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50代からの女性のための人生相談・166
人生相談:最終的な自宅の処分…何からどう始めれば?
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子
公開日:2023.12.31
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、75歳女性の「現在一人暮らしの持ち家。いつかは自分で処分する予定ですが、何からどう始めればいいかがわかりません」という相談に、FPの畠中雅子さんが回答。
75歳女性の「自宅の処分」についての相談
現在、持ち家(ローンは支払い済み)で一人暮らしをしています。
二人いる娘たちは、それぞれに家族があり、家を購入しています。そのため現在、私が住んでいる家は、私が亡くなった後に住む人はいなくなってしまいます。
最後の処分は自分でするしかないと思っているのですが、どのように手続きを進めればいいかわかりません。
処分するだけでもお金がかかるようですし、現状の生活もありますし、どのようにしたらいいか教えていただきたいです。
(75歳女性・しょうろんぽうさん)
畠中さんの回答:まずは「売却見込み価格」調べから
しょうろんぽうさんのご相談に「最後の処分は自分でするしかない」とありますので、最期まで自宅に住まれずに、ご存命のあいだにご自宅を処分するつもりでいらっしゃるという前提で、アドバイスをしていきたいと思います。
最後の処分ということですので、どこかの時点で売却を考えていらっしゃるのだと思います。その場合、家が建ったまま売却するのか、家を自分で壊して更地にした状態で売却するのかによっても、売却価格は変動します。
建物を壊さずに売却する場合は、「古家あり」という状態での売却になるはずですので、売却代金から建物を建て壊す費用を差し引いた金額で、精算されることになるでしょう。
いずれにしても売却する場合は、不動産会社に売却見込み価格の査定をお願いするところから手を付けるのが一般的です。不動産会社に査定を依頼するときは、1社ではなく、3社くらいに依頼することをおすすめします。
査定を依頼すると、実際に売れるだろうと思われる価格よりも、高い金額を提示されると思います。不動産会社としては、一つでも売買を増やしたいので、「売りたい気分」になるような高めの価格を提示することが少なくないからです。
その金額を見て、「そんなに高く売れるなら、売ってしまおう」と感じてしまうかもしれませんが、一戸建てであれば、決断をする前に路線価を調べてみてください。
路線価から、あまりにかけ離れた高い価格を提示されていないかを確認するためです。路線価を確認しないままで売却に進むと、見積もり価格よりも、実際の売却価格がかなり低くなることもあるので、頭を冷静にする意味もあります。
国税庁が出している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認するのが確実です。
>>令和5年分財産評価基準を見るにはこちらから
(地図をクリックして都道府県や市町村を選び、その後、家が接している道路を探します)
都市部であれば、路線価よりも高い価格で売却できるのが一般的。一つの目安として、路線価を0.7や0.8で割ると、売買価格の概算が予想できます。ただし、住所地によっては路線価に満たない価格での売買になることもあります。
また路線価が付いていない地域もありますが、その場合は固定資産税評価額を参考に売買価格を見積もります。具体的には、固定資産税評価額に評価倍率を掛けて、概算額を求めます。評価倍率については、上記のWEBサイトで調べられます。
もし、現在のお住まいがマンションであれば、過去の売買価格の資料を不動産会社が持っているはずです。そちらの資料を見せてもらいましょう。
家の相続には登記などの義務も発生!
しょうろんぽうさんの居住地がわからないので、ざっくりとした回答しかできませんが、売却するにしても、更地にするにしても、決定する前に娘さんたちのご意向を確認することが大切だと思います。
ご自分たちが過ごした思い出のある家だから、しばらくはそのままにして、時間をかけて処分をしたいと考えられるかもしれません。
ただし、相続した家を長年放置するのだけは、避けたいものです。管理が行き届かず、崩壊などの危険があるとみなされた場合などは、「特定空き家」と認定されてしまう可能性があるからです。
特定空き家と認定されると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなり、固定資産税は大幅なアップが見込まれます。相続人の固定資産税の負担が、現在の金額より増えてしまうわけです。
また相続をしたら、娘さんどちらかの名義、あるいは共有名義での登記が必要です。登記にもお金がかかります。また令和6年4月からは、相続登記の義務化が強化される予定です。
相続してから3年以内に、正当な理由がないまま登記を放置すると、10万円以下の過料(行政上の義務を果たさなかった場合のペナルティ)を支払わなければならない可能性があります。
住み替え先の支払い可能家賃額の検討も
娘さんたちの負担を考えますと、しょうろんぽうさんご自身が自宅を売却し、売却で得られたお金は老後資金に加算して、家の価値分(売却代金)もしょうろんぽうさんが使うのがいいように思います。
家を処分する場合、住み替え先が必要になります。住み替え先として、サービス付き高齢者向け住宅や一般型ケアハウスなど、自立型の高齢者施設を候補にする考え方もあります。
サービス付き高齢者向け住宅は敷金程度、一般型ケアハウスは30万円程度から200万円程度の入居時費用が必要です。家の売却代金がなくても、住み替えはできるはずです。
ただし、住み替え後は家賃の負担が発生しますので、売却代金が見積もれたら、いくらくらいの家賃なら払い続けられるかを検討してみてください。
回答者プロフィール:畠中雅子さん
はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
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