運動で脳を活性化#1

物忘れが増えた!?脳と筋肉を同時に鍛える「1日短時間」の新常識

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物忘れが増えた!?脳と筋肉を同時に鍛える「1日短時間」の新常識

「物忘れが増えた」「つまずきやすい」と感じたら要注意。実は短時間の運動でも、脳内で記憶や学習を助ける注目成分「BDNF」が分泌されます。脳と筋肉を同時に活性化させ、健康的な体を保つコツを京都大学名誉教授の森谷敏夫さんが解説します。

教えてくれた人:京都大学名誉教授・森谷敏夫さん

もりたに・としお 京都大学名誉教授。おせっかい倶楽部代表取締役。応用生理学とスポーツ医学の専門家として、運動による健康効果を幅広く発信。『京大の筋肉』シリーズなど著書多数。EMS(筋電気刺激)研究の第一人者。女性向けのインナーマッスル強化と高齢者向けの筋肉づくりの「森谷博士のEMS(R)」を開発。
https://www.osekkaiclub.co.jp/

なぜ運動が一番の脳活?脳と筋肉が「つながる」メカニズム

本来、脳と筋肉は、脊髄を通じていつもやりとりをしています。脳からの指令で体が動き、その刺激がまた脳に伝わる――この行き来がしっかりあることで、脳も筋肉も元気が保たれているのです。

「だから、運動は筋活であり、一番の脳活でもあります」と話すのは、京都大学名誉教授で運動生理学が専門の森谷敏夫さん。さらに最近の研究では「運動をすると、多くの“脳を活性化させる物質”が出ることがわかってきました」と続けます。

その代表が、BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる物質。脳の神経細胞で分泌され、認知症の原因物質とされるアミロイドβを無毒化する、天然の“認知症予防薬”といわれています。

高齢になるほど必要な筋肉を集中的につけつつ、同時に“脳にいい物質を効果的に出す”には、きつい運動は一切必要なし! 生活習慣の中で、楽しく体を動かすことが大切です。

数分の運動でもOK!脳を活性化させる3つの物質

1.認知症の原因物質アミロイドβを無毒化する「BDNF」

脳の神経細胞から分泌される物質で、主に記憶や学習能力を司る「海馬」で働き、その機能を活性化させます。神経細胞の再生・修復を促すといわれ、認知症の原因物質とされるアミロイドβの構造を切断し、無毒化する作用が注目されています。

2.記憶や学習能力を司る脳の海馬に作用する「IGF-1」

運動をすると筋肉から血中へと分泌される物質です。脳の海馬に作用し、認知機能や学習能力を向上させる他、筋肉や骨、軟骨などの成長を促す働きがあるとされます。

3.脳と筋肉に欠かせないエネルギー源「乳酸」

「疲労物質」と思われがちな乳酸ですが、実は脳や筋肉でエネルギー源として働く不可欠な物質。BDNFやIGF-1などの、脳に有効な物質の分泌を促す働きも知られています。

運動直後、BDNFは3倍以上に!その効果は一定時間続く

出典:J Alzheimers Dis. 2017 ; 55(2): 645–657. 
doi:10.3233/JAD-160593.より編集部改変

運動の前後で比べると、運動後はBDNFの分泌量がしばらく高い状態になります。

「これは35分間の運動後の結果ですが、やり方次第で数分程度の運動でも十分にBDNFを高める効果が期待できます」(森谷さん)

取材・文=新井理紗、児玉志穂(ともにハルメク編集部)、撮影=鈴木宏、ヘアメイク=榊美奈子、モデル=いつこ、イラストレーション=飛田冬子

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年3月号を再編集しています。


次回は、脳の健康を保ち、「一生歩ける体」を作るための簡単な3つの習慣を紹介します。 

■「運動で脳を活性化」をもっと読む■

#1:物忘れが増えた!?脳と筋肉を同時に鍛える「1日短時間」の新常識
#2:きつい運動なし!脳と筋肉を刺激して「一生歩ける体」を作る3つの簡単習慣
 

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