お得なきっぷを使った鉄道旅行プラン

ふじのくに家康公きっぷ|富士山のお膝元で絶景めぐり

公開日:2019.04.05

JRなどによる大型観光誘客企画「静岡デスティネーションキャンペーン」が2019年6月末まで開催され、県内でさまざまな特別企画が予定されています。そんな静岡を周遊するのに便利な「ふじのくに家康公きっぷ」を使った旅をご紹介します。

お得なきっぷは東部・中部・西部の3エリアから選択

西伊豆からの眺める富士山は障害物なしの絶景が眺められる

「ふじのくに家康公きっぷ」は、JR東海と静岡県、県内の鉄道事業者が共同で開発した旅行商品。静岡県の「東部」「中部」「西部」の3つのエリアから1つを選び、各エリアに設定されたフリー区間内のJR・私鉄の普通車自由席、路線バスなど公共交通機関の一般席が2日間乗り放題となるものです。JRの特急列車や特別室も、特急券などを別途購入すれば利用できます(新幹線・寝台列車をのぞく)。

伊豆箱根鉄道や岳南電車なども乗り放題に

 

日本平ロープウェイやエスパルスドリームフェリーなども!

 

天竜浜名湖鉄道や遠州鉄道なども乗り放題に

料金は1,500円(小人750円)。東部エリア版を例にとると、JR熱海駅から伊豆箱根鉄道修善寺駅までの大人運賃が830円なので、単純に往復するだけで160円のお得になります。中部エリア版では、JR掛川駅〜JR富士宮間で片道1,660円、西部エリア版では、天竜浜名湖鉄道の掛川駅〜新所原間で片道1,450円なので、これらを利用するだけでほぼ元が取れてしまいます。2日間乗り放題に加え、各エリアで人気観光施設での入場料割引などの特典がついているのもうれしい点です。

富士山の絶景を楽しみたいなら中部エリアがおすすめ

逆さ富士を模した外観が特徴的な「静岡県富士山世界遺産センター」

ここからは、「ふじのくに家康公きっぷ」の中部エリア版でめぐる、富士山ゆかりの人気スポットを紹介します。

JR富士宮駅にほど近い「静岡県富士山世界遺産センター」は、年間約51万人が訪れる人気スポット。静岡県の木材を使った建物は、建築家・坂茂氏が逆さ富士をイメージして設計したもの。館内にはらせん状のスロープが延びており、壁面に投影された富士山の風景を見ながら、富士登山が疑似体験できる仕掛けになっています。最上階の展望ホールからの富士宮の街と富士山の眺望は必見です。

息をのむような映像美に圧倒されます

■静岡県富士山世界遺産センター

住所:静岡県富士宮市宮町5-12
電話:0544-21-3776
開館: 9:00〜17:00(7、8月は18:00)※入館は閉館の30分前まで
休館:毎月第3火曜日、施設点検日(2019年は6月10~14日、12月3~6日)年末年始など(2020年の1月1〜3日は開館)
※第3火曜日が祝日の場合は開館し、翌日が休館に
料金:大人300円 大学生以下、70歳以上、障害者などは無料(要証明)
※企画展を観覧する場合は、企画展ごとに観覧料が必要
交通:JR富士宮駅から徒歩約8分

富士山本宮浅間大社の境内にある「湧玉池(わくたまいけ)」

富士宮ではさらに、富士山を御神体とする全国約1,300の浅間神社の総本山、富士山本宮浅間大社にも立ち寄りましょう。境内には富士山の湧水でできた特別天然記念物「湧玉池」があり、富士山御霊水をくむことができます。なお静岡デスティネーションキャンペーン特別企画として、2019年5月24〜31日に境内のライトアップが行われます(日没から20時まで)。

■富士山本宮浅間大社

住所:静岡県富士宮市宮町1-1
電話:0544-27-2002
開門:5:00〜20:00(4〜9月 ※季節により異なります)
交通:JR富士宮駅から徒歩約10分

世界遺産・三保松原の新名所と海グルメは要チェック!

