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- 金澤翔子の言葉|30歳になったら、一人で暮らす
ダウン症の書家・金澤翔子と母・金澤泰子さん。二人三脚で「書」の道を歩んできた二人、翔子さんの「書」と母の解説。ダウン症の書家の、最高に純粋(ピュア)な世界から、美しい心で生きるヒントが見つかります。《シリーズ第2回》
金澤翔子さん・泰子さんのプロフィール
1985(昭和60)年、東京生まれ。生後すぐダウン症と診断される。5歳で母・泰子(やすこ)に師事し、書道を始める。20歳で初の個展を開催。鎌倉の建長寺、京都の建仁寺、奈良の東大寺ほか、各地で個展を開く。2023年6月より、初のドキュメンタリー映画「共に生きる 書家・金澤翔子」が上映中。金澤翔子 公式ホームページ:https://k-shoko.org/
30歳になったら、ディズニーランドの裏で一人暮らし
「30歳になったら、一人で暮らす」が翔子の夢。
5年も前からの念願で、グーグルマップの航空写真で綿密に調べ、すでにディズニーランドの裏に、住む家も決めている。2階建てのお庭のある立派なお屋敷。通販に電話して高枝切りばさみ等も注文している。やる気満々だ。
今年、翔子は29歳、期限は1年後に迫っている。果たして一人暮らしができるだろうか?残念ながらそれは無理。
「一人暮らしはできない」と決定的に知ってしまえば、5年越しの夢が破れてしまう。
翔子の最大の夢がなくなることが恐ろしくて、私は1年後に迫りくる一人暮らしを回避する方法を今、真剣に、ほんとうに真剣に考えている。
翔子の成長に、まぶしいような戸惑いと感動を覚えて
20歳からの10年のあいだにも翔子の心はゆっくりと成長を続けています。2、3年前くらいからは自己主張をするようになりました。従順だった翔子が、自分の意見を譲らなかったり、私のいいつけにちょっと反抗するような素振りをしたりすると、まぶしいような戸惑いと感動を覚えます。
そんな翔子が一人暮らしをすると言います。翔子は料理や掃除は十分にできますが、いかんせんお金の観念がない。現実的にはほぼ叶わぬ望みなのですが、そんな夢を誇らしげに語る祥子が愛おしいのです。
金澤泰子――『お母様、大好き』あとがきより
写真=中西裕人
※この記事は書籍『お母様、大好き』(ハルメク刊:2014年発売)より一部抜粋しています。
6月18日(日)翔子さん・泰子さんのお話会を開催します!
二人の歩みが初のドキュメンタリー映画化を記念して特別イベントを開催!ダウン症の書家・翔子さんと、その母・泰子さんがどのようにして歩んでこられたのか、どんな将来を考えているのかを語っていただきます。また、映画「共に生きる 書家 金澤翔子」から一部を皆さんと鑑賞します。
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