エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第6回
「困ってばかりにならずに……」たしま かずみさん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。今回募集の作品テーマは「日常」です。たしまかずみさんの作品「困ってばかりにならずに……」と山本さんの講評です。
エッセー作品「困ってばかりにならずに……」たしまかずみさん
困ってばかりにならずに……
大都市で、流行するコロナ禍の情報を、テレビ等で見聞きするが、幸いにも、田舎の町は、1人か2人の感染のみで、なんとかくい止められている。
マスク・消毒をし、「大変よネ」と言いつつも、1人の欠席者もなく保育園(現子ども園)も続けられている。私は、そのパート職員だ。
ところが、7月7日の七夕の日、台風で、国道が欠損、停電した上、携帯電話もつながらず、通勤は、もちろん、買物も、事欠く始末。市役所の出先機関で振興局も子ども園も、郵便局も孤立してしまった。
そんな中、次男が、福岡県側なら通行可能と確認し、40キロ近くの八女市まで、買物に連れ出してくれた。
そこは、私にとっては珍しい場所だった。
都市部にはおなじみの店で買物をした後、ミラノサンドなるものを食べ、コーヒーを飲み、グッデイで花を買った。
ポーチュラカを選んだ。
そうして帰宅後すぐに、いつもは洗濯物と干すだけの庭に、花を植え込んだのだ。
いつ咲くか、とても楽しみだった。
ところが、災害見舞に回って来てくださった市会議員が、長靴で踏んで行ってしまう。
そのときだけは、あ゛~っと思った。
やがて、しろ、赤、ピンク、オレンジ、黄、紫の花が咲き、夏の間中、満開の庭になり、
テーブルを出して、お茶を飲み、エッセイを勉強し、毎日を、困ってばかりにならずに過ごせた。
今では、国道も工事が終了し、生活基盤も元どおりになった。
再び、子ども園へ通勤している。
山本ふみこさんからひとこと
このエッセイは素敵です。
静かで穏やかで、何より日常が際立っています。街のコーヒーショップにひとり坐るような、ちょっとぜいたくな気持ちになりました。
この作品のもっとも大切な部分は……、花の名前、花の色です。
エッセイ・随筆には、こういうものが効くことを覚えていただきたいと思います。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
次回の参加者の募集は、2021年6月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
■エッセー作品一覧■
ハルメク旅と講座
ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪
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