白砂青松の景観が広がる景勝地「三保松原」(静岡市提供)

世界文化遺産・富士山の構成資産の1つである「三保松原」は、駿河湾に面した砂浜に約3万本の松が生い茂る景勝地で、松林の向こうに美しい富士山が望めます。天女が舞い降りた伝説を題材とした謡曲「羽衣」の舞台として有名で、浮世絵などにも富士山とともに描かれています。

三保松原にできた新スポット「三保松原文化創造センター」

「羽衣の松」のそばに2019年3月30日、三保松原の歴史と文化的価値を伝える「三保松原文化創造センター」が開館しました。大型スクリーンによる映像作品の上映のほか、展示ホールでは三保松原を題材とした富士曼荼羅図などの絵画、浮世絵、和歌が紹介されています。天気がよい日は、屋上に上がってみましょう。目の前に富士山が現れますよ。

■三保松原文化創造センター

住所:静岡県静岡市清水区三保1338-45
電話:054-340-2100
開館:9:00〜16:30
休館:年中無休
料金:無料
交通:JR清水駅から、三保方面行きバスで「三保松原入口」下車、徒歩で約15分


三保松原を堪能したら、清水の海の幸を味わいましょう。清水港は日本有数の遠洋漁業の基地で、マグロの水揚げ高は日本一。そんな漁業の街、清水の仲卸業者による「新鮮で美味しい魚をもっと気軽に食してほしい」との思いからできたのが、JR清水駅付近にある清水魚市場「河岸の市」です。

館内は、飲食店が集まる「まぐろ館」と、20人の仲卸人がプロの目で選んだ魚介類や地元産の野菜を販売する「いちば館」で構成されています。新鮮な魚がお手頃価格で並び、年間100万人以上が来館するのもうなずけます。

河岸の市「岸家」の刺身定食は、まぐろ3種(赤身、びんちょう、中トロ)などがてんこ盛り(1,800円・税別/団体用)

■清水魚市場 河岸の市

住所:静岡県静岡市清水区島崎町149
電話:054-355-3575
開館:いちば館9:30〜17:30 ※まぐろ館は店舗により異なる
休館:水曜日 水曜が祝日の場合は営業、翌日休業
交通:JR清水駅から徒歩約3分

ロープーウエイが無料に! 日本平の絶景を堪能

標高307.2mの日本平は、駿河湾と富士山の絶景を望む景勝地。ここに2018年11月、「日本平夢テラス」がオープンしました。メインとなる展望施設と展望回廊は、2020年東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場などを手がけた建築家、隈研吾氏の事務所が設計しています。

 

八角形にデザインされた「日本平夢テラス」の展望施設

3階建ての展望施設内には、日本平の歴史や文化を紹介する展示スペースやラウンジスペースがあります。屋外の展望回廊は1周約200mで、富士山をはじめ、三保松原や駿河湾、伊豆半島、南アルプスまで、360度の眺望が楽しめます。展望施設の入場は通常は17時までですが、うれしいことに土曜日のみ21時までなので、美しい静岡市街の夜景を楽しめます。

展望回廊から、360度のパノラマ展望を楽しめます

■日本平夢テラス

住所:静岡県静岡市清水区草薙600-1
電話:054-340-1172
開館:9:00〜17:00(土曜日は21:00まで)※展望回廊は終日入場可
休館:第2火曜日、年末(12月26~31日)
料金:無料
交通:JR静岡駅または東静岡駅から、日本平ロープウェイ行きの静鉄バスで「日本平ロープウェイ」下車、徒歩すぐ

日本平ロープウェイで“空中散歩”

日本平からは、日本平ロープウェイで久能山山頂にある久能山東照宮へ向かいましょう。「ふじのくに家康公きっぷ」を提示すれば、ロープウェイの利用料金はかかりません。

パワースポットとして人気の「久能山東照宮」※取材のため、特別に撮影した写真を使用

江戸幕府を開いた徳川家康は、今川家の人質だった少年時代と、将軍職を辞して死去するまでの期間、駿府(現在の静岡市)に居住していました。静岡のことが好きだったのでしょうか、遺体を久能山に葬るよう遺言を残しています。

久能山東照宮は、家康を祀る神社として最初に創建されたもので、世界遺産の日光東照宮はこの久能山をモデルにしています。日光に比べて小規模ながらも、社殿は国宝に指定されており、奥に進むと家康の墓が鎮座しています。

徳川家ゆかりの宝物約2,000点を収蔵する「久能山東照宮博物館」※取材のため、特別に撮影した写真を使用しています

静岡ディスティネーションキャンペーン期間中は、境内にある久能山東照宮博物館で「徳川歴代将軍 名宝展」が開催されます。家康の愛刀・ソハヤノツルキの特別展示は、“刀剣女子”にとっては見逃せないでしょう。このほか、歴代将軍の刀剣、甲冑、書状、スペイン王から家康に献上された洋時計なども集まり、歴史的価値の高い名品が一度に見学できます。

