50代から増えやすい「脂質異常症」って?

認知症リスクにつながる「コレステロール高め」に要注意!

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認知症リスクにつながる「コレステロール高め」に要注意!

健康診断で『コレステロール高め』と出たことがある人も多いのでは?実はLDL(悪玉)コレステロールが高い状態は、認知症の発症リスクとも関係があると言われています。50代から始めたいコレステロール対策を、認知症専門医の今野裕之さんに伺います。

悪玉コレステロールが高いと認知症リスクが上がる?

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次々に明らかになっている認知症の発症リスク。世界的にもっとも影響力がある医学雑誌の一つ『ランセット』が2024年に公表した報告書では、中年期(45~65歳)の修正可能な(生活習慣の改善や治療によって減らせる可能性がある)認知症リスク要因として、新たに「高LDLコレステロール血症」が加わりました。

Lancet Commissionの認知症予防に関する報告書(2017年、2020年、2024年)を元に作成

より早期からの認知症予防(ブレインケア)を提唱する医師の今野さんは、高LDLコレステロール血症が認知症のリスク要因として認められた背景をこう解説します。

 

「前回(2020年)の報告書以降、中年期の高LDLコレステロールとその後の認知症リスクとの関連を示す大規模研究や分析が複数報告され、科学的根拠がより強まったためだと考えられます」

 

LDLコレステロールとは、いわゆる「悪玉コレステロール」のことで、増えすぎると血管の内側にコレステロールがたまり、動脈硬化が進みやすくなりま

 

「今回、認知症のリスク因子に加わった『高LDLコレステロール血症』は、LDL(悪玉)コレステロール値が基準より高い状態を指す脂質異常症の一つです。高LDLコレステロール血症では動脈硬化が進みやすくなるため、血管性認知症の原因となる脳梗塞のリスクが高まります。また近年では、脳内のコレステロール代謝の異常が、アミロイドβやタウといったタンパク質の蓄積に関わり、アルツハイマー型認知症の発症にも影響する可能性が指摘されています」(今野さん)

 

実際にランセットの報告書では、LDL(悪玉)コレステロール値が39mg/dL高くなるごとに、認知症の発症リスクが約8%高くなったとする研究も紹介されています。

 

「高LDLコレステロールは、食事や運動などの生活習慣の見直しによって改善が期待できます。ランセットでも、こうした修正可能なリスク要因に取り組むことで、認知症の発症を遅らせたり、防いだりできる可能性があるとしています」(今野さん)

悪玉コレステロール値が高くなる4つの原因

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LDL(悪玉)コレステロール値が高くなる主な原因は以下の4つです。

1.脂質・糖質の摂り過ぎ
脂質や糖質の取り過ぎは、LDL(悪玉)コレステロール値を高くする原因の一つです。

「脂質では特に、動物性脂質やパーム油に多く含まれる『飽和脂肪酸』の摂り過ぎに注意が必要です。また、お菓子や甘い飲み物など糖質の多い食品の食べ過ぎは中性脂肪を増やし、HDL(善玉)コレステロールを減少させるため、脂質異常症のリスクが高まります。近年は食事の欧米化によって、意識しないと脂質や糖質を取り過ぎてしまう傾向にあるので気をつけましょう」(今野さん)

では、どれくらいの量から「取り過ぎ」になるのでしょうか?

「厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』によると、飽和脂肪酸の目安は総エネルギーの7%以下です。具体的には、1日15g前後(豚バラ肉100gやバター大さじ1杯ほど)が目安で、この量を超えると取り過ぎとなります」

「一方で糖質は、糖質単体ではなく食物繊維を含む『炭水化物』として目標量(総エネルギー摂取量に占める割合)が定められています。炭水化物の目標量は一律50~65%です」(今野さん)

総エネルギーとは、1日に食べるものからとるカロリーのこと。つまり、1日に必要なカロリーのうち、50~65%程度を炭水化物から取るのが目安になります。

2.運動不足と肥満

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運動不足と肥満は、LDL(悪玉)コレステロール値の上昇とも深く関係しています。

「運動不足が続くと消費エネルギーが減り、体重増加や肥満につながります。特に『内臓脂肪型肥満』と呼ばれるお腹の中に脂肪がたまっている人は、LDL(悪玉)コレステロール値や中性脂肪値が高く、HDL(善玉)コレステロール値が低い傾向にあります」(今野さん)

3.加齢によるホルモンバランスの変化
女性ホルモンのエストロゲンには、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の増加を抑える働きがあります。しかし、更年期以降はエストロゲンの分泌が減少するため、脂質代謝が低下し、コレステロール値や内臓脂肪が増えやすくなります。

