食べ慣れた「あの食品」で突然の呼吸困難!? 身近に潜む「かくれアレルギー」の謎
50代の不調に潜む「かくれアレルギー」#3
朝起きると咳や鼻水が…旅行先ではなぜ治まる?「かくれアレルギー」の真犯人
「自宅にいる時だけ咳や鼻水が出る」「旅先のホテルだと症状が軽い」その不調、実は毎朝のヨガマットや愛用の羽毛布団に潜む“意外な真犯人”の仕業かも!? 身近な住環境に隠されたアレルギーの謎と、今日からできる撃退法を専門医が解き明かします。
INDEX
教えてくれるのは、アレルギー専門医・鈴木慎太郎さん
すずき・しんたろう アレルギー専門医・指導医。昭和医科大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門准教授/昭和医科大学医学部医学教育学講座准教授。専門分野は、食物アレルギー、アナフィラキシー、薬剤アレルギー、産業衛生、消化管アレルギー、喘息、呼吸器疾患など。著書に『その不調、「かくれアレルギー」が原因かも』あさ出版(刊)
食べ物だけじゃない!日常の「吸い込む習慣」に隠れた罠
第1回で「大人のかくれアレルギー」の全体像を、第2回で「食」に潜む意外な罠を解説しました。今回は「住環境」に注目し、毎日の寝具やヨガマットに隠された不調の真相を解き明かします。
アレルギーの原因というと、食べ物や薬、花粉を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、日常生活には、知らないうちにアレルギーを引き起こす原因が数多く潜んでいます。
特に見つけにくいのは、毎日の生活や仕事の中に溶け込んでいるアレルゲンです。毎日当たり前に触れたり吸い込んだりしているものほど、「まさかこれが原因とは思わなかった」と見過ごされがちです。
例えば、カビや羽毛製品、ダニを含む寝具では、アレルゲンを繰り返し吸い込むことで、鼻炎やぜんそくだけでなく、過敏性肺炎を引き起こすことがあります。症状が自宅で悪化し、外出や旅行で軽くなる場合は、住環境が関係している可能性があります。
また、小麦粉やそば粉は、食べるだけでなく、吸い込むことによって感作され、ぜんそくや重いアレルギー反応につながることがあります。
原因不明の咳や息切れ、皮疹、しびれなどを繰り返す場合は、食事だけでなく、生活環境や職業、趣味、寝具、衣類、ペット、屋外活動なども振り返ってみましょう。
【体験談】起床後の「謎の咳」、旅先では出ない理由
50代の女性Hさんは、健康のため毎朝ヨガを続けていました。
数か月前から朝起きると咳や鼻水、くしゃみが続き、夜中に咳で目覚めることもあったため、風邪が長引いていると思っていました。
しかし旅行先のホテルでは症状が軽く、自宅へ戻ると再び悪化。不思議に思って受診したところ、ヨガ用マットや室内環境に潜むダニによるアレルギーが疑われました。
【寝具やマット】真犯人は目に見えない!爆増する悪魔
布団や枕、カーペット、ヨガマットなどは、ダニやカビが繁殖しやすい環境です。
特に問題となるのはダニの死骸やフンで、これらを吸い込むことでアレルギー性鼻炎やぜんそくが起こります。
また、寝具やマットに付着したアレルゲンに長時間触れるため、朝方や夜間に症状が強くなることがあります。
そのため、「寝ても疲れが取れない」「朝だけ咳や鼻水が出る」といった症状の背景に、寝具由来のアレルギーが隠れていることがあります。
主な症状
- 起床時の咳、鼻水、くしゃみ
- 鼻づまり、後鼻漏
- 喘鳴や夜間の呼吸苦
- 皮膚のかゆみ、湿疹
- 接触部位に一致した発疹(皮疹)
など
「旅先だと楽になる」なら住環境の可能性大!
