50代、脳のゴミは「息」で捨てる#1

スマホを見る8割が無意識に窒息してる?「夕方クタクタ」の裏にある脳疲労

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スマホを見る8割が無意識に窒息してる?「夕方クタクタ」の裏にある脳疲労

「寝たのに頭が重い」「夕方になるとクタクタ」その不調、実は日々のスマホが知らず知らず脳に負担をかけているせいかも。さらに、便利だけれど現代人の脳を重くする“もう一つの原因”とは? 画面を見る生活での「蓄積疲労」とメカニズムを解説します。

教えてくれるのは、薬草研究家・織田 剛さん

おだ・たけし 株式会社フランスダイレクト代表取締役社長。ハーブティーなど植物関連商品の販売や植物に関連する情報を発信。フランス伝統薬草学に基づく「ハーブ・ファスティング(R)」を通じ、現代人の心身のデトックス(解毒)を提唱。著書に『脳のゴミは「息」で捨てなさい 1日1分で細胞から若返る「毒出し呼吸」の魔法』KADOKAWA(刊)

スマホを3秒見るだけ!あなたの呼吸が止まる衝撃実験

スマホを3秒見るだけ!あなたの呼吸が止まる衝撃実験
Graphs / PIXTA

まず、スマホを3秒だけ見てください。

ここで、実験を一つやってみましょう。スマホを手に取り、いつも開くSNSを3秒だけスクロールしてみてください。

1、2、3。

顔を上げてください。

いま、呼吸はどうなっていましたか? 一瞬、息を止めていませんでしたか。胸の上のほうだけが浅く動いていませんでしたか。肩にわずかな力が入っていませんでしたか。

たった3秒で、呼吸は乱れます。自分では気づかないほど、ほんのわずかにです。

けれど、その「ほんのわずか」が1日に何十回、何百回と積み重なるとしたら、どうでしょう。

朝起きてから夜眠るまで、十数時間。呼吸はずっと画面に支配されています。私たちは思っている以上に、息を詰めて生きているのです。

走ったわけでも重いものを持ったわけでもないのに、夕方にはもうクタクタ。そんな毎日が現代人のふつうになってしまいました。

画面を見る人の8割が呼吸停止?日中も続く無呼吸の恐怖

画面を見る人の8割が呼吸停止?日中も続く無呼吸の恐怖
webweb / PIXTA

この現象には名前があります。

2008年、アップルやマイクロソフトで幹部やリサーチャーを歴任したリンダ・ストーンが、メールやスマホを見る人たちを観察して気づきました。およそ8割の人が、画面を見ているあいだ無意識に呼吸を止めている。あるいは極端に浅くしていたのです。

彼女はこれを 「スクリーン無呼吸症候群(Screen Apnea)」 と名づけました。

発見から18年が経ちました。私たちが画面を見る時間は当時の比ではありません。スマホだけで1日平均3時間。タブレットやパソコンを足せば、4時間を超える人も珍しくありません。

夜のあいだに呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」という病気があります。米国ウィスコンシン大学が1552人を18年間追跡した研究では、重い睡眠時無呼吸障害があると、総死亡リスク(あらゆる原因による死亡)が約3倍に上がると報告されています。

眠っているあいだに呼吸が止まる。ただそれだけが、命を縮める。

もちろん、夜の病気の無呼吸と、日中の浅い呼吸を、同じものだと言うつもりはありません。

仕組みも、深刻さも違います。けれど、一つだけ共通することがあります。呼吸が浅くなると、体は休めない。それは、夜も昼も同じなのです。

夜の無呼吸がこれほど体を蝕(むしば)むなら、日中ずっと呼吸を乱し続ける「スクリーン無呼吸症候群」は、脳に何をしているのでしょうか。

ポケットの通知で体が固まる?24時間続く緊張の罠

ポケットの通知で体が固まる?24時間続く緊張の罠
freeangle / PIXTA

想像してみてください。すぐ目の前に、いつもライオンが座っている風景を。

ライオンが動けば、息を止める。目を開ければ、緊張が高まり奥歯を噛む。うなれば、恐怖で身がすくむ。動物として当然の、命を守るための反応です。

ところが、このライオンは去ってくれません。ずっと、そこにいる……。私たちの体は24時間、戦闘態勢のまま固まります。眠っているあいだも、神経は緊張から解放されません。

