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- 人生相談:外面だけはいい父…母のストレス過多が心配
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、63歳女性の「外面はいいが家族に優しくない父。母にストレスがかかっていて心配…」という相談に、介護・暮らしのジャーナリスト、太田差惠子さんが回答。
63歳女性の「外面がいい父の対応」についての相談
両親は父91歳、母86歳で、二人暮らしをしています。私はすぐ近所に住んでいるので、毎日実家に通い、食事の準備や掃除をやっています。デイサービスや訪問ヘルパーさんなどをお願いして、うまく暮らしているのですが、父の態度に嫌気がさしています。
というのも、父は外面がよく、ヘルパーさんやデイサービスではいわゆる“いい人”なのですが、家族には、かなりわがままな振る舞いをします。母がそれを我慢しているのがわかるので、どうにか家族にも優しくなってもらえないか……と思っています。
残りわずかな時間なので、二人が穏やかに生活できるようにしてあげたいです。母がストレスを抱えないで生活できるいい方法はあるのでしょうか?
(63歳女性・yocoさん)
太田さんの回答:「外面」を「長所」ととらえて全員が幸せに
お父様は、外面はいいけれどお母様やyocoさんに対してはわがままな振る舞いをされるとのこと。お母様がストレス過多にならないか、心配ですね。毎日実家に通って、ご両親の生活をサポートするyocoさんとしても、いくら父親が高齢であっても、あまりに横柄にされると腹の立つ気持ちお察しします。
yocoさんのお父様に限った話ではなく、「うちの父親は偉そうだ!母親がかわいそう」との声をしばしば聞きます。この悩みは、日本の歴史と関連があると思うのです。
yokoさんのお父様は昭和1ケタ生まれですね。日本には明治憲法下の民法において“家制度”があり、昭和22年(1947年)まで続きました。家制度においては家父長制的な考え方のもと、一家の長である家長(男)が家族の人たちに対して絶対的な支配権を持っていました。平たく言えば、「男が偉い」という時代です。
現在の親世代は、そういう時代に育ち、そういう教育を受けたのです。今は男女平等の時代と説明すると、言葉面では理解してくれても、価値観や意識は簡単には変わらないだろうと想像します。
しかも、高齢になるほど認知機能や心身機能の低下が影響し、自己中心的になる傾向があるとも言われています(すべての人がそうなるわけではありません)。
そう考えると“90歳を過ぎたお父様を変える”というのは、難しいのではないでしょうか。変えようとがんばって、変わってくれないのは余計にストレスがたまります。「時代背景が違うから仕方ない!」と、達観する方が楽かもしれません。
家族全員がハッピーになるためにお母様との時間を大切に
yocoさんのお母様は、yocoさんがそばにいてくれて、幸せです。幸い、お父様はホームヘルプサービスやデイサービスを受け入れているようなので、利用されている間に、お母様にリフレッシュしてもらってはいかがでしょう。
お父様がデイサービスに出掛けている間に、お母様と二人でおいしい物を食べるとか、ハッピーになれる行動をしましょう!
そして、お父様の“外面がいい”ことを利点と捉え、お父様に何か言いたいことがあったら、ケアマネジャーや医師などがいるときに、言うのも一案です。代弁してもらえばさらに効果的でしょう。
また、お母様のストレス過多が心配なら、お父様のデイサービスの利用回数を増やすのも手。ケアマネジャーからうまくお父様に言ってもらいましょう。お母様とyocoさんのレスパイト(休息)のために、お父様にショートステイで施設に数泊してもらうのもいいかもしれません。
達観しても、ムカッとすることはあると思います。その場合は、さらりとかわすことをおすすめします。言い返しても、相手は変わりませんから労力を使うだけ損です。「はい、はい」と言って聞き流します。
お父様の嫌な面は上手にかわし、良い面だけを見ながら、ご両親とyocoさんの生活が今より穏やかなものとなるようお祈りしています。
回答者プロフィール:太田差惠子さん
おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと第3版』(翔泳社)、『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』(産業編集センター)、『親の介護で自滅しない選択』(日経BP)など多数。
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