室内アレルギーの原因として最も重要なのがダニです。生きているダニそのものではなく、死骸やフンに含まれる成分(いわゆるハウスダストの主成分)がアレルギーの原因になります。
布団や枕は長時間顔を近づけるため、睡眠中にアレルゲンを吸い込みやすくなります。そのため、起床時のくしゃみや鼻水、夜間の咳はダニアレルギーの典型的な症状です。
布団や枕だけでなく、カーペットやヨガマットなどでも発症します。
また、自宅では悪化するのに旅行先では軽くなる場合、住環境が原因である可能性を示す重要な手がかりになります。
風邪だと思っていた症状が、実は寝室の環境によるアレルギーだったということは珍しくありません。
対策の基本は環境整備です。布団やカーペットは定期的に乾燥・掃除を行いましょう。防ダニカバーの使用も有効です。梅雨から夏にかけては室内の湿度を下げ、ダニの繁殖を防ぎましょう。ヨガマットは使用後に乾燥・清掃し、定期的に交換することが望ましいです。
症状が続く場合は医療機関で検査を受け、必要に応じて薬物療法を行います。日常環境を見直すことでも症状の改善が期待できます。
ダニやハウスダストのアレルギーは子どもだけの病気ではありません。大人でも環境を整えないと、将来的にぜんそくやアトピー性鼻炎、アトピー性皮膚炎が悪化することがあります。
毛の生えている動物・ペットの室内飼育者は特に注意してください。
まず遮断!住環境を整える「アレルゲン回避」の基本
原因がわかったら、次に大切なのは、その原因にできるだけ近づかないことです。
アレルギー治療では、原因物質を避けることを「アレルゲン回避」と呼びます。薬による治療も重要ですが、アレルゲンとの接触を減らすことは、症状の改善や悪化予防につながる基本中の基本の対策です。
屋外では、花粉や大気汚染物質などを完全に避けることはできません。そのため、マスクや花粉防止眼鏡、帽子などを活用し、体に取り込む量をできるだけ減らすことが大切です。また、帰宅時には衣服や髪についた花粉やほこりを払い落としてから室内に入る習慣も役立ちます。
一方、屋内環境は自分たちで改善できることが少なくありません。私たちは一日の大半を室内で過ごすため、住環境を整えることは、症状の改善や悪化予防に大きく影響します。
日本は高温多湿の気候のため、ダニやカビが繁殖しやすい環境です。
特に寝具やカーペット、布製ソファ、水回りにはアレルゲンがたまりやすく、注意が必要です。また、ペットを飼っている家庭では、毛やフケ、唾液などがアレルゲンとなることもあります。
換気・掃除・湿度管理!アレルゲンを減らす7つの習慣
住環境を整えるための基本は次のとおりです。
- 定期的に換気を行う
- 室内湿度を50%前後に保つ(冬季や感染症流行時は50〜60%前後)
- 週1回以上、掃除機をかける
- 寝具を定期的に洗濯・乾燥する
- 布製品を増やしすぎない
- 加湿器はこまめに清掃する
- 空気清浄機は補助的に活用する(頼りすぎないこと)
職場では、自分だけで環境を改善することが難しい場合もあります。そのようなときは、防塵マスクや保護眼鏡などの個人防護具を活用しましょう。
また、仕事と症状との関係が気になる場合は、上司や産業医に相談することも大切です。
学校生活では、教職員にアレルギーについて正しく理解してもらうことも重要です。食物アレルギーやぜんそくがある場合は、主治医が作成する「学校生活管理指導表」を提出し、必要な配慮について共有しておきしょう。
すべてのアレルゲンを完全に避けることはできませんが、体に取り込む量を減らすことはできます。
毎日の小さな工夫の積み重ねが、症状の悪化を防ぎ、アレルギーと上手につき合うことにつながるのです。
※症状や効果には個人差があります。気になる症状がある場合や長引く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
※本記事は、書籍『その不調、「かくれアレルギー」が原因かも』より一部抜粋して構成しています。
■50代の不調に潜む「かくれアレルギー」をもっと読む■
#1:「年のせい」は誤解?2人に1人が持つ「かくれアレルギー」
#2:食べ慣れた物でなぜ?突然起きる「アレルギーの謎」
#3:「朝起きると咳や鼻水…」寝具に潜むアレルギーの真犯人
もっと詳しく知りたい人は書籍をチェック!

『その不調、「かくれアレルギー」が原因かも』鈴木 慎太郎・著(あさ出版)
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