横山タカ子の「信州・四季の手遊び」・3
季節の変わり目に感じる「涼風の通り道」
季節の変わり目に感じる「涼風の通り道」
公開日:2021年04月27日
「水うちわ」を飾って、涼しく夏を迎える準備を
季節の変わり目の家の模様替えは、我が家の恒例行事。居間の板戸を簾戸(すど)に変え、窓には簾すだれを下ろし、ターコイズブルーに手染めしたガーゼをカーテンの代わりに。家の中にスーッと涼しい風の通り道ができます。
季節ごとに自分の手を動かしてしつらえることは、暮らしを見守ってくれているこの家への礼儀、とも思うのです。
数年前に知り合いからいただいた美濃和紙の「水うちわ」も、夏のしつらいの定番。竹製の骨に雁皮紙(がんぴし)という薄い和紙を張り、上からニスを塗ったもので、 かつてはこのうちわを水に浸して仰ぎ、気化熱で涼んでいたといわれています。
窓辺に飾るだけでも見た目に涼しく、部屋へ涼を運んでくれます。日中は、旬の梅や杏を漬けるのに大忙しのこの季節。夜は水うちわのそばにろうそくをともし、うちわに映る明かりでほっと一息。
先人たちも、こんなふうに目で涼を愉しんでいたのでしょうか。
今月のお茶うけ:梅漬けの「おこひる」

「おこひる(お小昼)」とは、信州で農作業の合間に食べる軽食のこと。おやつより、ちょっと重ためなものをこう呼びます。暑い日のお客様に「ちょっとおこひるでも食べてって」とお出しするのが、パパッとできるこの一品。
カリカリの梅漬けを刻み、小さく切って焼いた切り餅を添えれば、クエン酸たっぷりで夏の疲れに効くおこひるの出来上がりです。
【カリカリ梅漬けの作り方】
- 青梅(1kg)を半日ほど水に浸してアクを抜いたら、ざるで水気をよく切る。
- ボウルに梅と塩(200g)、にがり(小さじ1)を入れてよくもみ、時々かき混ぜながら一昼夜そのままにする。
- ざるに上げた梅を煮沸消毒した瓶などに入れ、上から酢、焼酎(ともに1カップ)、きび糖(100g)を入れる。
- 水気を切った赤しそ(300~400g)をすり鉢に入れ、白梅酢(2で出た汁)を適量振りかけて軽くもみ、きつく絞って出た黒いアク汁は捨てる。よくもんで赤い汁が出るようになったら、3に加えて漬け込む。食べ頃は1か月後から。
執筆者プロフィール:横山タカ子さん

よこやま・たかこ 1948(昭和23)年、長野県大町市生まれ。長野の郷土食の知恵を生かした家庭料理や保存食を提案。NHK「きょうの料理」などテレビ・ラジオで活躍。年に300日は着物で暮らし、古きよき生活の知恵を取り入れたライフスタイルも人気を集めている。著書に『四季に寄り添い 暮らしかさねて』(信濃毎日新聞社刊)など。
撮影=小林キユウ 構成=小林美香(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2018年7月号に掲載したものを再編集しています。
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