介護で親と自分の人生を壊さない備え6

介護休暇・介護休業、どう使うのが正解? 仕事と介護を両立する使い方

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介護休暇・介護休業、どう使うのが正解? 仕事と介護を両立する使い方

介護休暇・介護休業は、親を直接介護するためだけの制度ではありません。「何が本当の親孝行か」を考え続ける介護の専門家・川内潤さんに、仕事と介護を両立するための介護休暇・介護休業の使い方や、時短勤務を選ぶ前に考えたいことを伺いました。

お話を伺ったのは、介護の専門家・川内潤さん

かわうち・じゅん NPO法人となりのかいご代表理事。社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士。1980年生まれ。上智大学文学部社会福祉学科卒業。老人ホーム紹介事業、外資系コンサル会社、在宅・施設介護職員を経て、2008年に「となりのかいご」を設立。以後、企業・自治体・個人に向けて、仕事と介護の両立や家族介護の相談支援を行う。

第5回では、介護が始まっても仕事を手放さず、家族だけで抱え込まない体制をつくる大切さを紹介しました。最終回は、仕事を続けるための介護休暇・介護休業の使い方を考えます。

介護休暇・介護休業の「本当に賢い使い方」とは?

freeangle / PIXTA

日常的な介護だけで使い切らず、「体制づくり」に優先して使う

「介護休暇」や「介護休業」。多くの人が「仕事を休んで、自分が直接親の面倒を見るための時間」だと思い込んでいますが、それは大きな誤解です。

介護休暇は、通院の付き添いや突発的な対応、ケアマネジャーとの打ち合わせなどに使える制度です。介護休業は、介護サービスの手配など、仕事を続けながら介護に対応できる体制を整えるための期間として位置づけられています。

もちろん、必要な場面で親の介護に使うこともできます。ただし、限られた日数を日常的な直接介護だけで使い切ってしまえば、長期にわたる仕事との両立は難しくなります。

では、この貴重な時間は、何のために使ったらいいのでしょうか。私は、介護の体制を整えるための事務的な手続きや打ち合わせに優先して使うことをおすすめします。

親のために「時短勤務」を選ぶ前に、考えておきたいこと

metamorworks / PIXTA

たとえば、要介護認定の訪問調査への立ち会い。ケアマネジャーとの打ち合わせ。介護チームの立ち上げや、退院のときなど節目に行うケアカンファレンスもあります。そして、老人ホームの見学……。

介護休暇・休業は、こうした「介護チームを立ち上げ、維持する」ために、ピンポイントで使っていくのが正解です。

さらに、もう一つ気にしておきたいのが「時短勤務制度」です。

「デイサービスの送迎時間に合わせるために、時短勤務にする」という選択は、よくあるパターン。子どもの「保育園・幼稚園の送り迎え」にはもちろん家族が必要ですが、高齢者の場合は少し状況が異なります。

実際には、一人暮らしの高齢者でも、デイサービスは利用できています。「送迎に必ず家族が立ち会わなければならない」とは限りません。これは、家族側の「心配」や「思い込み」にすぎないことが多いのです。

時短勤務を決める前に、家族不在での送り出しや迎え入れが可能か、事業所に相談してみましょう。

デイサービス、「家族がいない方がうまくいく」ことも? 

Ushico / PIXTA

さらに、ちょっと意外な現実も。

家族が家にいない方が、デイサービスにスムーズに送り出せるということがあります。家族がそばにいて「上げ膳据え膳」で何でもしてくれたら、親はわざわざ外に出ようとは思いませんよね。「もう行かない!」と言い張って、動かなくなる人もいます。そのままサービスの利用そのものをやめてしまう人もいるのです。

親のために良かれと思って時短勤務を選ぶことも、親の自立の妨げになる場合があります。デイサービスという社会との接点を奪ってしまうことになりかねないのです。

とにかく、自分の生活を削ってまでべったり寄り添うのは、おすすめしません。四六時中一緒にいれば、どんなに仲の良い親子でも、余裕を失い、苦しくなります。

壮絶な介護の末に関係がボロボロになってしまう、ということもよくあります。親が最期を迎えるときに「もう顔も見たくない」と会いに行けなくなってしまう人だっています。それは親にとっても、みなさんにとっても、あまりに悲しい結末ですよね。

休暇や休業は「自分が介護をするため」に使い切らないこと。最後まで「良い関係」を維持して、より良い介護を目指したいものです。

【POINT】

  • やること:休暇・休業で介護チームを整える
  • やらないこと:休暇・休業を直接介護だけで使い切らない

家族だけで抱え込まないために、今からできること

介護にかかるお金や今後の備えは、考えること自体が大変で、つい後回しにしがちなもの。でも、備えがないまま介護が始まると、心身や仕事への負担が大きくなることも。この記事をきょうだいや夫婦間で共有し、親の介護が本格的に始まる前から話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。


全6回を通してお伝えしてきたのは、介護のために親も子も無理をしないこと。お金、親との話し合い、きょうだいとの分担、仕事との両立――気になるテーマがあれば、ぜひもう一度読み返してみてください。

【介護で親と自分の人生を壊さない備え】

1:親の介護費は「親のお金」でまかなう
2:親の資産、どこまで把握しておく?
3:介護前に聞きたい、親の「これから」
4:介護費できょうだいが揉めないために
5:「介護離職」を遠ざける考え方
6:介護休暇・介護休業の上手な使い方

※この記事は川内さんの著書『介護前夜の教科書 親と自分の人生を壊さないための備え』(講談社刊)より一部抜粋して構成しています。

もっと詳しく知りたい人は

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HALMEK up編集部

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