50代以降の女性は注意していないとLDL(悪玉)コレステロールが増えやすい状態にあると心得ておきましょう。

4.喫煙や飲酒などの生活習慣

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「喫煙により体内に取り込まれる一酸化炭素は、血液が全身に酸素を届ける働きを妨げます。また、ニコチンなどの化学物質は血管そのものを傷つけます。こうした影響は血管の炎症につながり、動脈硬化を進みやすくします」

「さらに喫煙は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすなど脂質代謝にも悪影響を及ぼすことがわかっています。つまり喫煙は、血管と脂質の両面から動脈硬化を進める要因となるのです」(今野さん)

また、過度な飲酒は肥満につながりやすく、LDL(悪玉)コレステロール値も高くなる傾向があります。お酒を飲む習慣がある人は、飲む量や頻度を見直すようにしましょう。

なお、高LDL(悪玉)コレステロール血症などの脂質異常症は、生活習慣などが原因で誰でも発症する可能性があります。以下のチェック項目に当てはまるものがあれば、早めにコレステロール対策を始めましょう。

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<今すぐチェック! 脂質異常症のリスク>

□日常的に運動することがほぼない
□肉の脂身やバターなど脂っこいものが好きだ
□ついつい暴飲暴食してしまう
□アルコールが好きで毎日よく飲んでいる
□甘いものや果物が好きでたくさん食べてしまう
□肥満傾向だと思う
□糖尿病または血糖値が高めである
□高血圧である
□家族が脂質異常症や動脈硬化症である
□腎臓病や甲状腺機能低下症などの疾患を持っている
□健康診断でコレステロール値が高いといわれた

食事の見直しでLDL(悪玉)コレステロールを下げる

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LDL(悪玉)コレステロール対策で最も重要なのが、食事内容の見直しです。

今野さんに、LDL(悪玉)コレステロール対策において「控えたい食品」と「積極的に取りたい食品」を教えてもらいました。

<控えたい食品>
LDL(悪玉)コレステロールを上げる要因となる飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールを多く含む食品を控えるようにしましょう。これらの食品を毎日のように食べている場合は、頻度や量を減らすことを心掛けて。

●飽和脂肪酸……肉の脂身や乳脂肪分のほか、一部の植物油に多く含まれています。
<飽和脂肪酸が多い食品の例>
牛脂、ラード、牛リブロース、豚バラ肉、鶏皮、ベーコン、バター、生クリーム、クリームチーズ、マーガリン、ココナッツオイル、チョコレート類、スナック菓子、焼き菓子(クッキー、ケーキなど)。

●トランス脂肪酸……主に油脂を加工・製造する過程で発生する成分です。
<トランス脂肪酸が多い食品の例>
マーガリン、ショートニング、菓子類(クッキーなど)、菓子パンなど。

「日本の食品メーカーではトランス脂肪酸を減らす取り組みが進んでいますが、日常的に菓子パンやスナック菓子を多く食べる習慣がある人は、頻度や量を控えめにすることを心掛けましょう」(今野さん)

●コレステロール……動物性食品にのみ含まれる成分です。
<コレステロールが多い食品の例>
鶏卵、煮干し(いわし)、しらす、すじこ、いくら、レバー、数の子、しらこ、たらこなど。

「健康な人では、食事から取るコレステロールがそのまま血中のコレステロール値に反映される割合はそれほど高くないことが分かっています。しかし、すでに高コレステロールを指摘されている場合は、1日のコレステロール摂取量を200mg未満に抑えることが望ましいとされています」

「例えば卵(Mサイズ/約50g)1個あたりに含まれるコレステロールは約170~200mgです。食事中のコレステロールが血中値に与える影響については個人差がありますが、数値が高めの人なら、卵は1日1個程度にしておくとよいでしょう」(今野さん)

<積極的に取りたい食品>

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​LDL(悪玉)コレステロールを上げやすい食品がある一方で、改善につながる食べ物もあります。

「カロリーオーバーにならないように、先ほど紹介した「控えたい食べ物」と置き換える形で取り入れるのがポイントです」(今野さん)

意識して取り入れたい食品の具体例を紹介します。

1.食物繊維の多い食べ物
食物繊維には大きく分けて、水に溶ける水溶性と水に溶けにくい不溶性の2種類があります。

水溶性食物繊維は水に溶けると粘りのあるゲル状になり、糖の吸収をゆるやかにしたり、コレステロールの吸収を抑えたりします。また、便の水分量を高めて、便通をよくする働きもあります。

一方の不溶性食物繊維は、大腸の粘膜を刺激して水分や粘液の分泌を促したり、便のかさを増やす作用があり、高LDL(悪玉)コレステロール血症を含む脂質異常症だけでなく、生活習慣病全般の発症リスクを下げることが知られています。

