今日を楽しみ、明日を軽やかに生きるヒント
名取裕子さん「家族の縁が薄い分、人のご縁に恵まれて支えていただいた」
確かな演技力と、クイズ番組では聡明な一面を見せる名取裕子さん。2027年に古希を迎えるとは想像もつかないくらい軽やかでエネルギッシュ。健康、ダイエット、終活まで、率直に語っていただきました。
INDEX
名取裕子さんのプロフィール
なとり・ゆうこ 1957(昭和32)年神奈川県生まれ。77年TBS「おゆき」のヒロインで本格デビュー。以降、多くのドラマや映画などに出演。主演映画「ショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル」が2026年2月に公開になったほか、10月2日(金)より映画「キリコのタクト」が公開。
みんなで食卓を囲む時間はやっぱり楽しい
「実は、ずっとハルメクの読者なんです」
お会いした瞬間、名取裕子さんはそう切り出して笑顔を見せました。
「同世代の方たちの暮らし方を誌面で見て、“なるほど、確かにそうよね”って自分のことと重ねて読んだり、先輩方の生き方に学んだり。健康や料理のヒントも面白くて、“私たち世代にぴったりじゃない!”と思って読み続けています」
そんな名取さんの自宅には、仕事の仲間や友人たちがよく集まるそうです。
「せっかくだからと手料理を振る舞うことが多いですね。私は14歳で母を亡くし、それからお勝手を任されてきたので、とにかく作るのが早いんです。簡単なものばかりですけど、
“今日はこれとあれを合わせて主菜にしよう”“サラダには彩りに紫キャベツを入れて枝豆を散らそう”って、今あるもので工夫するのは得意。みんなで一緒に準備して、食卓を囲む時間はやっぱり楽しいです」
親の介護で忙しい友人におかずを持たせたり、入院中で食が細くなった知人に茶碗蒸しを作って届けたり。名取さんのまわりには食を通じた温かなつながりがあります。
この年になると、より一層、人とのつながりを大事にしたい
さらに近所のお店の人たちとのやりとりも、日々の楽しみの一つです。
「行きつけの店に、たい焼きをお土産で持っていったら、『カニクリームコロッケ好きでしょう』ってサービスしてくれて。『ダイエット中なのに、やせられないじゃーん』なんて笑い合って。そういうやりとりが本当にありがたいなと感じます」
人との縁を大切にする理由を、自身の生い立ちと重ねながらこう話してくれました。
「私は早くに両親を亡くし、結婚もしていませんし、家族の縁が薄いんです。でも、そのぶん他人様とのご縁に恵まれて、支えていただいたなと思います。
結局、人生で一番大事なことってなんだろうと考えたとき、私は“みんなに喜んでもらいたい”という気持ちが大きいんですね。この年になると、より一層、人とのつながりを大事にしたい、人の役に立ちたいと思うようになりました」
目の前のことをちゃんと味わわないともったいないです
食べることが大好きな名取さんですが、検査で脂肪肝と指摘されたのをきっかけに、食生活を見直すようになりました。
「我慢するダイエットは続かないから、きのこでかさ増ししたり、ヨーグルトや豆腐でたんぱく質をとったり。工夫して食べるようにしたら自然と4キロくらい落ちました」
とはいえ果物は別腹で「地方の知人が送ってくれる桃を1日3個食べちゃうこともあるんです」と茶目っ気たっぷりに笑います。
「運動は苦手」と言いつつも、体の変化と向き合って歩く習慣を取り入れました。
「夏は暑い、日に焼ける、冬は寒い、風邪をひく……と、やらない理由は100個くらいあるんです。でも昨年、腰を痛めて旅行を断念したとき、動けないってこんなに不自由なんだと実感して。それからはちょっとずつ歩く距離を伸ばしています。
今日もここまで歩いてきたんですよ。ちょうど紅葉した街路樹の葉っぱが、桜の花びらみたいにハラハラ風に舞っていて、“歩いたおかげで、こんなきれいな景色に出合えてラッキー”と思いました。目の前のことをちゃんと味わわないと、もったいないですよね」
身軽に生きていける形に整えて正解でした
30代後半で父親を見送り、その後は継母の介護も経験した名取さん。早くからお金や不動産の整理に取り組んできました。
「親の家や別荘は管理が大変なので思い切って手放し、銀行口座も整理して、身軽に生きていける形に整えたのは正解でした」
最近は服の片づけも進め、「『ハルメク 古着でワクチン』を利用して、だいぶ片づきました」と話しつつ、「古い衣装やきものは、昭和の感じが意外と撮影に役に立つことがあって手放せないんですよ」と笑います。
2026年2月には、名取さんが主演を務めるサスペンス映画が公開されました。
「2時間ドラマの面白さを、映画という大きな器でじっくり味わってもらえる作品です。泣いて笑って、ちょっと手に汗握って、ゆったり楽しんでもらえたらうれしいですね」
最後に仲間でもあるハルメク読者に向けて、名取さんは明るい声でこう語りました。
「年を重ねると、やらなきゃいけないことっていろいろ出てきますよね。でも、どうせ向き合うなら、どこかに楽しみを見つけたい。今日より若い日はもう来ないんですから。自分も人も喜ばせていきたいですね」
ニット、カーディガン、パンツ/タバサ(パパス)03−6427-9306
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)、撮影=中西裕人、スタイリング=深尾きよ美、ヘアメイク=鈴木將夫
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年2月号を再編集しています。
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