エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第9期第1回
「塩の効用」綱則子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第9期1回目のテーマは「塩」。綱則子さんの作品「塩の効用」と山本さんの講評です。
「塩の効用」綱則子さん
塩の効用
ダンナの家は代々続いた農家。米は売るほど作っていたし、大手種苗会社の契約農家としてキャベツの種も作っていた。
もちろん、家で食べる野菜はすべて畑で育てる。その数たるや───
じゃがいも、里芋、さつまいも。
玉ねぎ、ネギ、ナス、トウモロコシ。
トマト、ピーマン、マンガンジ。
小豆、黒豆、えんどう豆。
も1つ大豆、大根、白菜。
これらの野菜を、義母は美味しく調理して食卓に運んだ。さらに、味噌もしょうゆも自家製だった。
とにかく、よく働く義父母であった。
自給自足に近い食生活にあって、塩だけは大量に買いおきしてあった。梅の実のなる頃には、梅干し用の塩漬けにたっぷりの塩を使う。キュウリも塩漬けにして毎日ポリポリ。残れば酒かすと砂糖に漬けて保存した。
冬前には大根と白菜を大量に漬け込む。これこそ、いくつもの樽に漬けるゆえにどっさりの塩をば使う。大根と白菜が漬かるまでのあいだは、大根の葉を細かくきざんで塩もみした「一夜漬け」を作る義母。
塩分過多の漬物。義母は気にしていたのだったが、力仕事の家の食事のこと、「しゃあーにゃあー(仕方ない)。」と言うのが常だった。
義父は平成20年7月に他界。満99才だった。
義母は平成31年1月に他界。満103才だった。
高血圧と腰痛の持病はあったが、2人共最後まで自分の足で歩いて、会話もはずんで、夜、眠りに就いてそのまま旅立っていった。
死因はいずれも老衰だった。一番楽な死に方が老衰だと医師は語った。
今後、新説「塩の長寿効果」が発表される日がくるのではと妄想する日は続きそう。
山本ふみこさんからひとこと
この作品、皆さん音読してくださいまし。
畑で育った野菜たちのならびの、うつくしいこと。
ヒトの健康にとって、塩はワルモノの云わんばかりに、減塩が推奨される昨今です。塩は、ヒトにとって奇跡の賜物だと、思いださせていただきました。
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通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は講座の受講期間の半年間、毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。
■エッセー作品一覧■
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