精進料理ユニット「iori_曉美と五月」が伝えたい

心身の不調を減らす精進ごはんのルールとおすすめ食材

公開日:2022.03.16

更新日:2023.03.21

50代からの食生活に寄り添う「精進ごはん」を提唱して支持を集める「iori_曉美と五月」。仏教の教えに由来する精進料理を、より手軽で身近に取り入れる「精進ごはん」とは? 覚えておきたい基本のルールと、おすすめ食材を教わります。

精進料理ユニット「iori_曉美と五月」のプロフィール

姉・園部曉美(そのべ・あけみ)/写真左、1948(昭和23年)、東京都生まれ。
妹・中園五月(なかぞの・さつき)/写真右、1951(昭和26年)、東京都生まれ。
2008年「精進料理の会」を発足し、横浜、湘南を中心に精力的に料理教室を開催。著書『おばあちゃんの精進ごはん』(インプレス刊)が好評。現在、テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」にも出演中。

精進ごはんのルール1:殺生しない    

「精進料理では避けるべきと考えられている食材がありです。その一つが動物性の食材です。たんぱく質は必須の栄養素ですが、魚や肉以外からもとることはできます。

「代表的なのは、豆腐などの大豆食品。殺生に関わらない乳製品や無精卵の卵はいただいています」と曉美さん。

「一日一食でも精進料理にできれば、守られる命が増える。そのことを、ほんの少し心に留めてもらえたら」と五月さん。

精進ごはんのルール2:五葷(ごくん)を使わない

五葷とは、ニラ、ニンニク、アサツキ、ネギ、ラッキョウのこと。

精進料理では避けるべきと考えられている食材のもう一つが五葷(ごくん)です。仏教の世界では、欲情や怒りを起こす食材として禁じられています。

「薬味として使われることの多い食材ですね。精進料理を始めて知ったのですが、五葷を使わないと、どんな食材も意外と相性良く味がまとまるんです。そして、食後の胃がラク。最初は、もの足りない味になるんじゃないかと心配されるかも知れませんが、逆に食材の組み合わせに悩むことがなくなり、料理がしやすくなりますよ」と五月さんもすすめます。

精進ごはんのルール3:酒を使わない

仏教には守るべき5つの戒めがあります。「殺し・盗み・性欲・嘘・酒」です。

酒は、飲み過ぎるとそれ以外の4つを誘発してしまうというのが理由と言われています。そのため、精進料理には酒やみりんを使わないというルールがあります。

曉美さんは「酒やみりんがないと、風味や甘みが物足りないのでは、という疑問をお持ちになる方も多いと思います。ですが実際は、旬の野菜はそのままで十分風味や甘みがありますし、塩を上手に使うことで食材の甘みを引き出すこともできます。また、砂糖を多めに使うこともあります。

要は工夫次第。この知恵は、実は精進料理に限らず“あ、買い忘れた!”なんてときに生かせるので重宝しますよ」と笑います。

スーパーでも見つかる!精進ごはんにおすすめの食材

コロナ禍で、気軽に外出するのもままならない毎日ですが、スーパーは行くことも多いはず。「最近は一般のスーパーでも健康志向の食材が手軽に手に入るようになって、精進料理に使える食材が増えました。だからスーパーに買い物に行くのも楽しくて」と五月さん。中でも、お二人がハマっているのが次の二つの食材です。

一つは今話題の「オートミール」。オーツ麦を脱穀して調理しやすく加工したものです。食物繊維が豊富で整腸作用があり、ここ最近、スーパーでもよく見かけるようになりました。グラノーラなどと同じものと勘違いされがちですが、甘み加工などはされていません。

「私たちはよく、小麦粉代わりに使って、スコーンなどを作ります。ザクザクっとした歯応えで食べ応えもよく、おいしいですよ。甘いものって、心の幸せのために大切ですから(笑)。便利な食材を使って工夫して、おいしくいただくのも精進ごはんの知恵です」と五月さん。

最近お二人がハマってよく作るというオートミールのスコーン。(作り方はハルメク2022年3月号で紹介)

もう一つが「大豆ミート」。大豆を加工して肉のような食感を再現した食品です。低カロリー高たんぱく質でヘルシー。そしてメニューの幅が広がります。

調理はラクに、シンプルに、環境にやさしい工夫を

「私たちが、自分たちが教える料理を「精進料理」と呼ばないのは、ルールをしっかり守った上で、自由に料理を楽しんで何より続けてほしいから。1日1食でも、週末だけでもまずは食べてみること。50代からの食習慣にしていくことで効果を感じると思っているからです」と五月さん。

お二人の料理教室では、基本のルールを守り、ワイワイ楽しくおしゃべりしながら、みんなが情報交換をするのがいつもの流れと話す曉美さん。

「私たちがお伝えできるのは、毎日の「ごはん」なんですよね。レシピは参考にして、材料がなければこんなふうに変えてもおいしいわよ、工程が面倒ならこうして手抜きしちゃうとラクよ、って井戸端会議みたいに、一緒に学んでいきたいなって思っています」。

撮影=中西裕人(人物・料理)

■もっと知りたい■
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長倉志乃

ながくら・しの  ハルメク編集部兼文化事業室所属。ハルメクに入社する前は、暮らしや住まいの雑誌の編集部に在籍。のんびりお茶を飲み、おいしいごはんを食べ、世界中を旅するのが大好き。現在、本誌編集と同時に、ハルメクの旅や講座、動画コンテンツを企画する新たな仕事に挑戦中。
 

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