結婚ありきの出会いは成立する?58歳ケイコさん

【体験談】50代女性がやっと婚活を始めてみた結果

公開日:2020/11/02

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50代で婚活を始めた女性の体験談を紹介します。結婚ありきの出会いの中で、理想の相手に巡り合えたのでしょうか?

「結婚ありき」で出会うことの虚しさ

かつて結婚は、仲人があっての「お見合い」が主流だった。それがいつからか、結婚とは「恋愛の先にあるもの」と考えられるようになった。今は、どんな出会い方でも、そこから愛を育めば結婚につながるという考え方が一般的だろう。それでも、結婚が「生活していく上でマストなもの」ではなくなかったからこそ、人は迷ったり悩んだりする。

50代でようやく婚活する余裕ができた!ケイコさん58歳

今の時代、結婚も「余裕」がないとできないもののようだ。

「大学を出て就職したとたんに父が急死。当時、大学生と高校生の弟妹がいたので、母と私は必死に働いて、二人を大学まで出しました。ほっとしたら今度は母が病に倒れて」。ケイコさん(58歳)はそう言う。


その後も妹が離婚して子連れで舞い戻ってきたり、弟が交通事故に遭ったりと一家はさまざまなアクシデントに見舞われた。そんなとき家族が頼るのが「ケイコおねえちゃん」だった。


40代は責任ある立場にもなり、仕事に没頭。妻子ある人と恋愛したこともあるが、恋愛は恋愛。行き詰まらないうちにさらりと別れた。

「かっこつけてたんでしょうね。結婚より恋愛の方が自分には向いているなんて豪語していた時期もありました」

実母が倒れ、兄弟とは絶縁に

50歳になる頃、母が倒れた。妹は再婚して4人の子持ちになっていたので頼ることもできず、働きながらの自宅での介護はすぐに限界を迎え、母は施設に預けた。


「このことで、弟妹から冷たいと罵られたんです。二人とも何の援助もしてくれなかったくせに文句だけは言う。大学まで出られたのは誰のおかげよ、と私もつい言ってしまい、あちらはあちらで大学へ行かせてくれと言った記憶はない、と。きょうだいだけに遠慮がないから、お互いに致命傷を負わせようとするような大げんかになりました。以来、絶縁状態です」


近くの施設にいる母は、以前は週末に自宅に戻ってきていた。体は不自由だが、意識ははっきりしており、ときどき他の子どもたちにも会いたがるのが、ケイコさんにとってはせつない。


「きょうだいは絶縁状態だとは言えませんからね。二人とも忙しいのよと言うしかない。母も何か悟っているんでしょうか、『あんたにばかり大変な思いをさせてごめんね』と言われました」


彼女が婚活を始めたのは2年ほど前から。母が弱って自宅に戻ってこられなくなかったため、ケイコさんの心にぽっかり穴があいた。

「誰かと週末をゆっくり過ごしたい。何でも話せるパートナーが欲しいと切実に思いました」


結婚ありきと考えたわけではなかったが、遊びの相手や、ただの茶飲み友達が欲しいわけではない。母を見て、「人生の残り時間をどう過ごすか」は、彼女の中で大きなテーマとなっていた。だから一人ではなく、「誰か」を求めたかった。

ピンとこないまま、出会いを探し続けて

結婚相談所とマッチングアプリを駆使して、ケイコさんは婚活を「出会い」を求めた。


「人生初ですね、あれほどいろいろな人に出会ったのは。そういう意味では楽しかったけど、疲れました(笑)」
同世代の50代男性たちは、「まだまだこれから」と思っている人と、「余生をのんびり」と思っている人の二極化していると彼女は分析している。


「あんまりエネルギッシュでもこちらが引いちゃうし、かといってあとは何もせずに夫婦でのんびり過ごしたいと言われても、いやまだ人生長いでしょと思うし。結果的には誰もかれもピンとこなかった。そして気付いたんです。それは私が今後をどう生きるか決めていないからだ、と」


多くの人と出会うことで、彼女自身が、高齢者でもなく若くもないこの中途半端な年代にいる自分を持て余しているのだとわかったのだ。

納得できず……趣味のピアノを始めてみる

「1年婚活しましたけど、私にはやはり『結婚ありき』が納得できなかったんですね。それで婚活はやめて、まず自分のしたいことは何だろうと考えるところから始めました」


若い頃したかったけど諦めていたことをいくつか挙げてみた。そして彼女は、子どもの頃に少し習ったことのあるピアノを再開した。


「うちに誰も弾かないピアノがあったんです。調律してもらって、音楽教室に通い始めました。最初は指が動かなかったけど、毎日練習して、だんだん弾けるようになってきて。最近はヴァイオリンやチェロの人たちと一緒に演奏したりもしています。ジャズピアノも面白そうだから挑戦してみたい」


音楽教室にたくさんの仲間ができた。特に親しくなった男性もいる。


「彼は離婚後、男手ひとつで息子さんを育ててきたんだそうです。20代後半になった息子さんと二人で暮らしているけど、早く息子を追い出したいと笑っていました。年齢も、自分の過去もごく淡々と受け止めながら生きている。気負いもないけど、年齢に臆している感じもない。ああ、こういう生き方がいいなと思いました」
まだ恋愛に発展はしていないが、たとえ発展しなくても、いい友だちを得たのは確かだ。


結婚したい、パートナーが欲しいと思ったとき、直接、結婚相談所やマッチングアプリを使うのも一つの方法ではある。だが、本当に「結婚」を望んでいるのかについては、熟考した方がいいのかもしれない。


「結婚ありき」のシステムに違和感を覚えたら、ケイコさんのように自分の生活を充実させるための行動をしてみると、そこで大切な人に出会えるかもしれないのだ。自分の人生にとって何が本当に必要なのかを見極めていくのが50代の婚活のありようかもしれない。

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亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。

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