50代から始めたい「ひざちゃん体操」入門 #3
実践編:階段がつらい…をラクに!ひざに負担をかけない上り下りのコツ
実践編:階段がつらい…をラクに!ひざに負担をかけない上り下りのコツ
公開日:2026年06月04日
ひざ痛と体の動きに詳しい専門家が解説
黒田恵美子(くろだ・えみこ)
健康運動指導士。東海大学体育学部体育学科卒業。一般社団法人ケア・ウォーキング普及会代表理事、ミズノ株式会社ブランドアンバサダーなどを務める。
野本聡(のもと・そう)
足立慶友整形外科院長。慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部客員講師、済生会横浜東部病院運動器センター長などを経て、現職。膝関節外科(とくに人工関節置換術)が専門。
※本稿は、野本聡監修・黒田恵美子著『出かける前に1分 ひざちゃん体操』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
ひざを甘やかしてはいけません!
痛みは日和見(ひよりみ)です。次の図のように40歳以上の63%が「いつも痛い」「しばしば痛む」「たまに痛くなる」と、ひざの痛みを抱えています。
「あれ⁉ 今日はなんだかひざが痛い」と感じたときは、支えを使って負担を軽くしながら立ち上がるようにしましょう。
また、ひざの痛みを感じ始めるのは、平均56.4歳から。男女別に見ると、男性57.6歳、女性56歳と、女性のほうが1.6歳も若くして発症しています。
2023年度版の変形性膝関節症診察ガイドラインによると、患者数は2500万人にのぼり、40歳以上の2人に1人が変形性膝関節症になっていることがわかりました。

ひざは使わなくなると、筋力が衰えて動かなくなっていくものです。
床からの立ったり座ったりは脚、腰の筋力やバランス感覚などを要するので、軽くひざが痛むくらいで動かすことをやめてしまうと、その後だんだんできなくなってしまいます。ひざを甘やかしてはいけません。少しくらい厳しくいきましょう。
“動ける範囲”を狭めないことが大切
ひざの痛みがひどくなってくると、いつものように畳や床に座ったら、そのまま立ち上がれなくなってしまう人もいます。
ひざ痛がなくても、高齢の人がしばらく入院すると筋力が弱って、退院後自力では立てなくなってしまうことがあります。家族もサポートの仕方がわからないと負担が大きいので諦めてしまい、結果的に寝たきりになってしまう残念な例もあります。
実際に支援が必要となる主な原因に、ひざ痛に関係するものは19.3%もあるのです。無理をすることはありませんが、自分でできる範囲を狭めないためにも、痛みがひどくてひざに体重がかけられないときでも、できるだけ1人で動ける方法をご紹介します。
階段がラクになる体の使い方とは?
階段を上がるときに、ひざを引き上げてくれるのは、ももの前側やお腹の筋肉です。反対に、下りるときには、ももの後ろ側の筋肉がたくさん働いて支えてくれています。
ですから、階段の上り下りが苦痛になったら、しっかりと、ももの前と後ろの筋肉を強く、柔らかくすることが必要です。
できれば、上がる前にはももの前のストレッチを、下りる前にはももの後ろ側のストレッチをするとよいです。とはいえ、混雑した駅の階段の手前でちょっとストレッチ、というわけにはいきませんから、外出前や、外出先のトイレの中などで軽くストレッチしておくことをお勧めします。
ひざ痛予防体操講座に来たAさん、60代後半の女性の話です。
軽いひざ痛を持ち、「階段があると思うだけで、外出がゆううつになってしまうの……」とお話ししていました。
1年ほど前に駅の階段で上げたつもりの足先が階段の角にひっかかり、前のめりに倒れてひざやももを打ち、顔まで打って、治るのに3カ月以上かかってしまいました。
このままでは動けなくなると危機感を感じたAさんは、痛みが軽くなってきたころから、ももの前の筋肉を「スクワット」などで強め、ストレッチを続けています。そのおかげで少しずつ、つまずきやすさは解消していき、今では、階段は足腰を強くするトレーニングの場所と思うまでに回復しました。
痛いと、ついエレベーターを探してしまいがちですが、痛みの軽いうちは階段を使って筋力を維持しましょう。
実践!脚が上がりやすくなる階段の上り方
1.背すじがまっすぐになるように、お腹をひっこめて腹筋を使ってひざを上げる。
2.上の段に着地したら、後ろの足先で押し上げるようにして上がる。
つまずきやすい人
つまずきやすい人は、見えない糸がひざについていると思って、その糸を同じ側の手で引き上げる真似をしてみましょう。不思議と脚が上がります。
実践!ひざに負担をかけにくい階段の下り方
ひざとつま先を同じ向きにする
ひざとつま先の向きが同じになるようにして、甲を伸ばしつま先からそっと着地します。
衝撃がかかりません。力が入りにくい方は手すりを持ちましょう。
かかとから下りる
かかとから下りると、ももの筋肉を使わないので、ドスンと体重がかかり、ひざ、腰に衝撃が加わって痛みが起きやすくなります。
内またに脚を下ろす
内またに脚を下ろすと、重心が外側にかかるので不安定になります。
次回は、ひざに痛みがあってもできる「ゆるゆる屈伸」やストレッチ、椅子を使った筋トレを紹介します。
※体の状態には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
もっと詳しく知りたい人は書籍をチェック!

『出かける前に1分 ひざちゃん体操』(かんき出版)




