50代からの女性のための人生相談・51

人生相談:繰下げ受給や住居…老後に向け考えたいこと

公開日:2021/12/20

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「女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は62歳女性の「老後に備えて考えておくべきこと」についてのお悩みに、ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんが回答します。

人生相談:繰下げ受給や住居…老後に向け考えたいこと

62歳女性の「老後に備えて考えておくべきこと」についてのお悩み

62歳女性の「老後に備えて考えておくべきこと」についてのお悩み

現在62歳。娘たちは他県で独立して暮らしており、私は一人暮らしをしています。

「老後資金2000万円必要」という金額には全然手が届きませんが、ある程度の貯蓄はあります。 

年金は月に10万円程度しかもらえない予定で、そこから社会保険料や税金などが引かれ、賃貸生活を続けるには貯金を崩していかないと生活できません。

なんとか健康を維持しながら、できるだけ長く仕事を続けて、年金は70歳からもらおうとは考えていますが、その他に考えておくべきことはありますか?

(62歳女性・パルメクさん)

畠中さんの回答:70歳まで繰下げると、年金額は1.42倍に

畠中さんの回答:70歳まで繰下げると、年金額は1.42倍に

まずは、年金の繰下げ受給から整理していきましょう。公的年金の支給開始年齢は、原則として65歳からです。原則と書いたのは、生年月日によっては、もう少し若い年齢から受給できる人もいるためです。

原則は65歳ですが、希望すれば65歳以前から受給を始められる「繰上げ受給」と、もらい始める年齢を遅らせる「繰下げ受給」の制度があります。実際のところでは、繰上げ受給を利用している人は少なくありませんが、繰下げ受給を利用する人はかなりの少数派になっています。

繰下げ受給をすると、ひと月に0.7%ずつ、年金額が増えていきます。例えば年金を70歳からもらう場合、65歳から受け取り始めるときに比べて、1.42倍(142%)に受給額が増えます。

ざっくりとした計算にはなりますが、パルメクさんが65歳からもらえる年金額が月10万円だとすると、70歳まで繰下げることで、ひと月の年金額は14万2000円程度になる計算です。ひと月4万円以上、年金額が増えれば、貯蓄を取り崩していくペースは遅くできるでしょう。

ちなみに令和4年度からは、年金の繰下げ受給の上限年齢が、現行の70歳から75歳に引き上げられることが決まっています。仮に75歳から受け取り始めると、年金額は84%も増え、パルメクさんの年金額はひと月18万4000円程度になります。

繰下げ受給は途中でやめることもできます

繰下げ受給は途中でやめることもできます

年金の繰下げ受給は、年金額を増やせるメリットがある一方で、寿命は誰にもわからないための不安があります。繰下げ受給の場合、もらい始めるのが遅くなりますので、「65歳で受け取り始めたときよりも、何歳のときに年金総額が多くなるか」を知っておく必要があるわけです。

70歳から年金をもらい始めた場合の損益分岐点は、社会保険料や税額によっても変動しますが、目安は「81~82歳」になります。女性の平均寿命よりは若い年齢とはいえ、この年齢よりも若くして亡くなられた場合には、繰下げ受給は損になることを理解しておく必要があるでしょう。

また、働く意思があっても健康状態によって働き続けられなかったり、職場の都合で仕事を打ち切られたりする可能性もあります。

もし70歳まで働けなかったり、体調に不安が生じたりしたら、70歳より前に受け取りを開始することもできます。「裁定請求」という、年金の受給を開始するための手続きを行うことで、66歳や67歳などから受給を開始できるわけです。

気になるのは、「高齢期の住まい」の問題

気になるのは、「高齢期の住まい」の問題

パルメクさんの今後の生活で気になるのは、賃貸住宅の問題。お悩みに「娘たち」と書かれているので、娘さんのご主人のいずれかが保証人になってくれれば賃貸住宅を借りるときのハードルは下がるものの、年を取るほど、賃貸住宅が借りにくくなる問題は残ります。

そのため、URのように、保証人を求めずに入居できる物件(家賃保証会社との契約が必要なケースもあります)や、高齢者住宅財団の家賃保証制度のように、70代や80代になっても、住み続けられる物件や制度を調べておくことをおすすめします。

例えば、高齢者の入居を拒まない「セーフティネット住宅」もありますので、希望する居住地域に、どのような物件があるのかを、調べてみてはいかがでしょうか。

また、「人生相談:老後資金の備え方は?老後が不安です……」でご紹介したことがありますが、70代になられたら、ケアハウスに住み替える方法もあります。

ケアハウスは、介護認定を受けていない高齢者の住まいです。住居費や食費、事務費などを含めて、パルメクさんの収入であれば、ひと月7~8万円で暮らせるケアハウスを探せます。

介護型ケアハウスも運営しているケアハウスを探せれば、介護状態が必要な状態になっても、公的介護保険の自己負担額と上乗せ介護費用を支払うことで、24時間365日の介護を受けながら、要介護5まで住み続けられます。

高齢期のお金の問題として、「介護には費用がかかる現実」がありますので、介護を見据えた住み替えを行うことも検討してみてください。

回答者プロフィール:畠中雅子さん

回答者:畠中雅子さん

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。

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