【Up select】オトナ女性が着回せる秋服
おしゃれ賢者に聞く50代からのファッション流儀
広瀬裕子さん「少ない服でもおしゃれは自由に」ぜんぶ1軍の心地よい暮らし
3年前、東京への引っ越しを機に、服を大幅に減らしたエッセイストの広瀬裕子さん。クローゼットにあるのは黒・グレー・白を中心にした「ぜんぶ1軍」の服だけ。50代から好きなものを見極め、少ない服で自由におしゃれを楽しむヒントを聞きました。
INDEX
広瀬裕子さんのプロフィール
エッセイスト、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、瀬戸内を経て、2023年から再び東京在住。『60歳からあたらしい私』(扶桑社)、『50代からのグレイヘア』(PHP研究所)など著書多数。インスタグラム:@yukohirose19
NHKカルチャー青山教室で11月22日に「大人の学び ─ 学びから広がる暮らし ─」講座を開催予定。
今の私のクローゼット、これで十分楽しい

「今持っている服は、これだけです」
そう言って見せてくれたクローゼットには、黒を中心に、グレーと白が少々。引っ越しを機に住まいをコンパクトにしたことで、服も潔いほど少なくなりました。
けれど、広瀬さんに「減らした」という窮屈さはありません。
「もちろん、昔はカラフルな色の服も持っていましたし、着回すのがおしゃれだと思っていた時期もありました。でも、だんだん華やかな色の服を着ると落ち着かないことに気づいてきて。いつも同じような服でも、自分が心地よくて落ち着く服がいいなと思い始めたんです」
残すのは「着ていてラク」な服。3つのマイルール
では、何を残し、何を手放すのか。広瀬さんの基準は、とてもシンプルです。
「まず、“着心地のいいもの”であることが一つ。あとは“ノーアイロン”で“4シーズン着られるもの”という基準で考えて。近所のお出かけから、きちんとした外出まで対応できて、あれこれ迷わなくていい組み合わせというルールで絞っていきました」
一度減らしたら、もう増やさない――というわけではありません。少ない服を楽しむために、今の自分に必要なものはきちんと買い足し、更新します。
「昨年はお茶のお稽古のためのワンピースを一着買い足しました。それから毎年、夏前に無印良品のTシャツを新しく買い足しています。Tシャツにはその年らしいシルエットがあるので、トレンドを取り入れられるんです。素数が好きなので、買い足すのは大抵3枚(笑)」
10年着ても心地いい。お気に入りを長く楽しむコツ

今の定番は、ARTS&SCIENCE(アーツ&サイエンス)のトップスとパンツ。中には、10年以上着続けているものもあります。
「洋服にそんなにお金をかけなくても……と思っていた時期もありましたが、生地がいいものは着ていて楽だし、流行と関係なく長く着られます。この服も10年もの」
気分よく、機嫌よく着続けられるように、服を買うときは試着し、気になる部分があればお直しをしてもらうそう。
「このパンツも丈を1.5cm縮めてもらいました」
たった1.5cmでも、「なんとなく気になる」をそのままにしない。それも、少ない服を長く気持ちよく着るための工夫です。
そんなお気に入りの服は、特別な日のためではなく、毎日の暮らしの中で活躍しています。この春からは週3回、早稲田大学LRCという50歳以上を対象にした学びのプログラムへ。通学の日も、スタイルはほぼ同じです。
「1講義90分で、長時間過ごすことも多いので、やはり心地よくて動きやすい服がいちばんです」
服だけでなく、小物にも広瀬さんの「定番」があります。あれこれ持つのではなく、使いやすくて好きなものを繰り返し。ここでも「自分の好き」がはっきりしています。
【アクセサリー】パールのピアスが定番

基本的にアクセサリーはパールのピアスのみ。
「ピアスはニ十歳のときに母からもらったプレゼント。年齢を重ねると大ぶりなほうがしっくりくるので、ほぼ毎日つけています」
【バッグの中身】必要最小限にして、すっきり身軽に

20年前に旅先で購入したエルメスの小ぶりのバッグに、パソコン、教科書、ノートとペン、名札、水筒などを入れて。
「ペンケースは持たずペン1本にするなど、バッグの中身も必要最小限にとどめています」
【スニーカー】歩きやすさを優先してニューバランスに

スニーカーはニューバランスの992。
「歩きやすくて定番のように履いています」
洋服で目立たなくていい。街になじむくらいが心地いい
もともとモノトーンが好きだった広瀬さん。瀬戸内に住んでいた頃は、“全身黒”で歩いていると周囲の目線が気になったとか。
「地方は車社会なので歩いている人が少ないこともあり、黒い服で歩いているだけで、なんだか浮いている気がしていました。自分が落ち着く服と、住んでいる街が合っていない感じだったんです。東京に戻ってきたら、服と街が自然になじんで、暮らしやすくなりました」
「おしゃれだと思われたいという気持ちは、もともとないんです」と広瀬さん。
目立つためではなく、自分らしくいられるために服を着る。そして、その服が暮らす街にも自然になじむ。広瀬さんにとっては、そんなことも「心地よさ」の一つです。
服は少なくても「ぜんぶ1軍」。だから迷わない
では、少ない服で暮らすようになって、おしゃれはどう変わったのでしょう。広瀬さんの答えは、とてもシンプルです。
「よく、洋服の1軍2軍と言いますが、私の持っている服はある意味、ぜんぶ1軍なんです。数が少ない中からその日の服を手に取って着るだけ。限られた中で組み合わせて着ています」
好きなものだけになったら、おしゃれはもっと自由になった――。
「迷わなくていい分、自分らしさが深まったような感覚があります。年齢を重ねると、似合う服が少なくなるように感じますが、それは淋しいことではなく、“好きなものがはっきりしてくる”ということ。好きなものを身につける心地よさを知れば、たくさんの洋服に振り回されなくなるのではないでしょうか」
取材・文=樋口由夏」「撮影(写真)=日高奈々子
後編では、服だけでなく髪や肌も「心地よく、自分らしく」。広瀬さんが年齢を重ねる中でたどり着いた、ヘアケア、スキンケア、そして自分との付き合い方をお聞きします。
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