50代で歯列矯正をやり遂げるまで【前編】

写真を撮るたび落ち込んでいた私。51歳で人生が変わった100万円の使い道

写真を撮るたび落ち込んでいた私。51歳で人生が変わった100万円の使い道

公開日:2026年06月14日

写真を撮るたび落ち込んでいた私。51歳で人生が変わった100万円の使い道

写真を撮るたび口元を隠し、鏡を見るたび落ち込んでいた私。「もうこの歯並びは治せないかも……」と諦めかけていましたが、20代、40代で2度挫折した歯列矯正に51歳11か月で再挑戦。約100万円を自分のために使ってよかったと思えた理由とは……?

鏡を見るたび、歯のことばかり考えていた

「本当にやってよかった」

歯列矯正を終えた今、心からそう思っています。

51歳11か月で始めた3度目の歯列矯正。53歳6か月で装置が外れるまで約2年かかりました。

費用はおよそ100万円。

決して安くはありませんでしたが、今振り返ると人生で一番よかった100万円の使い方だったと思っています。

20代、40代で2度挫折した私が、50代でようやく叶えた歯列矯正。その流れはこのようなものでした。

51歳3か月:歯列矯正の相談・治療方針を決定(上の歯並びを整えるため、歯を2本抜歯)
51歳11か月:抜いた歯の後方から小さめの矯正器具を装着。めまいが出ないか確認
52歳0か月:上の歯全体に装置を付ける(月1回程度の定期診察)
53歳6か月:装置が外れる

鏡を見るたび、歯のことばかり考えていた
(左)BEFORE (右)AFTER

2度挑戦して、2度とも諦めた歯列矯正 

2度挑戦して、2度とも諦めた歯列矯正 
Pedro.F / PIXTA

25歳で最初に挑戦したときは、独身で婚活の全盛期。

私は不揃いな歯並びにコンプレックスがあり、きれいな口元に強い憧れがありました。「この歯並びは治したい。でもやっぱり今、矯正器具を付ける勇気もない……」。結局そのときは歯型を取っただけで、矯正を始めることができませんでした。

2回目の挑戦は40代。下の子が幼稚園に入り、ようやく少しだけ自分の時間が持てるようになった頃でした。

「今度こそ」と、子どもが通っていた矯正専門医で私も相談。あごが小さく歯が大きいため、上の歯全部を動かして隙間を作り、前に出ている歯を引っ込めるという歯の大移動プランでした。

しかし、歯全体を大きく動かす器具を付けた段階で、激しいめまいが止まらなくなってしまったのです。家事どころか、トイレに行くのもふらふらする状態になり、結局付けた翌日に外すという大失態を演じてしまいました。

「お子さんががんばっているのに、ママが外してしまうなんてね」「こんな症状が出る人は1000人に1人くらいですよ」と、先生も苦笑い。

我慢できなかった自分が悔しくてたまりませんでした。「一生この歯並びは治せないのかな……」。毎朝鏡を見るたびに歯のことばかり考えて落ち込む日々。写真を撮るときは、いつも口元を隠していました。

51歳11か月、もう一度挑戦しようと思った理由

51歳11か月、もう一度挑戦しようと思った理由
クラビー / PIXTA

そんな思いを抱えながら、いつもの歯医者さんに定期検診に行ったときのことです。隣の診察台に座っていた患者さんが、50代での歯列矯正の相談をしていました。何気なく会話を聞くと、「70代でもやっている方がいる」とのこと。

その瞬間、50歳のときに書いた「人生でやりたいことリスト」にずっと残っていた“歯列矯正”の4文字が頭をよぎりました。

思わず「先生、私も今から歯列矯正できますか?」と聞き、そこから「もう一度やってみたい」という気持ちがどんどん湧き上がってきたのです。

今回相談したのは、矯正専門医ではなく、長年通っている近所のかかりつけの歯医者さん。40代の頃、一度歯の根っこにばい菌が入ってしまい、かなり悪化した歯を丁寧に治療してくださった、信頼を寄せている先生です。

思い切って「矯正に挑戦したいこと」、そして「20代と40代で失敗してきたトラウマ」を話してみると、先生は私の体調を最優先に考えた、無理のないプランを提案してくれたのです。

「健康な歯を抜くなんて…」最後まで迷ったこと

今回提案されたのは、「上の犬歯の後ろの歯を2本抜き、そこにできた隙間を利用して、入り切っていない歯をきれいに収める」という方法でした。

「健康な歯を抜くなんて……!?」

私は長い間、「健康な歯は絶対に抜いてはいけない」という強い思い込みがありました。

しかし当時、母が入所していた介護施設で、80代で自分の歯がしっかり揃っている方が本当に少なかったことが頭をよぎりました。私たちより上の世代の方は、まだ子ども時代の歯磨き教育がそれほど浸透しておらず、歯並びの悪さからトラブルをこじらせてしまった方も多かったのです。

そのため、「ただ歯が全部揃っていればいい」というわけではなく、「口の中全体を健康でいい状態にするために抜く」という先生の提案に、深く納得がいきました。

そして何より背中を押してくれたのは、先生の「もし自分の妻が同じ状態だったら、この歯列矯正を勧めるよ」という言葉でした。「この先生にお任せしよう」と、ついに3度目の決意が固まりました。

今までの矯正とは違い、動かす歯の数や距離が短いこのプランならできるかも。そんな思いで、挑戦してみることにしました。

人生で初めて、自分のために100万円を使った 

人生で初めて、自分のために100万円を使った 
(上)犬歯の後ろの歯を抜いた後、奥歯に器具を付け始めたとき(下)矯正終了後

今回の矯正費用は、総額で約100万円でした。

基本料金が約70万円。それに加えて、毎月の調整費が1回約4000円。年間約10回通院し、それを2年間。検査費用なども含めると、総額で100万円弱になります。

これほどの大金を自分のために使ったことはありませんでしたが、不思議なくらい迷いはありませんでした。この先の人生、毎日鏡を見るたびに落ち込み続けるくらいなら、ここできっちり決着をつけたいと心から思ったのです。

とはいえ、また失敗して家族に迷惑をかけたら申し訳ないという思いもありました。そこで、OL時代に一生懸命働いて貯めていた自分名義の貯金から出すことにしました。2度の挫折を経たからこそ、今回は「自分で決めて、自分のお金で堂々と挑戦したかった」のです。

こうして51歳で相談を始め、治療方針を決め、抜歯を済ませ、51歳11か月。私は3度目の歯列矯正をスタートさせました。「あの時、勇気を出して本当によかった」と思う毎日です。

後編では、実際の治療の流れや費用、痛みの有無、人気のインビザライン(マウスピース矯正)ではなくなぜワイヤーを選んだのか、そして家族の反応や、息子の結納で感じたうれしい変化など、50代歯列矯正のリアルな舞台裏を詳しくお話しします。

まいこ
まいこ

4人の子を育てる専業主婦から、実母の介護と看取りを経て、資格取得など迷走しながら50代からSNSに挑戦。Instagram(@maiko_books)で「50代読書主婦の惚れる言葉に出会える本紹介&選書」をテーマに、がんばる女性を応援する本や書店の売れ本情報を紹介している。