■久能山東照宮

住所:静岡県静岡市駿河区根古屋390
電話:054-237-2438
拝観時間:9:00〜17:00
料金(拝観料):大人500円、小人200円
※「ふじのくに家康公きっぷ」提示で、大人400円、小人150円
交通:日本平ロープウェイ久能山駅から徒歩すぐ

■久能山東照宮博物館

電話:054-237-2437
開館:9:00〜17:00(最終入館は16:45)
料金:大人400円 小人150円 久能山東照宮拝観料との共通券は、大人800円、小人300円
※「ふじのくに家康公きっぷ」提示で、共通券は大人700円、小人250円

「ふじのくに家康公きっぷ」の買い方

「ふじのくに家康公きっぷ」の中部エリア版で訪れたい観光地を紹介しました。お得感満載のこのきっぷですが、実はきっぷ単独での購入はできません。入手は、以下の2つのいずれかのルートに限られています。

【方法1】
新幹線乗車券とセットになった旅行商品として入手

東海道・山陽新幹線の往復きっぷや宿泊などとセットになった旅行商品として、主な旅行会社から販売されています。旅行のプラン・希望に合わせて検討しましょう。

お得なクーポンがついた「ふじのくに満喫ガイドマップ」

なお、今回の静岡ディスティネーションキャンペーンに合わせて、ご当地グルメや名物と引き換えができるクーポンがついた「ふじのくに満喫ガイドマップ」と「ふじのくに家康公きっぷ」がセットになった旅行商品が登場しています。ガイドマップは、「三島篇」「富士・富士宮篇」「静岡市街篇」「掛川篇」「浜松・浜名湖篇」の5種類。購入するきっぷのエリアに応じて1冊つきます。

※旅行会社により、商品の内容は異なります。

【方法2】
「エクスプレス予約」「スマートEX」の利用者向けの特別販売を利用

東海道・山陽新幹線のインターネット予約サービス「エクスプレス予約」または「スマートEX」において、静岡県外の駅(東京駅〜小田原駅、豊橋駅〜博多駅)を発駅とし、静岡県内の駅までの新幹線のきっぷを購入・利用した人だけが、「ふじのくに家康公きっぷ」を購入できます。購入の際には「EXご利用票(座席のご案内)」の提示が必要になるので、紛失しないように注意しましょう。

新幹線で静岡県までアクセスするのが、きっぷ購入の条件

 

■ふじのくに家康公きっぷ ※2019年4月1日時点の情報です
料金:大人1,500円 小人750円
発売場所:熱海駅、三島駅、新富士駅、静岡駅、掛川駅、浜松駅のJR東海の窓口
※2020年3月31日までの限定発売
有効期間:新幹線を利用日した当日または翌日から、連続する2日間

ご利用の際には、「エクスプレス予約」「スマートEX」の公式サイトなどで必ず詳細をご確認下さい。

※「エクスプレス予約」「スマートEX」未登録の方へ
たとえば「スマートEX」は、所持しているクレジットカードと交通系ICカードをスマートフォンやパソコンからサイトで登録すれば、すぐに利用可能。年会費は無料なので、未登録なら手軽に始められて便利です。


なお静岡ディスティネーションキャンペーン期間中(2019年4月1日〜6月30日)には、特別な体験ができるイベントが各地で行われます。以下の公式サイトなどで確認して、旅のプランの参考にしてみてはいかがでしょう。

 


 

「ふじのくに家康公きっぷ」の詳細は以下のサイトから確認してください。

エクスプレス予約公式サイト 
スマートEX公式サイト 

静岡県富士山世界遺産センター

富士山本宮浅間大社 

三保松原文化創造センター

清水魚市場 河岸の市 

日本平夢テラス

久能山東照宮

久能山東照宮博物館

静岡デスティネーションキャンペーン 特設サイト

※ご当地グルメや名物と引き換えができるクーポンがついた「ふじのくに満喫ガイドマップ」と「ふじのくに家康公きっぷ」がセットになった旅行商品が登場していますが、旅行会社により、商品の内容は異なります。詳細は、こちらをご参照ください。2019年4月1日時点の情報です

 

平賀 尉哲

編集者・ライター。鉄道雑誌の編集部を経て、2008年に独立。以来、鉄道本の企画・編集・執筆に多く携わる。列車に乗って旅をしているだけで幸せになる「乗り鉄」派

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