いつもの散歩を認知症予防に!五感を使った「おさんぽ脳活」【医師監修】
認知症を予防する「五感トレーニング」#2
認知症予防は毎日の習慣から!簡単にできる「五感で脳トレ」9選【医師監修】
物忘れより先に鼻が衰えることも?認知症予防のために意識したいのが、嗅覚・聴覚・視覚・触覚・味覚の五感です。料理の香りを言葉にする、利き手と逆の手を使うなど、日常生活で簡単にできる9つの脳トレを、認知症予防の専門医・浦上克哉さんが紹介します。
INDEX
教えてくれた人:認知症予防学の第一人者・浦上克哉さん
うらかみ・かつや 日本認知症予防学会理事、日本化粧医療学会理事。鳥取大学医学部教授。1983年鳥取大学医学部医学科卒業、88年同大学院博士課程修了、同大学脳神経内科・助手、講師を経て現職。
【嗅覚】物忘れより先に衰える?香りで鼻を鍛える
「実は、もの忘れなどの認知症の症状が現れるよりも先行して起こってくるのが、嗅覚を司る“嗅神経”の衰え。“嗅神経”の衰えが進行すると、それが脳の海馬にまで及び、もの忘れなどの症状が出てきます」(上イラスト参照)と浦上さん。
だからこそ、嗅覚を意識して衰えさせないようにすることが、認知症予防に効果的。
「嗅神経は、年齢にかかわらず再生することがわかっています。普段から、花や料理などの香りを意識して生活することから始めましょう」
五感で脳トレ1:食事や草花の香りを嗅いで言葉で表現する
まずは、普段の朝昼晩の食事の際に料理の香りを嗅いだり、外出した際、周囲の植物などの香りを嗅いだりしてみましょう。それを自分の言葉で表現してみてください。
香りを言葉で表すのは相当難しいので、高度な言語能力も必要になり、より脳の活性化につながります。

普段の食事で、「香ばしい」「ツンとくる」など香りを言葉で表現すると、より繊細な香りにまで意識が向き、料理がもっとおいしく感じられます。

外出先で周囲の草花や料理などを「甘い」「爽やか」などと表現すると、香りの識別力や想像力も働かせることになります。
五感で脳トレ2:目を閉じて果物や花の香りを嗅ぎ比べ

「花や果物などテーマを決めて、意識して香りを嗅ぐと嗅覚の衰えを防げます」と浦上さん。
例えば、グレープフルーツ、みかんなど柑橘類を数種類用意し、それぞれ切って皿に並べ、目を閉じて位置を入れ替え、適当な皿を手に取ります。香りを嗅いでどの果物か予想して目を開け、答え合わせをしてみてください。
花の場合も数種類用意し、柑橘類と同様に目を閉じて香りを嗅ぎ分けてみましょう。
ローズマリーカンファーの香りがおすすめ

「嗅神経の衰えを防ぐために効果的なのは、精油のローズマリーカンファーの香り。嗅神経への吸収が非常によいことがわかっています。柑橘系のレモンの精油と合わせると相乗効果が期待できます」と浦上さん。定期的にこうした精油の香りを嗅ぐのもおすすめです。
【聴覚】聞く力が認知症予防の鍵に!耳を鍛える習慣
「嗅覚」の次に認知症に大きな影響を与える五感といっても過言ではないのが「聴覚」です。聴覚障害が起こると人と話すのも億劫になり、脳への刺激が減って認知症になりやすくなります。
「聴覚」を意識的に鍛えるには、普段はあまり意識していない音にも意識的に耳をすませてみましょう。
五感で脳トレ3:朝、耳をぐるぐる回すお手軽マッサージ

両耳の端を2本の指でつまみ、上下左右に軽く回しましょう。5回ほど回したら、鳥のさえずりや秒針の音などに耳をすませてみて。
五感で脳トレ4:音楽に合わせて指でリズム演奏する

テレビやラジオから流れてくる音楽に合わせ、「1・2・3・4……」と指先でテーブルをトントン。リズムをとってみましょう。
【視覚】目の衰えも認知症に関係?見る力を鍛える
縫い物の針に糸を通せなくなったり、本の文字が読めなくなったり。「視覚」が衰えるとこれまで楽しんでいた趣味から遠ざかることも増え、活動量が低下。認知症につながりやすくなります。
目を動かすことで血流をアップさせたり、意識的に目を使ったりするトレーニングで「視覚」を鍛えましょう。
五感で脳トレ5:目をぐるぐる動かす

顔を正面に向けたまま目玉だけを上に動かして3秒キープ。続けて円を描くように視線を左へ移動させて3秒キープ。さらに、下、右……と視線を移動させ、1周したら逆回りも。
五感で脳トレ6:新聞や雑誌のコラムで特定の文字を探す

雑誌や新聞のコラムを見つけたら、「春」「山」「三」など特定の文字や数字を決め、探しながら読んでみましょう。「さんずい」など部首でもOKです。
【触覚】いつもと違う手の使い方で脳を刺激する
「触覚」を刺激することも認知症予防に。あえて意識して触れたり、いつもと反対の手を使ったり。普段とは違う使い方をすればするほど脳は活性化します。
家族の協力を得るのも◎。背中に湿布貼りをお願いする流れでさすってもらうなど、せっかくの機会にスキンシップもおすすめです。
五感で脳トレ7:いつもの動作を利き手と逆の手で行う

ドアを開ける、物を取る、歯磨きをする……など普段利き手で行っている動作を、あえて逆の手で行ってみましょう。
五感で脳トレ8:紙の枚数を指でめくりながら数える

雑誌や新聞、チラシなど紙の束を用意し、指で1枚ずつめくり数えます。慣れてきたらタイムを計測し、スピードアップを目指しても。
【味覚】新しい味との出合いが脳への刺激になる!
「味覚」の衰えも、認知症発症のリスクにつながります。味を感じられなくなったまま放っておくと食欲が低下。脳への刺激も減ってしまいます。
今まで食べたことがないと避けるのではなく、未知なる味を積極的に試してみましょう。味を感じながら言葉で表現してみるのもよし。新たな味との出合いが「味覚」を鍛えます。
五感で脳トレ9:新しいものを食べる

スーパーやレストランなどで普段食べたことがないものに出合ったら、食わず嫌いせずトライしてみましょう。
味覚が衰えても“甘み”を感じる機能は最後まで保たれる

味覚が衰えても甘みを感じる機能は最後まで保たれます。「認知症が進行している方がおいしく感じられるよう、介護されている方には甘い味付けの料理やデザートを出すようにアドバイスをすることもあります」と浦上さん。
取材・文=野田有香、福井祐子(ともにハルメク編集部)、イラストレーション=ネコポンギポンギ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年3月号を再編集しています。
※効果には個人差があります。試してみて合わない場合はおやめください。
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