好奇の目・偏見にさらされても、変わらずいられた理由
2024.10.062023年11月03日
【シリーズ|彼女の生き様】山田詠美#2
本当の孤独を引き受けたとき、最初の一歩を踏み出せた
この孤独から 誰も私を助けてはくれない―― ならば孤独を引き受けて、 自分で自分を救わなければ
漫画家から小説家へ――自分を見限ることも才能
――サラリーマン家庭の長女として育ち、本を読むことがなにより好きだった少女時代。高校に入ると、文武両道に憧れて文藝部と山岳部へ。大学では日本文学を専攻しましたが、山田さんにはまだ「小説家」への道は見えていなかったといいます。
何かを作る人になりたいとはずいぶん前から思っていたけれど、本当は漫画家になりたかったの(笑)。小説を読むのは好きだったけれど、それ以上に漫画も好きで、自分でも描いていました。でも、絵を描くのはすごく下手だったのね。私は下手だからと自分のことを見限ることも、一つの才能だと思うんですよ。
漫画家にはなれないと早々に悟ったけれど、ストーリーを作るのは得意だったし、文章を書くのも大好きだった。子どもの頃はよく友達の読書感想文やラブレターを代筆していたので、文章修業のトレーニングも積んでいたなと。
私にはもう小説を書くことしかできないという思いがあって、その道へと向かいました。それでも、なまじ本読みなので目が肥えていて、読者の自分からすれば書き手の自分をなかなか許せなくて……。実際に小説を書くまでには長い時間がかかりました。...
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