自分を幸せにするヒント
増田惠子流・自分を幸せにする3つの習慣|亡き夫が褒めてくれた笑顔を胸に
最愛の夫を亡くした悲しみを乗り越え、今も歌い続ける増田惠子さん。「夫が褒めてくれた笑顔を消さない」と決めた彼女が、日々の暮らしで実践する「自分を幸せにする3つの習慣」とは? 人生を穏やかに楽しむための前向きなヒントを明かします。
INDEX
増田惠子さんのプロフィール
ますだ・けいこ 1957(昭和32)年静岡県生まれ。歌手・女優。76年ピンク・レディーとして「ペッパー警部」でデビュー。「UFO」で日本レコード大賞受賞。数々の大ヒットを記録し81年に解散。同年、中島みゆき作詞作曲の「すずめ」でソロデビュー、40万枚の大ヒットでYTV有線大賞特別賞を受賞。2010年「解散やめ!」を発表。22年にソロデビュー40周年記念アルバム「そして、ここから…」を発売。2026年にソロデビュー45周年、ピンク・レディー50周年を迎え、8月には新曲「貴方は彼方へ」をリリースした。
※取材は2025年11月に行いました。
ソロデビュー45周年の今も変わらない故郷・静岡との絆
ピンク・レディーの“ケイちゃん”として親しまれ、ソロとしても、68歳(取材時)の今も精力的に歌い続けている増田惠子さん。
「ちょうど昨日(11月28日)がソロデビュー記念日だったんです。今日は地元・静岡にいる兄の74歳の誕生日で、朝一番に電話してバースデーソングを歌いました。私は高校卒業後、18歳で上京してずいぶんたちますが、地元の同級生たちとのつながりはずっと変わりません」
特に中学3年のクラスは、担任の池ヶ谷春雄(いけがや・はるお)先生を中心にとても仲がよく、今でも同級会が続いています。
「先生は90代なんですけど、私のライブにも来てくださって。ピンク・レディーの曲が始まると立ち上がってファンのみなさんと一緒に踊るんですよ。白髪でとても目立つから、“あ、先生も踊ってる!”って(笑)。
中学生のとき、みんなの前で『歌手になりたい』と言った私に、『夢は叶えるためにある』と背中を押してくれた先生が、今も元気でいてくれるのがうれしいです」
そう言って柔らかに笑う増田さん。その笑顔を支えてきた大切な存在が、2024年夏に膵臓がんで亡くなった夫・桑木知二(くわき・ともじ)さんです
大らかな夫からもらった「笑顔」は消さないと決めた

音響の仕事をしていた桑木さんと最初に出会ったのは、増田さんが20代の頃。長く友人として付き合い、44歳のときに結婚しました。
「主人は、とても笑顔が素敵な人でした。初めて会ったとき“どうしたらこんなにいい笑顔ができるんだろう”と思ったほどです。一緒に暮らしてみると、前向きにどんなことも受け入れて、誰とでも自然に仲よくなれる大らかな人で……。
気が付けば、私も笑顔になっていました。すぐにネガティブなことを考えて、クヨクヨしがちだった私を変えてくれたのが主人。だから、この笑顔は主人からもらったものなんです」
亡くなる少し前、自宅で過ごしていたときに夫がかけてくれた言葉は、今も胸の奥にあります。
「主人に何か質問されて、私がパッと振り向きながら答えた瞬間、『そんなに素敵な笑顔をしてくれるんだね』と言ってくれて……。その言葉が本当にうれしくて、何があっても、この笑顔は消さないと決めたんです」
丁寧にだしをとり、日本茶をいれる。日々の習慣が整える心
夫を見送ってから、増田さんには新しい習慣が生まれました。
「毎朝、主人の写真に『おはよう。あなたが褒めてくれた笑顔は健在ですか?』って話しかけます。そうすると穏やかに一日を始められる。家の中に主人がいるような気がして、しょっちゅう話しかけてしまいます」
食卓にも、夫との暮らしの名残があります。
「主人は化学調味料が苦手で、しゃっくりが出ちゃう体質でした。それで結婚以来、だしは昆布やどんこ、かつお節でとるようになりました。最初は大変でしたが、どんどん料理が楽しくなって。『食は大切』と主人が言っていたので、一人でも丁寧にだしをとっています。
とはいえ手抜きになりそうな日は、“恥ずかしいから、見ないで”って主人の写真に言ったり(笑)。一人分の煮物を作るのがしばらく寂しかったんですが、最近また作れるようになりました」
日々の習慣は、増田さんの気持ちを自然に整えてくれます。
「朝起きたら、ベッドの上で笑顔をつくって体を伸ばし、心を込めて日本茶をいれます。やさしい気持ちでいれると、おいしくなるんですよ。そういう小さなことに集中していると落ち着くんです」
一日を大切にしていると、自分の中に小さな“幸せ”が育つ
2026年2月のコンサートは、これまで支えてくれた人たちへの感謝を込めた構成にしたといいます。
「私の曲だけでなく、中島みゆきさん、松任谷由実さんなど、曲を書いてくださった方々の作品もカバー。第2部では、洋楽やピンク・レディーのナンバーも。ピンク・レディーの曲を歌うと、私は別人になるらしいです。
歌もダンスも弾けちゃって、お客さんと一緒に一気に昔に戻っちゃう(笑)。つらいことも悲しいことも全部忘れて自然に笑顔になるんです。主人も『ケイの声は唯一無二』と言ってくれたから、歌える限り歌い続けたいです」
別れの悲しみが消えることはありません。けれど増田さんは、その中で「日々を丁寧に生きる幸せ」を見つけました。
「主人がいたときと同じように丁寧に暮らしたいというのが、私が主人のところに行くまでの目標なんです。そんなふうに一日を大切にしていると、自分の中に小さな“幸せ”がちゃんと育っていくのがわかります」
増田さんはそう言って、にっこりと笑いました。
増田惠子さん流・自分を幸せにする3つの習慣
1.自分の食べたいものをちゃんと料理する

「体調が落ち込んだとき、“大根の煮物が食べたい”と思って、鶏肉とおだしで煮ました」と増田さん。大量に作ったはずが、ペロリと食べ切ったそう。
2.毎朝、心を込めておいしい日本茶をいれる

静岡出身だけに、日本茶にはこだわりがあるという増田さん。
「ゆっくりといれ、甘味と渋味を引き出すのが大事。茶葉同士をブレンドしたりして楽しんでいます」
3.口角を上げて不機嫌もたるみも撃退する
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)、撮影=日高奈々子、スタイリング=おおさわ千春、ヘアメイク=高瀬央子
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年2月号を再編集しています。
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