更年期は“気合い”で乗り切らない!

40代から始めたい「更年期」と「閉経後」の正しいセルフケアとは?

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女性なら誰もが迎える更年期ですが、心や体の変化は人それぞれ。大切なのは、更年期を正しく理解し、上手に付き合っていくことです。更年期の基礎知識と、40代から始めたいセルフケアについて、医師の石原新菜さんに教えてもらいます。

更年期の症状は大きく3種類

タカス / PIXTA

10月18日は「世界メノポーズデー」。メノポーズとは「月(月経)が止まる」という意味で「閉経」のことを指し、国際閉経学会において、更年期の健康に関わる情報を全世界へ提供する日として定められました。

日本では、日本女性医学学会が10月18日〜24日までの1週間を「メノポーズ週間」としており、更年期について理解を深めるためのさまざまな啓発活動が行われます。

更年期とは、閉経の前後約5年ずつの10年くらいの時期を指します。日本人の平均閉経年齢は50.5歳なので、一般的に45~55歳頃が更年期ということになります。

更年期と言えば、気になるのが心や体にあらわれるさまざまな不調です。医師の石原さんは、更年期の不調が起こる仕組みについてこう解説します。

「更年期になると、卵巣の働きが低下して女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。すると脳は『もっと女性ホルモンを出して』と卵巣に指令を送るのですが、卵巣はそれに十分に応えることができません。こうした状態が続くと脳が混乱し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その結果、ほてりや発汗、イライラといった、さまざまな症状(更年期症状)があらわれると考えられています」

マハロ / PIXTA

更年期に見られる症状は大きく3種類に分けられます。

■血管と放熱に関係する症状(ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など)
■精神症状(気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定など)
■その他の身体症状(めまい、動悸、頭痛、肩こり、冷え、しびれ、腰や背中・関節の痛み、倦怠感、もの忘れ、不眠など)

軽いものも含めると、更年期には約8割の女性が何かしらの症状を自覚していると言われています。

代表的なのは、ホットフラッシュと言われるほてりやのぼせですが、日本の更年期女性では、倦怠感、肩こり、もの忘れなどの症状がホットフラッシュなどの血管症状よりも多いという報告もあります。また、人によって症状は異なり、全く症状の出ない人や非常に軽い人もいます。

更年期症状の期間は平均で7年ほど、長い人では10年以上継続すると言われています。

なお、最後の生理から1年間、生理がなかった場合に「閉経」と判断します。

誤った情報に振り回されないために

NOV / PIXTA

更年期の症状はとても多く、100種類くらいあるとも言われています。ただ、その多くは更年期のみにあらわれる特徴的な症状ではなく、様々な病気に共通してあらわれる症状です。一見、更年期によるものと思われる症状でも、原因が他の病気の場合もあります。

さらに「更年期」と言われる時期は、仕事上の責任、子どもの思春期や受験、夫婦関係、嫁姑問題、介護問題など、ストレスが多くなる時期でもあります。それらが影響して不調があらわれることも少なくありません。

さまざまな不調が起こりやすく、かつ判断も難しい更年期とうまく付き合っていくには、どうすればよいのでしょうか。

「更年期の心身の不調については、正しい情報をキャッチして使える力=ヘルスリテラシーを高めることが重要です。ヘルスリテラシーが低いと、治療や薬の誤った情報に振り回されたり、病気の小さな自覚症状を見逃してしまうなどして、健康を悪化させやすいことがわかっています」(石原さん)

ヘルスリテラシーを高める近道は、まず自分の体について知ること。体重や血圧など、簡単に測定できる指標を利用して、体の変化をキャッチできるようにしましょう。また1年に1回は必ず健診を受けて、自分の体の状態の確認を。違和感や「いつもと違う」を、そのままにしないことも大切です。

そしてもう一つ大事なのが、正しい健康情報を見極める力をつけることです。

インターネットなどで情報を探すときは、根拠があいまいなものに振り回されないよう「いつの情報か」「誰が書いているのか」をチェックし、違う情報とも比較しましょう。

医師や薬剤師などの医療従事者に上手に相談できるように、伝えたいことや受けた説明はメモをしておく、相談しやすいかかりつけ医をつくることなども意識していきましょう。

40代から始めたい3つのセルフケア

Luce / PIXTA

更年期の自律神経系の不調とうまく付き合うには、適度な運動、食事・栄養、質の良い睡眠といった生活習慣の見直しが欠かせません。

日常生活に支障が出るほどの重い症状がない場合は、まずは毎日の暮らしの中でできるセルフケアに取り組んでみましょう。セルフケアの習慣を身につけることは、健康寿命を延ばすことにも役立ちます。

今日から取り組みたい更年期のセルフケアについて、石原さんに教えてもらいました。

■1.運動習慣をつける
「運動には、自律神経を整えて血行を促したり、ストレスを減らしたりする効果があります。そのため、日常的に適度な運動を行うと、更年期症状の緩和に役立ちます」(石原さん)