これが、スマホを持ち歩く私たちの姿です。

ポケットの中で通知が鳴る。画面が光る。そのたびに、手のひらサイズのライオンがこちらへ吠えます。1日に、何十回も。多い人は、100回、200回を超えます。

画面を見るあいだ、人は息を浅くし、止めています。通知一つで息が浅くなるなら、通知の数だけ、小さな緊張が積み上がります。

呼吸が浅いままでは、体は安全を受け取りにくくなります。脳は酸素だけでなく、リズムを頼りにしているからです。吐いて、吸って、ゆるむ。この周期が消えると、体は「まだ緊張だ」と判断します。

息は、ただの空気の出入りではありません。体に「ここは戦場ではない」と知らせる通信です。だから息が止まると、心まで止まりやすくなります。

便利なのに「決断疲労」スマホ以外のもう一つの原因は? 

便利なのに「決断疲労」スマホ以外のもう一つの原因は? 
tadamichi / PIXTA

ここ数年で、もう1頭、別のライオンが現れました。

姿は穏やかです。声も柔らかい。聞けば、なんでも答えてくれる。文章を整え、要約をして、調べ物も肩代わりしてくれる。そう、生成AIです。

AIが登場した当初、「便利になる」「楽になる」と言われました。実際、楽になった部分もあります。私自身、調べ物や原稿の整理で、何度も助けられています。

けれど、と立ち止まります。楽になったぶんだけ、判断の回数は減ったでしょうか。5案を見せられる。10案を見せられる。「もう1案、出します」と画面が言う。そのたびに、選び、決め、比べる。便利の値段は、いつも注意で支払います。

心理学に 「決断疲労」 という言葉があります。1日に脳が下せる判断の量には、上限があるという考え方です。

選択や決断をくり返すうちに精神的なエネルギーが消耗し、脳が疲れ、判断力がどんどん低下していきます。判事ですら、午前と午後で同じ案件への判断が変わる、という有名な研究もあります。私たちは、判断を貯金できません。

AIは、その判断の機会を無限に増やしてきます。選ばないことが、不安になる。せっかく出してくれたのに、と申し訳なくもなる。気づくと、どれも選べないまま画面を閉じている。これが、AI時代の新しい疲れ方です。

2026年、ボストン コンサルティング グループの調査では、AIを多用する労働者の14%に、頭にモヤがかかったようになる「AIブレインフライ(ブレインフォグ)」と呼ばれる強い認知疲労が見られることが報告されました。

薬も道具も一切いらない!脳のゴミを捨てる方法

薬も道具も一切いらない!脳のゴミを捨てる方法
mayucolor / PIXTA

ライオンは、姿を変えてやってきます。1頭目は、ポケットの中で鳴る。2頭目は、画面の中で「ご提案します」と微笑む。脅すライオンと、親切なライオン。どちらも、あなたの注意を取りに来ます。

スマホ疲れと、AI疲れ。別々に見えて、たどれば同じところに行きつきます。それは、脳の中に積もっていく見えない何かです。

この解決法はスマホやAIを使わないことではありません。AIと自分のあいだに距離を置き、脳に蓄積した疲労を毎日捨てる習慣を持つことです。それが次に紹介する「脳の歯みがき」です。

歯をみがくように、溜まった「脳の食べかす」を、毎朝・毎晩、息で捨てる。捨てる道具は、薬でも器具でもありません。あなたの「息」です。

※効果には個人差があります。試してみて合わない場合はおやめください。
※本記事は、書籍『脳のゴミは「息」で捨てなさい 1日1分で細胞から若返る「毒出し呼吸」の魔法』より一部抜粋して構成しています。


次回の記事では、深呼吸で疲れは取れない?朝夜1分でスマホ脳疲労を解消する「毒出し呼吸」を紹介していきます。

■50代、脳のゴミは「息」で捨てるをもっと読む■

#1:スマホを見ると窒息?「夕方クタクタ」の裏にある脳疲労
#2:朝夜1分でスマホ脳疲労を解消する「毒出し呼吸」
#3:イライラ・緊張・フリーズに!その場で一息「レスキュー呼吸法」

もっと詳しく知りたい人は書籍をチェック!

『脳のゴミは「息」で捨てなさい 1日1分で細胞から若返る「毒出し呼吸」の魔法』織田剛 (著)‎ KADOKAWA(刊)

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HALMEK up編集部

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