そのため、水溶性・不溶性にかかわらず、以下のような食品を意識して取るのがおすすめです。

●食物繊維を豊富に含む食品……全粒穀物(玄米、全粒粉、押し麦、オートミール、そば粉など)、雑穀類(ヒエ、アワ、キヌア、アマランサスなど)、野菜類(全般)、きのこ類(全般)、海藻類(全般)など。

全粒穀物や雑穀類はいつもの食事にプラスするとカロリーの上乗せになるので、普段の主食(白米、小麦製品)と置き換えて使うのがおすすめ。野菜は1日350gを目標に、きのこや海藻類も組み合わせて、毎日の食事に取り入れるようにしましょう。

2.不飽和脂肪酸の多い食べ物

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不飽和脂肪酸は、植物油や魚の脂に多く含まれる脂肪酸の一種です。肉の脂やバターなど、飽和脂肪酸を多く含む食品を、不飽和脂肪酸を含む食品に置き換えることで、血中のLDL(悪玉)コレステロール値の低下に役立つとされています。

 

●不飽和脂肪酸を多く含む食品……アマニ油、えごま油、オリーブオイル、キャノーラ油(菜種油)、マグロ(赤身)、サバ、サンマ、鮭、イワシなど。

 

「不飽和脂肪酸の中でも、特にオメガ3脂肪酸(マグロ・サバなどの青魚、アマニ油、エゴマ油)を意識して摂りましょう。サラダ油や大豆油(オメガ6系)は日常の食事で足りているため、あえて増やす必要はありません」(今野さん)

 

ただし、不飽和脂肪酸は脂質の一種のため、取りすぎるとカロリーの過剰摂取につながります。普段の食事にプラスするのではなく、他の減らしたい食品、例えば飽和脂肪酸の多いバターやマーガリンと置き換えて使うのがおすすめです。

​kai / PIXTA

例えば、朝食の白米を雑穀米に置き換え、焼き鮭で不飽和脂肪酸を、納豆やワカメの味噌汁で食物繊維を摂取すればバランスが良くなります。

 

<1日の献立例>

  • 朝……雑穀ご飯、焼き鮭、納豆、わかめときのこのみそ汁、小松菜のおひたし、キウイ1個
  • 昼……そば、温泉卵、山菜、とろろ、小鉢(ほうれん草のおひたし)
  • 夜……雑穀ご飯、鶏むね肉のソテー(皮なし)、ブロッコリーのサラダ、野菜スープ

魚や、脂身の少ない肉を中心にすると飽和脂肪酸を減らしやすくなります。麺類も、野菜や海藻などと組み合わせやすく、脂質も少ないそばなどを選ぶようにすれば、LDL(悪玉)コレステロールの増加予防につながります。

また、ミツバチ産品のローヤルゼリーも、コレステロールとの関係を調べた研究が行われています。継続的に摂取した人を対象とした研究では、総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールの数値に変化がみられたことが報告されています。

「日常の食事の見直しに合わせて、消費者庁に『悪玉(LDL)コレステロールを低下させる』などの届出がされている『機能性表示食品』や『特定保健用食品(トクホ)』などの食品を補助的に活用するのも選択肢の一つです。

ただし、これらは病気そのものを予防・治療するものではないため、利用する際はパッケージの『届出表示』や『1日の摂取目安量』をよく確認し、あくまで基本となる食事改善や運動のサポートとして取り入れましょう」(今野さん)

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高LDLコレステロール血症を含む脂質異常症の対策では、食事の見直しと一緒に、運動で消費カロリーを増やすことも大切になります。特に、適度な有酸素運動はHDL(善玉)コレステロールの上昇、総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールの改善が期待できることが報告されています。

 

「有酸素運動は、毎日合計30分以上、週3日以上が理想。運動をする時間を取るのが難しい場合には、『通勤・買い物で歩く』『階段の上り下り』など、生活するうえで行う動作を増やすのも方法の一つです。これだけでも消費カロリーの増加に有効ですから、無理のない範囲で取り入れてみてください」(今野さん)

 

脳梗塞や心筋梗塞といった病気の予防だけでなく、認知症の予防のためにも、50代からはコレステロール対策に取り組んでいきましょう。

 

※なお、遺伝的な体質(家族性高コレステロール血症など)や基礎疾患によって、生活習慣の見直しだけでは十分な改善が得られない場合もあります。健康診断で数値を指摘された場合は、まず医師に相談し、必要に応じて指導や治療を受けるようにしましょう。

 

■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所

 

■監修者プロフィール:今野裕之(こんの・ひろゆき)さん

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医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、医学博士。順天堂大学大学院卒。老化予防・認知症予防を専門とする。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニックを開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、患者一人ひとりに合わせた診療にあたる。著書に『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう』(世界文化社)などがある。

HALMEK up編集部

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