50代の不調に潜む「かくれアレルギー」#1

50代の長引く咳やだるさ、お腹の不調…実は「かくれアレルギー」かも!?

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50代、長引く咳やだるさを「年のせい」にしてない?専門医が教える「かくれアレルギー」の意外なサイン

疲れやすい、長引く咳など50代が「年齢のせい」と諦めがちな不調の背景には、実はアレルギーが隠れていることも。「大人のかくれアレルギー」が50代以降に発症・悪化する可能性や、放置によるリスクについて専門医が詳しく解説します。

教えてくれるのは、アレルギー専門医・鈴木慎太郎さん

すずき・しんたろう アレルギー専門医・指導医。昭和医科大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門准教授/昭和医科大学医学部医学教育学講座准教授。専門分野は、食物アレルギー、アナフィラキシー、薬剤アレルギー、産業衛生、消化管アレルギー、喘息、呼吸器疾患など。著書に『その不調、「かくれアレルギー」が原因かも』あさ出版(刊)

咳やだるさ…50代が気づきにくい「かくれアレルギー」

webweb / PIXTA

「検査では異常ありません」「年齢によるものでしょう」

医師からそのようにいわれて、納得できなかった経験はありませんか。

特効薬もなく、そのまま様子を見ることになったものの、咳が続く、皮膚がムズムズする、胃腸の調子が安定しない、夜ぐっすり眠れない――。

こうした不調の背景には、実はアレルギー反応が隠れていることがあります。

アレルギーというと、くしゃみやじんましんを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実際には、慢性的な咳、原因不明の倦怠感(だるさ)、微熱のような感覚、お腹の張り、逆流症状(酸っぱいものがこみ上げてくる症状)、軽い息切れなど、日常でよく見られる症状として現れることもあります。

日々の診療の中でも、特に中高年の方では、ぜんそくが咳だけで現れる「咳ぜんそく」という形で始まるケースが少なくありません。また、皮膚症状がほとんどなく、胃腸の不調が続くタイプの食物アレルギーも存在します。

「もしかしてアレルギーかもしれない」と考えるヒントは、いくつかあります。

例えば、症状が繰り返し起こること、季節や環境によって強くなったり弱くなったりすること、特定の食べ物や場所、環境などが関係していることなどです。

こうしたサインに気づかず、「年のせい」と見過ごしてしまうと、不調は長く続いてしまいます。しかし、見方を変えて「アレルギーかもしれない」と考えるだけで、原因に近づくことがあります。

なぜ今?大人のアレルギーが近年急増している理由

工場長 / PIXTA

近年、アレルギーによる不調は、世界的に増えているといわれています。

日本でも、アレルギー性鼻炎や花粉症、食物アレルギー、重いアレルギー反応であるアナフィラキシーなどが、この数十年で増えてきました。

その背景には、生活環境の変化や、食生活の変化にともなう腸内環境の乱れ、大気中の微粒子(PM2.5など)への曝露(アレルゲンにさらされること)など、さまざまな要因が関係していると考えられています。

現在では、日本人の約2人に1人が何らかのアレルギーに関わる症状を持っているともいわれており、アレルギーはもはや、誰にとっても身近なものになっています。

こうしたアレルギーの増加とともに、「大人になってから発症するアレルギー」も目立つようになってきました。

多くのアレルギー疾患は、子どもの頃に発症する場合と、大人になってから発症する場合の大きく2つに分けられます。

例えば食物アレルギーは、かつては子どもの病気と考えられていましたが、近年では成人してから発症するケースも珍しくなく、全体の約半数を占めるともいわれています。

特に、甲殻類や小麦、果物などは大人になってから症状が出ることがあります。

また、近年注目されている“おなかの症状”を主体としたアレルギー関連疾患である好酸球性消化管疾患は、全年代で以前と比べて増えています。

好酸球性消化管疾患のうち好酸球性食道炎は、中高年の男性に多いことが知られています。そして、消化管に症状が現れるタイプの食物アレルギーは、成人人口の6%ほど存在すると報告されています。

こうした背景には、加齢にともなう体の変化があります。

年齢を重ねると免疫の働きは単に弱くなるだけでなく、炎症の調節がうまくいかなくなります。また、長年使ってきた消化管などの臓器は、飲食物や薬の影響、感染などによって粘膜のバリア機能が低下しやすくなります。

その結果、これまで問題なかったものに対しても体が過敏に反応し、アレルギー症状が現れたり、長引いたり、重くなったりする可能性があるのです。

50代以上は要注意!重症化しやすいアナフィラキシー

GrandJete / PIXTA

アレルギーは、年齢によってその現れ方や重さは大きく変わります。

特に中高年では、見過ごせないリスクが潜んでいます。

食物アレルギーや薬剤アレルギー、ハチなどの昆虫毒によるアレルギーでは、ときに全身に強い症状が現れることがあります。これを「アナフィラキシー」といいます。

アナフィラキシーはどの年代でも起こり得ますが、特に高齢者では重症化しやすく、死亡率が高いことが知られています。実際に、国の統計でも、アナフィラキシーによる死亡の多くは成人、特に高齢者に集中しています。

その背景には、いくつかの要因があります。

心臓や血管の病気をもともと持っていること、高血圧の治療で使われる薬(β遮断薬やACE阻害薬など)の影響、さらに症状を「大したことはない」と軽く見てしまうことなどが、重症化につながっていると考えられています。

また、ぜんそくについても注意が必要です。吸入薬の普及によって、発作で救急受診する人や死亡者は減少しましたが、それでもなお毎年およそ千人超が亡くなっており、その多くは高齢者です。

このように、アレルギーは年齢とともに軽くなるとは限らず、むしろ重く現れることがあります。これまで症状が軽かったから大丈夫、という考えは危険です。

年齢による体の変化を踏まえ、アレルギーとの向き合い方を見直すことが、重症化を防ぐ第一歩となります。

放っておくと危険!「慢性的な炎症」が招く深刻リスク

Luce / PIXTA

アレルギーの症状には、大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは、ぜんそく発作やアナフィラキシーのように、命に関わることもある急激な症状が現れるタイプです。

もう1つは、症状自体は強くないものの、長く続くことで体にさまざまな影響を及ぼす「慢性的な炎症」のタイプです。

この慢性的な炎症が続くと、単なる不調にとどまらず、睡眠の質の低下や気分の落ち込み、集中力や記憶力の低下などにもつながる可能性があります。

多くの人は「症状が出ているかどうか」に意識が向きがちですが、症状だけでなく、体の内側で起きている変化も重要です。

例えば、代表的な呼吸器のアレルギーであるぜんそくを適切な治療を受けずにいると、気道の壁が厚く硬くなる「気道リモデリング」が進み、元に戻らない肺機能の低下を招くことがあります。

症状の軽いアレルギーは「我慢できる不調」として見過ごされがちですが、積み重なることで確実に生活の質を下げていきます。

症状の重さにかかわらず、早めに向き合い、適切に対処することが、将来の健康と生活を守ることにつながります。

※症状や効果には個人差があります。気になる症状がある場合や長引く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
※本記事は、書籍『その不調、「かくれアレルギー」が原因かも』より一部抜粋して構成しています。


次回の記事では、食べ慣れた物でなぜ?納豆やパンケーキで突然起きる「アレルギーの謎」を紹介していきます。

■50代の不調に潜む「かくれアレルギー」をもっと読む■
#1:「年のせい」は誤解?2人に1人が持つ「かくれアレルギー」
#2:食べ慣れた物でなぜ?突然起きる「アレルギーの謎」
#3:「朝起きると咳や鼻水…」寝具に潜むアレルギーの真犯人

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