バラのアーチが見事!16種類の花々が彩る庭へ
2023.06.062023年06月06日
6月が見頃!バラが見事な庭園
息をのむ美しさ!中之条ガーデンズのバラ【前編】
バラ栽培のコツや花に囲まれた暮らしを発信するブログが人気のバラ愛好家・奥野多佳子さんが、おすすめの庭園を紹介!イチオシは群馬県にある「中之条ガーデンズ」。2回にわたり、庭園の様子やバラの種類など余すところなくご紹介します。
これほどドラマチックなガーデンはない!中之条ガーデンズ
6月のある日。中之条ガーデンズの入り口に立ったとき、「やっと来れた!」待ちに待った瞬間でした。
群馬県にある中之条ガーデンズは、我が家から車で8時間以上もかかりますが、3年前の夏、軽井沢の帰りに訪れたときから、6月のローズガーデンを絶対見たい!と夢見ていたからです。そして見終わった後は満足感と高揚感でいっぱい!!
いろんなガーデンを見てきましたが、これほどドラマチックなガーデンは初めてだったからです。
今月は、ドラマチックな中之条ガーデンズをご紹介します。
中之条ガーデンズとは?
中之条ガーデンズは、群馬県の北西部・中之条町にあって、12万平方メートルという広大な敷地に、7つのガーデンが集まって出来ています。
そしてガーデン作りには、有名な4人のプロが関わられています。
大藤の植栽や移植を手掛けることで有名な塚本こなみさん、バラの植栽は河合伸志さん、ランドスケープ・デザインは吉谷博光さん、そして私が中之条ガーデンズに行くきっかけとなった吉谷桂子さんがスパイラルガーデンとナチュラルガーデンの植栽デザインをされています。錚々たるメンバーです。
とても広い敷地の中、いろいろなガーデンが楽しめますが、今回ご紹介するローズガーデンは地図の左端の細長い部分で、全体の敷地が広いのでほんの小さなエリアです。でも、私は立ち去りがたくて、そこに3時間以上いました。
中之条ガーデンズの入り口です。
中に入ると正面には、3年前にはなかったノットガーデンができていました。きれいに刈り込まれています。左の鉄製の棚は大藤棚。まっすぐに道を進むとナチュラルガーデンへ、左に行くとローズガーデンです。
そこには400種類1000本のバラが咲き誇ります。
ローズガーデン(1)プロムナードギャラリー
さあ~ローズガーデンへ……。オルラヤやデルフィニューム、フェリオフィラ、フロックス、パンジーなどが密集してふんわりした風景が出迎えてくれます。
大きなシンボルツリー、斑入りのケヤキを中心に小径をぐるっと周れるようになっています。
3年前より木々が育って囲まれ感が出てきました。赤いバラが多くナチュラルな雰囲気のエリアです。
白いオルラヤはどの花ともよく合って素敵!育てやすいし万能ですね。
ドキッとする色合わせ!アリューム・ギガンチュームはたくさん植えてありましたが、ほとんどがまだ蕾(つぼみ)でした。後ろのサルビア・ネモローサ“カラドンナ”も濃い紫で引き締め役!
そしてなんといってもこのピオニー……。
レモン色の薄い花びらが幾重にも重なって、ハラハラと散りながら透き通るような美しさでした。
ローズガーデン(2)ジャパニーズローズガーデン
紅葉、フウチソウ、斑入り三つ葉、ホスタ、ヤツデ、クジャクシダなど植えられていて、黒い玉砂利を敷き詰めたシンプルな空間が、先ほどの華やかさをパッと切り替えてうまい演出……和のガーデンが登場します。
正面には吉谷博光さんがデザインされたオブジェのような構造物。水面に映る空と風景……正面の壁を切り抜いた白い額縁の中に見えるのは、吉谷桂子さんデザインのスパイラルガーデン。一枚の絵画のようです。
バラはすべて赤、そして白、黒と色を限定したスタイリッシュな空間。ローズガーデンが色の洪水のように鮮やかさを競う風景の中で、このシンプルさが余計に印象に残ります。
ローズガーデン(3)ガーランドガーデン
ローズガーデンの見どころの一つが、このバラのガーランドです。
ガーランドって、太い綱などにつるバラを誘引していく仕立て方です。ラティスのように直線ではなく、空間で弧を描くように連続して花がつながっていくのですが、実際に見ると、なんて愛らしい!
ガーランドはまだ3~4分咲きでした。満開になるとどんなでしょう……。このサークルベンチに座ると360度バラに囲まれ香りに包まれます。
3mほどの高さのガーランド、ダイナミックです。やっぱりピンクのバラってかわいい……ランブラーの房咲きも多いので、フワフワした雰囲気でロマンチックな空間です。
サークルベンチの外側も、高さを低く揃えたオルラヤや白いバラが、ガーランドが引き立つように植栽されています。
私の好きなちょっと濃い目のマニトン・モーブ・ランブラーもありました。
ローズガーデン(4)イエローガーデン
続いて、イエローガーデンです。このアーチをくぐると個性的な黄色の世界が登場します。
これほどあふれかえる黄色を見たのは初めて……心弾みます。
中央のアーチはクロスされていて四方からくぐれます。黄色とオレンジが入り交ざってそれはそれは華やかです。
アーチのバラは2種類の枝変わりのバラ、“春と夏の夢”です。イエローガーデンには早咲きのバラが多いですが、びっくりするほどの花数! どう剪定したらこれほど咲くんでしょう。
たっぷりしたドームですが、骨組みが青い色だなんてきっと誰も見えないだろうな~と、3年前に見たことを思い出しました。
黄色、オレンジのバラたちと、補色の紫やブルーの草花……。バラも生き生きと主張していますが、紫やブルーのデルフィニュームもがんばっています。ブルーのシノグロッサムやサルビア・ネモローサ、カラドンナ、キャットミント、ゲラニューム、ネペタなどいっぱい!
ブルーと黄色の世界で、このバイカウツギ“イエローヒル”がいい仕事をしていました。葉は黄緑色ですが、上にいくほど黄色いレモン色になっています。白いかわいい花も咲いていました。他に黄金葉(オーレアリーフ)の木々もたくさんあって、全体の雰囲気をイエローにまとめていました。
こだわりのデザインはこの板塀にも。このくり抜いた形がベンチやアーチのトップにもありました。
板塀のブルーで黄色やオレンジのバラやカラーリーフを引き立て、白いバラやブルーの草花でも引き立て……もう、ぶれることなく一つの世界を主張していました。
ブルーの板塀に這わせたバラは、“祭り”。すごく個性的で素敵、この場面にぴったりです。黄色とブルーのコントラストでインパクトの強い素晴らしいエリア、とてもドラマチックでした。
ローズガーデンはここでちょうど半分ほどですが、すごい!すごい!と興奮してしまいます。
で、ちょっとブレイクタイム!ホワイトガーデンやチョコレートガーデン、それにお宿の情報は「後編」に続きます。