黒木瞳さんが60代から始めた趣味――体幹トレーニングにもなる乗馬の魅力
黒木瞳さんが語る、60代からの新たな一歩の踏み出し方とは?年齢を超えて楽しむ体づくりを後押しした言葉とは?――黒木瞳さんの最新エッセー『甘くない話』より、2026年のスタートにふさわしい前向きなエピソードをご紹介します。
黒木瞳(くろき・ひとみ)さんのプロフィール
俳優。1981年に宝塚歌劇団に入団し、娘役トップスターとして活躍。退団後は、俳優として数多くのドラマや映画に出演、エッセイや詩集なども執筆している。エッセイ『母の言い訳』(集英社)では第23回日本文芸大賞エッセイ賞受賞。映画監督としても「十二単衣を着た悪魔」など4作品を世に送り出した。
2026年3月23日 (月)、・24日(火)、東京・コットンクラブで日本のタップダンス界を牽引する第一人者・玉野和紀、自由で繊細な表現力を誇るHideboHとタップダンスのステージ「TAP OF DREAMS +」を開催。
スタートは72時間以内に
ワタシ、乗馬を始めた。
ある乗馬クラブを検索していたら、“初めての人の乗馬体験”というレッスンがあった。やってみたいなと思ったときに、「やる気があったら、72時間以内に始めること」という言葉が私の目に飛び込んできた。
なんの本だったかは覚えていないけれど、その本には、「72時間が過ぎたら一生やりません」とも書かれていたっけ。そうか、やろうと思ったときにやるしかないんだ、年齢は関係ないんだって心を決めて、申し込んだ。
なんで、私が乗馬をやりたかったかって?
実は、 幼い頃、父が馬に乗っている写真を見たことがあったのだ。その若かりし頃の父をかっこいいなぁと思っていた。いつか私も馬に乗れたらどんなにいいかしらんと思っていた。
でも月日は流れ、一生、乗馬とは無縁なのだと思っていたんだけれど。
申し込みをしてからというもの、ついに、このときを迎えるのだと、ちょっと興奮した。
乗馬の初めての体験コースは、めちゃくちゃ楽しかった。馬に乗ると目線が高くなり、馬って背が高いんだと改めて思う。馬の普通の歩きは、四拍子、四本の足を使うからだ。
早歩きだと、二拍子。駆け足になると、「パッパカ、パッパカ、パッパカ」と擬音で表現されるように、三拍子となる。
初めての経験で、二拍子までコーチにやっていただいた。とりあえずレッスンは事なきを終え、いい汗を流した私は、帰るときにはもう次の予約をしていた。
年齢に関係ない楽しみ
それからというもの、週一で乗馬クラブに通っているワタシである。
やってみたいと思ったことを叶えているという自己満足ではなく、乗馬は、体幹を鍛える訓練になるということが分かった。
ただ馬に乗って身を任せているだけで、自然と体がバランスをとっているというわけだ。
しかも短時間で全身運動にもなっている。
ダンスとは違う汗をかきながら、都心の真ん中で、まるで大自然の中にでもいるような錯覚さえ覚える。馬を歩かせたり走らせたり止まらせたり、する。車の教習所に通っていた頃を思い出して苦笑いする私である。
今はまだ、馬に乗せてもらっているという感じだけれど、そのうちに、自分で走らせることができたら爽快だと思う。首を叩いて褒めてあげたり、顔を撫ぜたり人参をあげたりしながら、言葉は通じなくても馬とのコミュニケーションも楽しみのひとつでもある。
「年齢に関係なく、乗馬は楽しめますよ」とおっしゃるコーチの言葉に励まされている。
スタートは72時間以内を実践し、初めての経験に勇気を出して良かったなとつくづく思う。
黒木瞳さん新刊『甘くない話』

感謝にあふれた出会いやご縁、本や映画の話、俳優の飾らない日常、ありのままの自分――。黒木瞳の素顔に出会える、15年ぶりのエッセイ集!
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