に納得していました。
それに、今もしも、飛行機が落ちたとして、子供達にとってそれは悪いことばかりでもないかなと思いました。相談相手には私の母がいるし、義父はホームでおちついています。
認知症がすすんでいる義母を私が連れていけば、子供達の負担も少なくなるだろう……。
そんなことを思いながら、飛行機に乗り、和歌山に無事につきました。
法事が終り、和歌山をたつ時も、まだまだ油断はできません。
無事に羽田に着き、家に帰ることができました。
後日、夫の親友に笑い話としてこの話をした時、彼は真面目に最後まで聴いてから「彼は元気だったんだね?」と聞きました。
「うん、元気な時のまんまだった。腕バチバチたたいてたしかめたの。」
「よかったね。」
「うん」
あれから夫がでてくる夢をみていません。
又会いたいなと思うのですが。
山本ふみこさんからひとこと
だんな様の親友とのやりとり、じつに自然で胸に沁みました。
早くに旅立たれたせい子さんのだんな様は天国から毎日、この世のせい子さんの周辺のあれこれを眺めては、笑いをこらえ、目頭を押さえて……さぞかし忙しいことでしょう。
すばらしいせい子さんの随筆も、お読みくださいましね。 ![]()
山本ふみこさんのエッセー講座(教室コース)とは
随筆家の山本ふみこさんにエッセーの書き方を教わる人気の講座です。
参加者は半年間、月に一度、東京の会場に集い、仲間と共に学びます。月1本のペースで書いたエッセーに、山本さんから添削やアドバイスを受けられます。
現在、第7期の参加者の募集中です。申込締切は2022年1月7日(金)まで。詳しくは雑誌「ハルメク」1月号の誌上とハルメク旅と講座サイトをご覧ください。
■エッセー作品一覧■
ハルメク旅と講座
ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪
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