女性のための人生相談・75
人生相談:不動産は生前贈与してもらった方がいい?
人生相談:不動産は生前贈与してもらった方がいい?
更新日:2022年08月13日
公開日:2022年05月24日
44歳女性の「生前贈与」についてのお悩み

親が建てた家を5年前に、二世帯住宅に改築しました。現在、親と同居しています。
土地や家屋の生前贈与などを考えた方が良いのか、また、それをどう両親に持ち掛け、相談したら良いのか悩んでいます。
税制も含めた贈与のシステムなどが知りたいです。
(44歳女性・スノーウーマンさん)
畠中さんの回答:贈与よりも相続の方が税制面で有利なのが一般的です

土地や家屋の生前贈与を望まれるのは、「もしかしたら節税になるのでは?」とお考えになっているからでしょうか。だとしたら、少し勘違いをされているかもしれません。贈与で不動産を受け取るよりも、相続で受け取った方が、納める税額は少なくなるのが一般的だからです。
まずは、適用される税率で比較してみましょう。
相続税の場合、基礎控除などを差し引いた残りの相続財産(課税される財産)が1000万円以下の場合、10%の税率が適用されます。1000万円の相続財産に対する納税額は100万円です。
これに対して贈与税は、基礎控除である110万円を差し引いた贈与金額が1000万円以下の場合、税率は40%になっています。累進課税の仕組みになっているため、計算する際は「1000万円×40%=400万円」から控除額の125万円(10・20・30%が適用される分)を差し引けますが、1000万円の贈与財産の場合、贈与税は275万円かかります。
単純に税率だけを比べても、贈与税の方が多くの税金を支払うことを、おわかりいただけるのではないでしょうか。
相続であれば「小規模宅地等の評価減の特例」が使える可能性がある

また、親御さんと同居されている家を自分名義にする場合、相続であれば「小規模宅地等の評価減の特例」の適用を検討できます。これは同居している親の家、つまり自分も住んでいる家を相続で失わずに済むように配慮された制度です。
具体的には、「小規模宅地等の評価減の特例」が使えると、不動産の評価は80%も引き下げてもらえます。言い換えれば、不動産の評価額の20%という、かなり低い金額で相続財産として評価してもらえるわけです。
一方の生前贈与の場合。20年以上連れ添った配偶者間では、2000万円(基礎控除を足せば2110万円)までの持ち分について、贈与税がかからないとする特例はあるものの、親子間で使える特例ではありません。家屋の評価が低いとしても、土地の名義も含めて生前贈与をしようとすると、贈与税がかかる可能性が高くなってしまいます。
さらに、贈与を実行しますと、登記のための費用(登録免許税など)も必要になります。登記費用は不動産価格などによっても変動しますが、司法書士への報酬も含めて、十数万円から数十万円はかかるはずです。
特例には注意点も!適用条件に該当するかどうか確認しましょう

寄せていただいたお悩みにある内容しか、スノーウーマンさんの家の状況がわからないため、確定したお答えはできないものの、贈与が気になるとしても、先に「小規模宅地等の評価減の特例」について調べてみてください。この特例が適用になるとしたら、急いで贈与する必要はないことを理解していただけると思うからです。
ただし、「小規模宅地等の評価減の特例」には注意点もあります。
例えば、現在は親子同居だとしても、将来、親御さんが介護のために高齢者施設に住み替えたとします。親御さんの部屋が空いたからと、その部屋を第三者に貸し出すと、この特例を使う権利が消滅してしまいます。高齢者施設に住み替えたとしても、戻れる住まいとして確保しておく必要が、税制上はあるからです。
高齢者施設への住み替えは一例に過ぎず、この特例を適用するにはいくつかの条件があるため、制度について詳しく知っておく必要があります。
繰り返しになりますが、まとめになります。「小規模宅地等の評価減の特例」が使えるような状態で、相続財産として自宅を受け取る方が有利になるのが一般的なので、スノーウーマンさんのケースでも生前贈与を考える必要性は低いように思います。ぜひ検討してみてください。
回答者プロフィール:畠中雅子さん

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
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