エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第4期第6回
エッセー作品「ふたりの天使」小田原薫さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。 今月の作品のテーマは「天使」です。小田原薫さんの作品「ふたりの天使」と山本さんの講評です。
エッセー作品「ふたりの天使」小田原薫さん
ふたりの天使
「あの絵、天使やね。描いた人知ってる?」
「さあ、知らんけど、誰かな。」
ファミリーレストランで注文を終え、冷水を一気に飲んだら、夫の肩越しの壁に飾ってある、大きな油絵が目にはいった。4年くらい前の話だ。
店内を見回すと、大版の油絵が壁ごとに掛かっていて、ほとんどが西洋の宗教画のように見えた。
「ふたりの天使」を見た瞬間、そこは行ったことのない国イタリアのような気がした。
「絵画は国境を越える」という言葉が頭に浮かぶ。
たとえ軽い食事の席であっても絵画が1枚飾ってあれば……。
イエス・キリストを抱いた聖母マリアが、絵のまん中に、すっくと立っている。聖母を守るために存在しているのだろうか、男女がふたり、そばにいて付き添っている。
何より目をひくのが、ふたりの天使だ。
人間の赤ちゃんのような表情に少し戸惑う。人間味が感じられる。宗教画としての1枚だったのか、それとも等身大の赤ちゃんとしての作品だったのか、よくわからない。
勉強が足りないせいか、はっきりとした答えは出ていない。謎はますます深まるばかりだ。
天使に導かれた、この1枚の油絵は『システィーナの聖母』という画題で、ラファエロが一生涯で最後に描いた聖母だと知った。
天使には、キリスト教の聖典に登場する「神」の言葉を「人間」に伝えるという大事な役割があり、それはまた個人と結びついている。
夢のような話だけれど私にも、見守ってくれている存在の天使がそばにいるのだろうか。
天真爛漫(てんしんらんまん)な雰囲気のふたりにいつか会えるといいなぁ。どこにいるのだろうか。
山本ふみこさんからひとこと
読み手としての私は、こうです。
ファミリーレストランでご夫婦の間に座って、ガパオライスを注文し(妄想でございます)、私は店内を見まわしています。壁面に飾られた聖母マリアの絵のなかの天使たちをみつけました。「ほんとほんと、人間の赤ちゃんみたいですね」
これだけで心がはずむのですけれど、この作品はそれでは終わりません。後半部分があるのです。レストランで見た絵の調べがつき、書き手の持つ(生き方を表すような)イメージが広がります。 ![]()
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
現在は第5期の講座を開催中(募集は終了しました)。次回第6期の参加者の募集は、2022年12月を予定しています。詳しくは雑誌「ハルメク」2023年1月号の誌上とハルメク365WEBサイトのページをご覧ください。
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