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- 『置かれた場所で咲きなさい』苦境を受け止めるとは
平成のミリオンセラー『置かれた場所で咲きなさい』の著者でシスターの、故・渡辺和子さん(享年89)。その原点には、二・二六事件で父を目の前で亡くし、うつ病や膠原病を患うなど数々の困難な経験がありました。
二・二六事件、目の前で父を殺されて
クーデターのあったあの朝、私は両親の間に入って川の字で寝ていました。母は兵隊を抑えるために部屋から出ていき、父はとっさの判断で私を壁に立てかけてあった座卓の陰に隠したのです。父は、私の目の前1mのところで三十余名の敵に囲まれて銃撃を受けて亡くなりました。
父を殺した相手を好きになることはできなくとも、許すことはできます。「許す」ということは、相手の支配下から逃れること。自分が自由になるために大切なことです。
いつまでも許せずにいると、「今あの人は何しているのだろう」と結局その相手が私の心を支配し続けるわけです。一度相手に対して悔しい思いを抱いているうえに、自分の貴重な時間を相手に支配されるなんて、もっと悔しいことだと思いませんか。
「断捨離」という言葉がはやっているそうですが、人間関係においても同じ。「断つ」「捨てる」「離れる」をしないと相手のことでがんじがらめになってしまいますから。
50歳から2年間患ったうつ病も大変つらかったのを覚えています。学生にも驚かれるのですが、信仰があってもうつ病にはなるようです(笑)。
でも、この病気を体験したことで、私は今まで気付けなかった他人の優しさに...
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