運動を行う頻度は1週間に3~4回、1日に30~60分程度が目安です。有酸素運動に加えて筋トレもできると理想的ですが、運動は無理なく続けられることが大切。運動習慣がない人は、まずはウォーキングや水泳などの有酸素運動から始めてみるといいでしょう。

「時間の捻出が難しい場合は、普段の活動の中で動く時間を増やしてみましょう。近所への買い物は歩いて行く、歯磨きをしながらかかとの上げ下げをする、家事や外出の際に姿勢をよくして移動する……など、日常の動作にプラスした“ついで”や“ながら”の動きから始めると習慣化しやすくなります」(石原さん)

■2.今の体に必要な栄養素を摂取

takeuchi masato / PIXTA

「更年期は、食生活を見直すいい機会です。バランスのよい食事を心がけ、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をまんべんなく摂取することを意識しましょう」(石原さん)

また、毎日の食事では、更年期の心と体の健康維持に役立つ栄養素を意識して取ることも大切です。

<更年期の心と体の健康維持に役立つ栄養素の例>

・大豆イソフラボン……女性ホルモンに似た働きをする成分(豆腐、納豆、おからなど)

・ビタミンE……血行をサポートする働きがある栄養素(ナッツ類、かぼちゃ、アボカドなど)

・カルシウム……骨の健康維持に欠かせない栄養素。閉経後は骨量が減りやすくなるため、意識して摂取を(牛乳・乳製品、大豆製品、ひじき・海藻類)

・ビタミンD……カルシウムの吸収を助け、丈夫な骨づくりを支える栄養素(魚類、干ししいたけ、卵(卵黄)など)

更年期の健康維持に役立つ食品については、企業をはじめ、さまざまな機関で研究が進められています。その一つが、ミツバチ産品のローヤルゼリーです。

ローヤルゼリーは、更年期特有の一時的な不安感や、日常動作における背中・腰の不快感を軽減するほか、体の冷えとの関わりについても研究報告があります。

また、3大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂質をはじめ、数十種類のアミノ酸やビタミン・ミネラルなどをバランスよく含んでいるため、栄養管理のサポートにも役立ちそうです。

■3.睡眠の質を高める 

ほんかお / PIXTA

更年期は、ベッドに入ってもなかなか寝付けない、早朝目が覚めてなかなか眠れないなど、睡眠トラブルが多くなりがちです。そして、睡眠の質が低いと自律神経が乱れ、更年期の不調につながっていくという悪循環が起こりやすくなります。

睡眠の質を上げるために、「朝起きてすぐに朝日を浴びる」「就寝の1時間ほど前に入浴する」「寝る前はノンカフェインの温かい飲み物でリラックスする」などの習慣を取り入れてみましょう。

朝日は、「睡眠ホルモン」とも言われるメラトニンの分泌を抑制し、入浴や温かい飲み物は入眠を助けます。

「なお、更年期症状の中でも症状が重く、日常生活に支障をきたしている状態は更年期障害の疑いがありますから、我慢するのではなく、専門の医療機関で適切なケアを受けることが推奨されます。更年期障害の治療には、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などがあります」(石原さん)

更年期の後は「黄金期」が待っている

EKAKI / PIXTA

更年期の症状は、「つらいけれど、病院に行くほどではないかも……」と、なかなか周りの人に相談できず、一人で抱え込んでしまうことが少なくありません。

しかし女性の健康は、女性ホルモンをはじめ、生活習慣や社会環境の影響も受けやすいため、我慢しているうちに症状がさらに深刻になる可能性もあります。

仕事や家事がつらいときは、我慢しすぎず、「最近、体調が悪い日が続いているからサポートをお願いするかも」などと伝えておけば、肩の荷も少し軽くなりますし、周囲も受け止めやすくなります。

エストロゲンの分泌量が増えて初潮を迎えた思春期、そしてエストロゲンの分泌量が低下して閉経を迎える更年期は、誰しも心身が揺らぎやすい時期です。

「早めに運動や食習慣の改善などのセルフケアを始める」「改善が見られなかったり、日常生活に支障が出たりするなら婦人科を受診する」などの対策で、揺らぎやすい時期を上手に乗り切っていきましょう。

更年期を過ぎれば、女性は月経のトラブルから解放され、エネルギーもぐっと増す「黄金期」に突入すると言われます。

「エストロゲン分泌が大きく低下すると、相対的に男性ホルモンであるテストステロンの影響が大きくなります。テストステロンには、筋肉や骨の増強、性機能の維持、造血促進、意欲や自信といった活力向上などの働きがあるため、アクティブに日々を過ごしたい50代女性の背中を後押ししてくれます」(石原さん)

更年期は、黄金期の準備期間。体の変化をできるだけ前向きに捉え、黄金期を楽しむための健康の土台作りをしていきましょう。

■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:石原新菜(いしはら・にいな)さん

イシハラクリニック副院長。秋田栄養短期大学特任教授。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、フェムテック・ジャパン理事。主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書に『病気にならない蒸し生姜健康法』『やせる 不調が消える 読む冷えとり』など70冊を数える。

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