「もっと優しくすればよかった」父を見送った今も心に残る介護の後悔
いつまで続くのだろうと思っていた父の介護。けれど、その終わりは突然やってきました。何度も「ありがとう」と言ってくれた父に、私はその言葉を返せなかった。父を見送った今、介護の日々を振り返って思うことがあります。
永遠に続くように思えた父の介護
「いつまで、こんな介護が続くのだろう」
父を介護していた頃、私は何度そう思ったかわかりません。
介護中心の毎日。自分の時間が欲しかった。
外に出かけていても、心のどこかではいつも父のことを気にしていました。
家に帰れば、また介護が待っている。
紙パンツを取り替えるたび、父は「ありがとう、ありがとう」と言っていました。
しかし、当時の私にとって紙パンツの交換は日常茶飯事。
父が何度も口にする「ありがとう」という言葉さえも、私は当たり前のように受け取って、無言で紙パンツを取り替えるようになっていました。
心の中では無愛想な自分が嫌で「お父さんに悪いな……」と思っていたんです。
でも、どうしても素直な言葉が出てこなかった。
あの頃の私は、明日もあさっても……ずっとこの生活が続くと思っていて、父と過ごす一日一日が、かけがえのない時間になるなんて考えもしなかったのです。

介護が終わってから気付いたこと
けれど、介護の終わりは突然やってきました。
亡くなった父の姿を目の前にしたとき、咄嗟に出た言葉は「ごめんね」でした。
心の中でずっと思っていた言葉が溢れ出てきたのです。
「ごめんね、ごめんね……」
何度言っても言い足りませんでした。
「優しくできなくてごめんね」
「いつも黙ったままでごめんね」
そしてこのとき、はじめて私は父が何度も言ってくれた「ありがとう」は当たり前じゃなかった。
「ありがとう」と言わなくちゃいけないのは私のほうだったんだ……と気付いたのです。

伝えたい言葉を「いつか」にしないで
ここで私は、今介護をしている人に「もっと優しくして」と言いたいわけではありません。
あの頃の私にそう言っても、きっとできないと思うからです。
介護の真っただ中にいる人は、それほど毎日を必死に生きています。
イライラする日があっても、「もう限界」と思う日があっても当然です。
ただ、もし今、大切な人に伝えたい言葉があるのなら、「いつか」ではなく、伝えられるうちに伝えてほしい。
「ありがとう」 「大好きだよ」 「ごめんね」……
あなたには伝えたい言葉がありますか?
気持ちを言葉にできていますか?
言葉にするのが照れくさいなら、手を握ったり、肩をさすったりするだけでもいいと思います。
目の前にいる人と過ごす、かけがえのない日々を大切に……。

文・まこ
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