エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
山本ふみこさんのエッセー講座 第7期第3回
エッセー作品「母の手」雨宮和代さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクのエッセー講座。教室コース 第7期の参加者の作品から、山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第3回の作品のテーマは「見落とす」です。雨宮和代さんの作品「母の手」と山本さんの講評です。
エッセー作品「母の手」雨宮和代さん
母の手
エッセーを書くようになり、書くネタを探しながら身の回りをかたづけていたとき、トルコ石の指輪を見つけた。
親指大の大きな石は、ターコイズブルーの輝きで美しい。
「お母さん」
思わず指輪に語りかけていた。
独身の頃、よく母と都内へ遊びに出かけたのだった。
銀座の街を好んで散策したが、めずらしく六本木へ行った時に入った小物屋さんで、この指輪を見つけた。
私は花をデザインしたブローチを購入、母はこの指輪を選んだ。
それから30年たって、一昨年亡くなるまで、母はこの指輪をよく身につけていた。
おしゃれでセンスの良かった母には、ハッキリした色や柄が良く似合っていた。
「お母さん、年とってからもよく身につけてたね。どうしてなのかなあ」
指輪に語りかけながら、自分の右手中指にはめてみる。
「えー!何これ!お母さん?」
母がいる。イヤ、母の手に私の手がそっくりだった。
年相応に少し乾いた、小ジワの出た手が、ターコイズブルーの石に光をもらっていた。
指輪をつけたりはずしたりしてみるとターコイズブルーの石が、手を美しく見せている事に気づいた。年を重ねた手に美しい光をあてる様に、母は好んでつけていたのだ。
「私を書いて」
指輪をつけてシャーペンを持った私に、母がささやいている様だった。
それからというもの、原稿に向かう時、必ずこのトルコ石の指輪を身につけて「ヨシッ、書こう」と、スタートする。
山本ふみこさんからひとこと
「ラッキーカラー」という題名のエッセーでした。5月生まれの「本日」のラッキーカラーの話と今は亡きお母さまの指輪の思い出を重ねて書かれたのです。軽やかで、それも悪くないのですが、お母さまの手に的を絞ることをおすすめしました。
母がいる。イヤ、母の手に私の手がそっくりだった。
というここがあまりに印象的だったからです。和代さん、これからもトルコ石の指輪をつけて、ぐんぐんエッセーをお書きください。
お母さまとごいっしょに。 ![]()
山本ふみこさんのエッセー講座(教室コース)とは
随筆家の山本ふみこさんにエッセーの書き方を教わる人気の講座です。
参加者は半年間、月に一度、東京の会場に集い、仲間と共に学びます。月1本のペースで書いたエッセーに、山本さんから添削やアドバイスを受けられます。
現在、参加者を募集中です。申込締切は2022年7月4日(月)まで。詳しくは雑誌「ハルメク」7月号の誌上とハルメク旅と講座サイトをご覧ください。
ハルメク旅と講座
ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪
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